第8話 ブー・デリュージョン
おれはその話──メトロポリスのことを皆にした。
シキにパンチロ、テクノとツバキに。
それが本当なら助けてもらうべきだ。サイトーの案内で探索に行こうと。
だがその4人は「サイトーの妄想」と一蹴するのだった。
「ダンジョンてどこの洞穴やねん? 確かに森の中は幾つか洞穴あったけど、たいがい二足歩行のカンガルーみたいな毒毒トカゲの旦那のすみかになっとるやないか」
パンチロに続いてシキも言う。
「現実では、ダンジョンに一歩足を踏み入れたら即ラスボス戦といったところか」
「
ツバキも言った。
「あんなブーの話なんか信用できるわけないじゃん。きっとぼくらのこと恨んでてまとめて殺してしまう作戦なんだよ」
……考えみれば、あの臆病なサイトーが森の中の洞穴にひとり潜って行ったというのもおかしい気が。
やはりサイトーはいじめで頭をヤラレてしまっていたのだろう。元々かもしれんが。
*
おれはシキやパンチロ、テクノたちにもっと過激なものをと求められ、校内の壁にセクシーな萌え少女の絵を描いていた。
「そそその美少女冒険者はソロで、だダンジョンを探索するものの、え、えええエロトラップに捕らわれビクンビクンびしょ濡れにさせられる……そ、そそんなところをメス臭を嗅ぎつけた1匹の醜いゴブリンに見つかり……」
「おまえ、ゴブリン好きだな……。イケメン冒険者のほうがよくないか? そのほうが羞恥度マックスになるし、ゴブリンとか女子にしてみれば、ただキモいだけで嫌悪感しかないんじゃ?」
まぁ性癖というのはかくも多様性がありよくわからんものだ。
「じょ、じょじょ女子が嫌そうな顔をするのがいいんだッ!」
わ、わからん……。
「……は、ははハイパーフミコンmark9の発売予定だったゲーム、わわわわ『わからせメモリアルIII そして孕ませへ』やりたい……。きっとめめメトロポリスにはそれ以上のゲームがあると思う。わわ『わかメモIII』も歴史に残るゲームで、もっとハイクオリティに移植かリメイクされてるかもかもだ!」
おれも『わかメモIII』やりたかったな……。
そんな想いをこうして校舎の壁にぶつけていたのだった。
そんなのんびりとした日々が続くようで急に慌ただしくなった。
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