勇者よ、頼むからMOB脱却させてくれ

第2話

ヒョロに伝えられた通り、東の森にやってきた...けど、戦闘音は愚か、動物やモンスターの鳴き声も聞こえない。

それになぜだか鳥肌が止まらない。

「まさかヒョロに騙された...？いや、アイツは聖人なんだ、そんな訳ねぇ」

多分奥の方に勇者一行は行ったんだろう、そうに決まってる。

俺は聖人ヒョロ様を信じる！

そう決めて森の奥に進んで行った。

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「えー、皆さん。

ヒョロはゴブリンの群れと仰っておりましたが残念ながら彼は頭があまりよろしくないようでして...

俺を見つめているこのバカでかい翼の生えたトカゲの群れの事をゴブリンの群れと言っているようですね、

大罪人クソヒョロ野郎がぁぁぁああ！！！」

振り返って全力ダッシュ！死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ！！ドラゴンさんに美味しく召し上がられちゃうわ！！

「どっかに加速板置いてませんか！！置いてる訳無いですよねクソが！！」

｢後ろからドンドンドンドンって足音が！！オマケにドラゴンさん腹の虫がグゥゥーつって爆音で鳴いてますよｫｫ！！｣

奥の方まで潜ってきたから森の入口がクソ遠いよ母さん助けて！！

「ゼーヒースーヒー酸素がねぇ！ハァ、この辺の木が俺の酸素全部吸ってる！｣

クッソもう走れねぇ！体力もっと付けとけば良かったわチクショー！

もう賭けに出るしかねぇ！！

咄嗟にブレーキをかけて振り返って地面にそこら辺にあった木の枝で魔法陣を書き出す。

魔法陣を書く速度だけには自信がある！

小型の魔法陣俺の魔力を全て注ぎ込めばだが火力はそこそこ出るはず！

ドラゴンは好奇心旺盛だって聞いたことがある！それに加えてコイツらは俺を舐め腐ってるし最大火力を食らわせるぐらいの余裕ができる！！いやできてくれ！頼むから待ってくれ！！

「あのー！ドラゴンさんちょっと走り疲れたでしょ！！一旦お互いに座って休憩しませんか！！ね！！」

そう叫びながら大急ぎで魔法陣を描いてるとドラゴンはちょこんと座った...ゑ？なんで？

「ゑ？ま、まぁまぁよかったよかった！お前のお陰で..」

魔法陣に全ての魔力を込めて...！

絶死級魔法 龍殺ノ炎天歌！！

爆音が響き渡り炎が天から墜ちるような異観が、街の人々の目にも、

そして勇者一行の目にも、

大海を跨いだ向こうに鎮座する魔王の目にも映る。

「お前らを！殺し、てやれ...るわ...」

視界がブラックアウトし、意識が薄くなってく...

「ま、魔力切れ...」

そして彼は元ドラゴンの群れの縄張りでパタリと眠りについてしまった。