第54話 女神様との再会 ★リオ SIDE

 「久しぶりね、莉央」


 目の前には真っ白な部屋と女神様……本当に、お久しぶりですね……


「あ、思い出してくれた?」


 そう言えば、時が来るまで忘れるとか言ってましたよね。今がその時なのでしょうか?


「まぁ、そうなるわね?本来なら、もっと穏やかな再会になる予定だったんだけど……まさか莉央が刺されるとはね」


 自分に防御膜を張る余裕が無くて……カミルを守りたいって、強く思ったら体が動いていたのよね……


「その想いが、莉央を私の所に導いたのよ。異世界で、誰かの為に強く願う気持ちがね」


 なるほど。ん?それでは、本来の穏やかな再開って、どんなものを予定していたのでしょう?


「普通に教会で祈ったら、ここに呼ぶ事になっていたわ」


 うわー、めっちゃ穏やかね……流血沙汰とか、危険な出来事なんて、全く必要なかったのね……


「まぁ、仕方ないわよ。スキル『大聖女の祈り』って、ヒントを出したつもりでいたんだけどね」


 あぁ、アレってヒントだったんですね?全く気がつかなかったわ。デュークが自動発動スキルとか言うから……


「あ、それも正解なのよ。どんなスキルかは、私からも言えないから……まぁ、頑張って?」


 うわ、適当ね……まぁ、言えないルールなら仕方ないのかな。それで、女神様を思い出したのは良いけど……私に何か御用でした?


「いいえ?スタンピードも無事終わらせてくれたし、特に助言も必要無かったでしょう?私の出番は特に無くて良かったわー」


 えぇー?じゃあ何故私はここにいるのかしら?


「あぁ、それは、体の時間を止めるためよ。内臓まで負傷してたから、意識ごとこちらに移動させたの。出血多量で死にたく無いでしょう?」


 それはそれは、ありがとうございました。下手すれば死んでいたのね?カミルが荒れなきゃ良いけど……折角王太子になれるのに、私の所為でなれなくなったら困るわ。


「莉央……カミルが大好きなのね。カミルはきっと、莉央に守られた事実に困惑してると思うわよ?」


 え?そうかしら?私が助けたくて助けたのだし、カミルは気にしなくて良いのにね。それより、誰がカミルを殺そうとしたのかしら?第二王子側の人間だろうとは思うけど。陛下はどうなさるおつもりかしらね……


「既に国王陛下の耳には入ってるみたいね。あ、賢者のお爺ちゃんが莉央に回復魔法をかけてるから、多分もう帰っても大丈夫だと思うわ」


 ん?賢者のお爺ちゃん?


「カミルの師匠のお爺ちゃんよ」


 え!?爺やって賢者だったの?


「莉央が姿を消してる時に、めんこい嬢ちゃんって言ってたでしょう?賢者のスキルに、隠密系の魔法を無効化するっていうスキルがあるのよ」


 あぁ!そう言えばあの時、私見えて無かったはずだわ!デュークが普通に話し掛けて来たから、見えてると思い込んでたのね……


「デュークは『純白の魔力』を察知してるだけよ。他の人とは違う魔力だから、直ぐに莉央って分かるみたい」


 へぇー!さすが魔導師団の団長だけあって、やっぱりデュークも凄いのね。私はまだ魔力の違いとか、細かい事は分からないわ。


「でも、純粋な火力だけなら、誰にも負けないぐらい強いわよ?」


 うーん。正直、火力はそこまで必要として無いのよね。カミルやデュークが居てくれるもの。私はそんな彼らをサポートするための力が欲しいわね。


「あぁ、それなら精霊の力が使える様になれば……あ、これも言っちゃ駄目なヤツだったわ……」


 えぇー?女神様、大丈夫ですか?そんなに何度も口を滑らせちゃって、怒られない?


「聞かなかった事に……あ!ソラに言っちゃ駄目よ?精霊王に筒抜けになるから!」


 えぇ、分かったわ。ただ、精霊の力はサポートに向いてるらしい事だけを覚えておくわね。


「話が早くて助かるわ……さぁ、カミルが泣いてるから帰ってあげて?莉央、愛されてるわね。良かったわ」


 えぇ。女神様、助けていただき、ありがとうございました。またお会いしましょう。


「そうね。会いたくなったり、相談したい時には教会で祈ってくれたら会えるわ。では、またねー」


 女神様に会うには、教会で祈る必要があるのね。お城のすぐ近くに女神様を祀った教会があったわよね?近々カミルに行ってみたいと相談してみようかしら?そんな事をボーッと考えていたら、視界が真っ暗になったのだった。

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