16.窓越しの
今日は、さっこちゃんと遊びに行く。夏物を買うんだ。
実はわたしはそんなに服とかにこだわりないし、おしゃれもあんまり興味ない。
ハルトさんとお出かけ、なんて仲になったら、もうちょっとそういうのにも張り合いがでると思うんだけど、面倒だとか思ってる時点でもう女子力低すぎって自覚してる。
ハルトさんとデートできるようになるためにおしゃれしないと、なんて指摘されて返す言葉がない。
でも、お買い物は好き。
なんたって、美人さんでかわいいさっこちゃんのファッションショーが間近で見られるんだから。
そういう美的な嗜好は備えてたりする。
さっこちゃん、普段は美人さんだけど着る服と髪型によっては可愛い系もいけちゃう。
うらやましいなぁ。
「愛良ちゃんは絶対可愛い服が似合うって。ボーイッシュなのもいいけどたまにはスカートとかもはいてみたら?」
さっこちゃんにすすめられて、青いフレアスカートと白のシャツをあわせてみる。
……うん、悪くないかも。
「ほらほら! いいよぉ可愛いよぉ」
さっこちゃん興奮してる。
あ、でも、さっこちゃんの試着を見て喜ぶわたしもこんな感じか。
そんなこんなでお互い褒め合って、何着か服を買った。
「やっぱ愛良ちゃんスカートもいいねぇ。あれ、今度グループで集まる時、着て来なよ」
帰りの電車でも、さっこちゃんはにこにこだ。
そんなに褒めてくれるなら、そうするよ。
降りる駅の一つ手前の駅で、何気なく窓の外に目が行った。
――ハルトさん?
どきっとして、息が止まった。
「どしたん? あ、あの人ハルトさんに似てなくもないね。愛良ちゃん、ハルトさん好きすぎっしょ」
さっこちゃんは、からから笑う。
「あはは、そだねー」
からかわれて恥ずかしいのと、まだ仲直りできてない寂しさと。
今日の夜、ハルトさんがいつも通り家庭教師に来る。
ちゃんと、来る、って連絡はあった。
勉強の後、きちんと話し合おう。
うまく言葉にならないかもしれないけれど、それでも、何も話さないよりは、いい。
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