第2話

進むことも退くことも叶わず、

ただ雪に埋もれていくのを待つしかないのか。

そんな絶望が、

父の心を支配し始めた頃、

記憶の片隅にぼんやりと、

山小屋の存在が浮かび上がった。

土地勘だけが頼りだった。

吹雪に翻弄されながらも、

父は必死に、

その微かな希望へと足を進めた。


山小屋へは、

無事に到着できた。

重い扉を押し開けると、

かび臭い空気が鼻をつく。

人の気配はなく、

暖を取るものもない。

だが、吹き荒れる吹雪から

逃れられるだけでも十分だった。

父の凍てついた心には、僅かな光が灯った。

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