第6話
第6話: 裏社会との遭遇
藤堂との約束の場所に向かう一輝。隣には美咲の姿があった。
「本当に私も一緒に行っていいの?」美咲の声には不安が混じっていた。
一輝はうなずいた。「ああ、君にも知っておいてほしいんだ。それに...」彼は言葉を選びながら続けた。「君も何か特別な力を感じているんだろう?」
美咲は黙ってうなずいた。
二人が指定された高層ビルに到着すると、ロビーで藤堂が待っていた。
「よく来てくれた、一輝くん」藤堂の目が美咲に向く。「そして君は?」
「宮園美咲です」彼女は緊張した面持ちで答えた。
藤堂は意味ありげな表情を浮かべた。「なるほど。君も...興味深い」
エレベーターで最上階に向かう間、一輝の心臓は高鳴っていた。扉が開くと、そこには最新の機器が並ぶ研究施設が広がっていた。
「ようこそ、賢者協会へ」藤堂が二人を中に招き入れる。
大きな会議室に案内された二人は、そこで驚きの光景を目にした。賢者協会のメンバーだけでなく、白衣を着た人々も同席していたのだ。
「こちらは魔科学ギルドの方々だ」藤堂が説明する。「今日は合同会議なんだ」
一人の若い女性研究員が二人に近づいてきた。「初めまして。私は椎名葵、魔科学ギルドの研究員です」
会議が始まり、厳しい表情の老人が口を開いた。
「篠崎一輝君の特殊な能力については報告を受けている。我々の感知システムが君の異常な力を検知したのだ」
一輝は緊張した面持ちで答えた。「僕の...力、ですか?」
椎名が補足した。「あなたの能力は、魔法と科学の境界線上にあるものなんです。私たちはそれを解明し、応用しようとしているんです」
老人は続けた。「君のような特殊能力者は稀だが、決して例外ではない。我々はそういった才能ある若者を見出し、育成している」
美咲が小さな声で呟いた。「特殊能力...?」
一輝は深く息を吐いた。「僕にも何が起きているのか分からないんだ」
しかし、それ以上の会話は続かなかった。突如、建物全体が激しく揺れ始めたのだ。
「襲撃か!」藤堂が叫ぶ。
窓ガラスが粉々に砕け、黒装束の人物たちが次々と侵入してきた。
「未来科学振興会の連中だ!」誰かが叫ぶ。
一輝は咄嗟に美咲を庇い、周囲を警戒する。その瞬間、彼の体内で何かが目覚めた。
「っ!」
一輝の手から不思議な光の弾が放たれ、侵入者たちを吹き飛ばす。
「すごい...」美咲の目が輝いていた。
しかし、敵の数は多く、賢者協会と魔科学ギルドのメンバーたちも苦戦を強いられていた。
その時、美咲の体が淡い光に包まれた。「私にも、何か力が...!」
彼女の周りに不思議な結界が広がり、敵の攻撃を防いでいく。
「やはり君も覚醒者か」藤堂が驚きの表情を浮かべる。
椎名は興奮した様子で叫んだ。「素晴らしい!二人とも、魔法と科学の融合を体現しているわ!」
激しい戦いの末、侵入者たちを撃退することに成功した。しかし、研究施設は惨憺たる状況となっていた。
「一輝くん、宮園さん」藤堂が二人に近づいてきた。「これが現実世界の裏側だ。君たちの力は、この世界の均衡を保つために必要不可欠なんだ」
椎名も加わった。「そして、その力をさらに発展させるためには、魔法と科学の融合が欠かせないのよ」
一輝は美咲の手を取り、強く握った。「俺たちに何ができるんだ?」
老人が答えた。「まずは君たちの力を理解し、制御することだ。そして、この世界に潜む脅威と戦うんだ」
美咲は一輝を見上げた。「私、怖いわ。でも...一緒なら」
一輝はうなずいた。「ああ、一緒に頑張ろう」
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