第2話

恐る恐る振り返る。

やっぱり、そこには誰もいなかった。

深呼吸をする。

単なる思い過ごしだと自分に言い聞かせた。

勉強に戻ろうとしたが、落ち着かない気持ちは拭えなかった。

その時、パラパラとページをめくる音が聞こえてきた。

ゆっくりと顔を上げると、

少し離れたテーブルの向こう側に女性の背中が見えた。

読書灯の下に座り、長い黒髪を背中に垂らしている。

あまり見かけない、古風な服を着ていた。

その姿を見て、私は少し安堵した。

自分一人ではなかったのだ。

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