第3話 紙飛行機(3日目・飛ぶ)


放課後。

一人で少し残って、課題を進めていた。集中していた僕の耳に、気付いたらコツンコツンと、窓に何かぶつかる音が入って来る。顔を上げて見てみると、真っ白な紙で折られた一つの紙飛行機が、叩くように何度も窓にぶつかっていた。まるで意思があるみたいに。僕は呆気に取られてしばらくそれを見ていたけど、段々可哀想になって来た。静かに歩いて行って、窓を開ける。真っ白な紙飛行機は、すうっと真っ直ぐに、まだ明るい空へと飛んで行った。

「ーーありがとう」

耳元で、誰かが囁く。ハッとして周りを見たけど、誰もいなかった。僕はもう一度、紙飛行機が飛んで行った空を見る。もう、何も見えない。落ちたのかと思い、ベランダに出て下を見てみたけど、やっぱり何も無かった。よく分からないけど、お礼を言われたのなら、まあいいか。

僕はそのまま、大きく伸びをした。

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