第1話
カラカラ...と前世の俺ぐらい存在理由が分からないドアについてるベル(個人の意見です)を控えめに鳴らして冒険者ギルドに入った。
辺りをぐるりと見渡して見たが勇者らしき影は見当たらない。
とりあえず扉のすぐ隣のカウンター席で座っているTheモブっぽいヒョロガリ君に話を聞いてみることにした。
「なあ、この辺に勇者って呼ばれてるやつがいると聞いたんだけどそいつがここに来てたりしない?」
「あー...多分だけどちょっと前に迷惑客をボコしてたそれっぽい奴がいたからソイツの居場所は分かるぜ」
マジか!こいつ有能なタイプのモブだ!
「そいつは今どこにいるか教えてくれないか?金なら払う」
「いや、金はいらねぇよ。そこまで困ってる訳でも無いんでな」
コイツ神か...?そう思っていたら
ヒョロ...いやこの言い方は余りにも失礼だ。
これからは聖人ヒョロ様と心の中で呼ばせていただこう。
こほん、聖人ヒョロ様は地図を開いて街を円状に囲っている森のうち右側、つまり東側を指刺して言った。
「アイツらはこの辺の森にできた超デカイゴブリンの群れを討伐する依頼を受けて向かったんだ。」
「アイツ”ら”?」
「あぁ、言ってなかったっけ。勇者は女騎士を1人連れて依頼に向かったぜ。だいぶ親しい仲に見えたから仲間なんだろうな」
なるほど、勇者には既に最低でも1人の仲間を連れているのか...ならば勇者パーティが完成する前に急いで勇者に接触せねば!
「分かった!ありがとうなヒョロ!」
「俺はヒョロじゃねぇよ!」
そうヒョロが返した頃にはバタンと勢いよく冒険者ギルドの扉は閉まっていた。
そしてヒョロは呟く。
「アイツは多分”同業者”だろうな。俺のコードネーム:ヒョロ を知っていたのだから間違いないが周りに言いふらすのは勘弁して欲しいな、全く。勇者にかけられた懸賞金5000万コインを狙ってたんだろうが残念...アイツを殺して懸賞金を頂くのは俺様だ。
勇者が向かったのは西の森!
アイツが向かったのはドラゴンの群れの縄張りの東の森!クヒヒ...ここまで面白可笑しい事はこの仕事でしか体験できないだろう!俺様の名前を言いふらした事をドラゴンの胃の中で懺悔するんだな!」
ライジェルフがヒョロの事を
「大罪人クソヒョロ」
と呼び方を改めるのは少し後のおはなし。
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