第16話 敗戦

 セレディア王国軍がダナン侯爵の城塞に着く前に城はアルムガルド帝国の軍に占領されていた。


 ダナン侯爵を打ち破ったアルムガルド帝国の将軍の1人セリアはそのまま南下して軍を進めた。


 一方セレディア王国軍も北に進みダナン侯爵の領内に入っていた。


 両軍はダナン侯爵領内の平原で相まみえた。


 兵力の数でいえばほぼ同じだった、セリアはアルムガルド帝国でも血気盛んで自ら前線に出て戦う事を好んだ。


 セレディア王国軍が軍を真っ直ぐ進めるとセリアは思った。

 

 (小細工はいらないというわけね)


 そして部下に自身が先頭に立って部隊を進めるように言った。 


 セレディア王国軍もリアとダスマルクスの騎士団を残して正面切って戦うことにした、ルークとアリシアとディオンは最前線で戦う事を選んだ。


 両軍が軍を進めてぶつかり合うと凄まじい乱戦になった、暫くの間戦いは続き、アリシアとルークとディオンは何人もの帝国兵を倒していった。


 そしてアリシアは味方の兵士や騎士達を次々と討ち取っていくセリアの姿を見て戦いを挑んだ。

 アリシアは手にしたクレイモアをセリアに振るうが軽く受け流された。


 アリシアは渾身の一撃を見舞おうと剣を振りかぶりセリアに振り下ろすがセリアはそれを避けてアリシアを蹴った。 


 倒れたアリシアにセリアは剣を突きつけた。

 

 「アリシア!」


 ルークは倒れるアリシアを見て助けに入ろうとするが帝国兵に阻まれた。


 ルークが行く手をはばむ帝国兵と戦っている時、戦況は圧倒的に帝国軍が優勢だった。


 そしてセレディア王国軍から撤退の笛が鳴らされた、アリシアを助けようとしたルークは帝国兵に囲まれた、その時馬に乗ったディオンに乗せられてルークはディオンと最前線を離れていった。


 セリアは敗走したセレディア軍を追撃するよに命じて帝国兵達が前に進んでいった、その時凄まじい竜巻が帝国兵達の前に現れて前進した帝国兵達を飲み込んだ。


 ソフィアが放ったハリケーンの魔法だった。


 竜巻が消えるとセリアの部下が聞いた。

 

 「敵方に魔法使いがいるようですね、いかがいたしますか?」


 「敵の大半の勢力を削った、城塞に戻るように、それからこの娘を捕虜として連れていくわ」


 それを聞いた帝国兵は倒れたアリシアを捉えて連れていった、平原から離れてくセレディア軍に合流していった、ディオンとルークとソフィアはアリシアの身を案じたまま戦場を去っていった。


 そして大敗したセレディア軍は王都へと撤退する事になった。

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