第12話 7月4日木曜日【はるか】
今日は朝からお天気も良くて、とても過ごしやすい日でした。
ただ小学校のグラウンドは剝き出しの土なので、梅雨の間にできた大きな水溜まりが乾いて、薄く泥濘のようになっていました。
子供の頃はこの泥を集めて泥団子を作っていたなぁって懐かしい気持ちになりましたよ。
叔父様の新薬開発のお話。
すごく感動しました。
好きな人に自分を認識してもらいたいために、努力を続けるって凄いです。
しかも当初予定とは違っていたとしても、成功させたんですよね?
その叔父様って今はどうしておられるのですか?
またどこか日本でない場所で研究を続けておられるのかしら。
もしかしたら、片思いだった方と?
妄想は膨らむばかりですが、また機会があったら教えてください。
話は変わりますが、私の幼馴染に奈穂美ちゃんっていう子がいます。
彼女は東京の大学に進学して、そのまま千葉で小学校の先生をしているのです。
お互いに独身のままですが、距離もあるしなかなか会えないまま、手紙のやり取りだけをしているという状況です。
その子から昨日手紙が来たのです。
なんでも、彼女が通っている小学校に「透明人間」の兄妹が転入して来たのですって。
制服を着て登校すると、町中が大パニックになったらしくて、結局その二人は学校の中だけは制服を着るけれど、それ以外は透明な状態でいることになったんですって。
私はあなたの話をずっと聞いていたから、なぜわざわざ小学校に入学させたのかって思いました。
そう決断したのは本人なのか、親なのかは知りませんが、波紋の大きさは想像できます。
入学する「透明人間」側の勇気は賞賛に値しますが、受け入れる「不透明人間」側は何の知識もなく、心構えもない全くの未成熟状態なのですから。
現に、数件の悪戯や紛失などが「透明人間」の仕業だと実しやかに囁かれ、着替えているところを覗かれたという申告もあったようです。
もしそれが本人たちの耳に入ったら、絶対に傷つくでしょうし、もう二度と不透明人間とはかかわるまいって思うんじゃないかなって……
自分の姿を変化させてでも、歩み寄ろうとしたのも「透明人間」さん側ですよね。
今回もそうです、いつも勇気を出してくれるのは「透明人間」さんの方なのです。
これからもずっと一緒の星で暮らしていくのですから、なにか良い方法を考えなくちゃいけないですよね。
でも具体的にコレというプランは無いですが……
こうすれば良いのにって考えていることがありますか?
また次回を楽しみにしています。
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