第2話 唆される男

第2話


「ふふ、そんな怯えた様な顔をしないでください。私、傷付いちゃいますよ?」


───嘘つけ。


俺は瞬時にそう思った………


コイツは絶対にそんな事じゃ傷なんて付かない。


初対面なのに、コイツが傷付く所なんて全く想像がつかない。


「………さて、色々と警戒されている様ですから、単刀直入に言いますか。私は貴方に策と力を授けに来ました。」


策と力?


彼女は一体、俺に何を………


「貴方を裏切った幼馴染彼女を、貴方はまだ愛していますか?」

「何でそれを!?───いや、そんな事はどうでも良い。愛してるに決まってるだろ!!」


だからこそ、俺は此処まで傷付いているんだよ!!


悲しくて、辛くて、どうにかなってしまいそうだ!!


フウカ、本当にどうして………


「ふふ、そう答えると思いました。だから、私は貴方に惹かれたのです。」

「───やめてくれ、ゾワッとする。」


お前がそう言った瞬間、身体の芯から冷える感覚に襲われだぞ。


どうしたら、そんなに恐怖に襲われる様な雰囲気を出せるんだ!?


まるで、と相対してる気分だ………


「酷い人。まぁ、合格ですかね………」

「合格?」

「貴方は彼女を諦める気は有りますか?」

「有る訳が無いだろ!!」


巫山戯るなよ、俺がアイツを諦める訳が無いだろうが!!


でも、でも、アイツにはもう………


「もし、どんな結末になっても彼女を愛する事は出来ますか?」

「そんなの当たり前だろ!!」


クソっ、さっきから変な事ばかり聞きやがって!!


マジで巫山戯るのもいい加減にしろよ、この女!!


「永遠に彼女を愛し続ける事を誓えますか?」

「誓えるさ、当然の事だろうが!!」

「ええ、当然の事です。愛する者同士なら、それが前提条件で有るべきなんです。まぁ、それすら出来ない愚か者も多いんですよね、この世の中は………」

「何を言って………」

「ああ、話が逸れましたね。最後に一つだけ、を伝えましょうか。」

「真実?」

じゃ、彼女と純愛で結ばれる事は有りません。」

「は?」

「───なので、少しだけ弄らせてもらいますね♪」

「なっ、やめ─────────────」


☆☆☆☆☆


朱■───(裏)朱里side


「ふふ、初めて洗脳という物に手を出しましたが、上手くいきましたね。」


この男は良い実験台になってくれたしたね。


心の底から感謝をしましょうか、破鍋さん。


さて、後は………


「───次は貴方の番です。頑張ってくださいね、フウカさん?」


さて、次は何をしましょうか………


「おや、アレは?」


すれ違った男から、不幸の影を見た。


───そろそろ、何か起きそうな予感を。


「───ふふ、良い純愛をお持ちの様ですね、あの人。」


もし、何か有ったら今回みたいに手助けしてあげましょうか………


「じゃあ、まずはあの人の名前から調べ上げましょうか♪」


コレが彼女と米崎よねざき 永久とわとの初邂逅ファーストコンタクト


───後に、彼女が唆して永遠の純愛を証明し続ける事なる物語の前日譚だ。




続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る