第10話 漢の戦い

 皆、戦いの準備に入った。  


 今まさに、エロは死の恐怖さえ越えようとしていた。

 デーモンのサマエルという恐怖に打ち勝つ美人な女子というエロ!


 興奮ぎみというよりは、トランス状態と云った方が相応しい状態に陥ってきつつあった。

 皆から一歩距離を置いていたおれまでがそのような状態だ。

 何かみんなして謎なキノコを食ってから変になってきた。 


 おのおのが、すっかりボロボロになったジャージをふんどしのように腰に巻き、南国のどこかのプリミティブな部族を思わせるようなボディペインティングをぐちゃぐちゃネチャと塗りたくり、槍を持ち奇声を発して踊り狂った。


 シキが叫んだ。

「戦いのドラムを鳴らせ!」


 皆は一斉に叫んだ。


 ──うぉうぉぉ! あ~、あおッあおッおろおろおろーん!


 その勢いで、サマエルの住む森深くへと突入。


 もはや恐れるものはない。

 なにか、すげえ身体に力がみなぎる。この全能感はなんだろう? 何でも出来る気がするぅぅぅ!


 ──うぉうぉぉ! あ~、あおッあおッおろおろおろーん!


 サマエルを見つけるや、五人がかりで槍で滅多刺し。


 さすがのデーモンもたまったものではなかったと思う。

 恐るべきは、死すらいとわない煩悩パワーに加え、野生に解き放たれた中二パワーと謂えよう。


 皆の攻撃は、全てがズガガガっ! とクリティカルとなった。

 サマエルは「ぐふ……」と断末魔の吐息を漏らして沈黙した。


 おれたちはやったんだ!

 勝利したぞ!

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