第14話 7月8日月曜日【はるか】

 梅雨って明けちゃったのかしら。

 ずっと雨が続いていた時は梅雨入り宣言していなかったのに、宣言をしたとたんに晴れの日が続くって、なんだか気象庁の人が可哀そうな気もしますね。


 でもいきなり降る時は、もう建物から出るのも嫌になるくらいの土砂降りだし。

 少しずつ地球がおかしいなって思うことが増えてきているような気がしませんか。

 このところの温暖化とかで、栗の花の落ちるタイミングも昔とは変ったのかもしれません。



 さて、ディアフンさん。


 わたしの無遠慮な質問に、いつもきちんと向き合ってくださってありがとうございます。

 お返事を読んでとても納得できました。

 見えない物しか信じないという言葉は、ちょっとショッキングではありましたが、真理だなぁと。


 何かの映画のセリフだったと思うのですが「人という生き物は、見たいものしか見ないし、信じたいものしか信じない」というのがありました。


 それを聞いた時は、なんて悲しい考え方なのだろうと思ったのですが、こうしてあなたと話していると、なるほどと納得してしまいます。

 人という生き物は急激な変化を本能的に恐れるのかもしれません。

 でも、その恐れを持っていたからこそ、こうして今まで生き延びているのでしょうね。



 今回も誤解を恐れずに敢えて思ったままを書きます。


 実は何度も何度も書きかけては止めてを繰り返したのですが、ここで止めるのはやっぱり私らしくないかなって思ったので。


 ① 傷つかないためには近寄らないというのが、基本姿勢なのでしょうか。


 もちろんそうなるまでのたくさんの出来事があったのだろうことは、想像に難くはありません。

 でもね、悲しいなぁって思っちゃうんですよ。

 確かにわたしたち不透明人間の中で生きているという感覚になりますよね。

 だって存在する絶対数が圧倒的に違いますから。


 だとしたらディアファンさんは、とってもレアケースということ?

 もしかしたら、わたしって超ラッキーパーソン?


 ありがたいと同時に、何というか……儚さのようなものを感じます。

 だって私たちの出会いって、まさに神の采配のような偶然が重なったものでしょう?

 それが無かったらって考えると、私たちが信じている日常の、なんとあやふやな事か!

 


 ② その天才ってルーブル美術館に収蔵されている絵の作者ですか?


 余程のことが無い限り、日本では観ることも叶わないほどの天才画家ですよね。

 ディアファンさんは実物を観たことがありますか?

 わたしは一度もありません。


 高校の時は美術を選択していたのですが、教科書に載っていたその方の作品に、酷い落書きをした記憶があります。

 確か、絶世の美女と言われたモデルの女性を、アフロヘアにして黒いサングラスをかけさせたような……本当にごめんなさい。今になって心から反省しています。

 穴があったら入りたいです。



 ③ もし友人の教師に助言するとしたら、なんと言いますか?


 わたしはディアファンさんのことを誰にもいうつもりは無いのです。

 その理由はたったひとつで「邪魔されたくないから」という、とても利己的なものですが。

 

 もし知られたら、きっと「会わせろ」とか「話をさせろ」とか言いだすでしょ?

 それが純粋に知的好奇心だったとしても、嫌だなって思ってしまいます。


 でも、ディアファンさんが、わたしを通して不透明人間界と接触してみようと思われるのであれば、吝かでは無いですよ。

 嫌だけど、お友達のディアファンさんのためなら頑張ります。




 そういえば、ディアファンさんってわたしに質問とかないですか?

 いつもわたしばかり聞いていて、それに答えるのに忙しいから聞く暇がないのかしら。

 わたしもなんでも答えますよ?


 聞かれていないですが、家族構成とか書きますね。

 父は松江市内に本社がある地元企業に勤めるサラリーマンで、すでにお話ししていますが、母は高校で化学を教えている教師です。 

 わたしには兄がいますが、兄は東京の大学に行って、そのまま就職したのですが、わりと早くに結婚して、娘が二人います。

 

 めったに会うことが無いので、姪たちには何もしてやれないのですが、兄妹仲は良い方じゃないかな。

 

 今の小学校は初めて勤務した学校で、今年で四年になりますから、もしかしたら来年あたり転勤の話があるかもしれないなぁと思ったりしています。

 きっと今受け持っている三年生と一緒に四年生の担任になって、その子供たちが五年生になるタイミングで転勤かなぁ。

 一年と二年、三年と四年、五年と六年というふうに二年ごとにクラス替えがあるので、その可能性が高いと思います。

 

 私の住んでいる家は父の両親が建てた家で、いわゆる三世代家庭です。

 祖父は一昨年亡くなってしまいましたが、祖母はとても元気でグランドゴルフの町内会選抜メンバーというのを唯一の自慢にしています。


 食事はほとんど祖母が担当してくれて、母とわたしは掃除と洗濯の担当です。

 父は専ら庭専門で、休みの日にはせっせと草抜きなどをしています。

 ものすごく普通でしょ?


 書いていて、なんだかお見合いの釣書を書いているような気分になってしまったので、今日はこの辺りで止めておきます。

 

 そういえば、以前お願いしていた「直接お礼が言いたい」というわたしの願いは、そろそろ叶いそうでしょうか?

 

 ではまた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る