第24話 起死回生
目の前には、シキとその嫁の人面豚女子が。
キリエがいつのまにか引っ張って来たようだった。
シキは、おれが背後に隠すようにしていたクロエを確認すると愕然と言った。
「な、なんだと! そのクローン女子は、まともな女子に見えるが……。我らヒトと何ら変わりなく」
ああ、このことは何卒ご内密にお願いしますううう!
――しかし、その時、おれの脳裏には、ピッキュィィィンと起死回生の名案が浮かんだのだ。
やはり、おれは天才だったか!
シキなら、男衆の中でも一番可愛い娘をつくってくれそうな気がする。うんうん、いいぞ。
さっそく、おれは切り出した。
「お、おれはコイツを嫁にする気はないから、も、も、貰ってくれていい。他の男どもに襲われないよう守ってやったりしつつな。ただ、娘が生まれたらおれに、く、くれという条件でどうだろう」
「生憎だったな、タマキよ。私はな、もはやこのジュスチーヌにゾッコンラヴといったところだ。もはや他の女子など眼中にないほどにな」
ジュスチーヌ? その人面豚女子か。
マジか!
確かに、シキはクロエにはろくに目もくれず……。人面豚女子とラブラブに見えた。
想定外過ぎて焦ったが、粘った。
「いや、一夫多妻というのも良いんじゃないか。
例え、何度か抱いて飽きたら、ポイ捨てしてくれても良いんだぞ! たのむ! な、一回。そうだ、一回だけでもどうだ?」
「そういった
え、えー! 鬼畜だとばかり思っていたあんたがまさか、そんなこと言うとか……。
何か心境の変化とかか? ──というか確かにシキの言う通りクロエの気持ちも考えねばならんか。
名案だと思ったが、玉砕……。
クロエには特に興味を示さなかったシキ。
もしや、もう奪い合いや、ツバキのような目に遭わされるとかはない?
いや、シキに限ってはたまたまそうだったというだけだと思っていたほうがいいだろう。
まだ、パンチロとテクノもいるのだ。これまでと同じようクロエの存在がバレぬよう隠れて暮らすしか道はない。
シキは案外話しのわかるやつで、クロエのことは口止めしてくれるという。
**
途方に暮れつつもクロエの面倒を見ながら、皆の目から遠ざけ隠し続けてきて、もうひと月近く経ったろうか。
かなり大変だった。誰かに察してもらいたい。
今はクロエだけでなく、キリエにニョロまでいるのだ。
校舎の奥に閉じ込めっぱなしもよくないし。ドラム缶風呂にだって入れてやらなければならなかった…………。
もって、ひと月が限界だっただろう。
理想のタガが吹っ飛んで、いつ暴発してもおかしくなかった。
幸いキリエは肉体的にもまだ子どもだし、ニョロは下半身が蛇なので半分は我々とは異なる変温動物だ。
なので、夜になると活動停止ぎみになってしまうのだった。
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