第7話 6月23日日曜日【はるか】

 昨日の大雨は大変でしたね。

 それが止んで晴れたと思ったら、梅雨入り発表って笑っちゃいました。

 きっとあの雨で、気象庁の人が見ている栗の花が落ちたんだと思います。


 勇気を出して、ご自分の体の秘密を教えてくださってありがとう。

 驚いたり不思議に思ったり、机に座って何度も読み返しました。


 ミトコンドリア……名前は知っているけれどという程度でした。

 あなたのと私のは違うんだろうけれど、自分の体の細胞についても興味がわきました。

 今度母に聞いてみます。

 母は高校の化学の教師です。

「生物」ではなく「化学」ですが、少なくともわたしよりは知っていると思うので。


 私は映画も大好きですよ。

 どちらかというと、冒険活劇、SF、ファンタジー系かな。


 例えば、ドラちゃん。

 テレビでは主人公の男の子は無き虫でいじめっ子にやられてばかりですが、映画のシリーズは、みんなで力を合わせて最後は地球を救っちゃったりするじゃないですか!

 ああいうのが好きなんです。


 あなたが教えてくれた昔の映画って、小さな子供の冒険一人旅の話ですよね?

 きっと大好物です(笑) 題名を思い出したら教えてください。

 

 そのストーリーを聞いて、子供たちがもっと冒険ができる世界になればいいのにって思いました。

 今の世の中って子供一人じゃ怖くて出歩けませんものね。


 実は学生の頃、映画の脚本家になりたいって思っていました。

 でもどうすればなれるのかわからなくて、結局夢のままで終わりましたけどね。


 もし脚本家になれたら、書きたいドラマがあったんです。

 こんど時間があるときに聞いていただけますか? 


 でも文章にすると恥ずかしいかも。

 わたしらしくないですけど、自信がないと言うか。

 こんな一面もあるんですよ? わたしにも。


 好きなことをひとつずつ出し合ったので、今度は苦手なことってどうですか?


 わたしは虫です。

 昆虫は全部とにかく苦手なんです。

 好奇心旺盛なのに? って思うかもしれませんが、あれだけはどうしてもだめ。


 明確な理由はあるのです。

 小学校3年の夏休みに、両親と隠岐の島にキャンプに行ったときのことです。

 楽しくてなかなか眠れなくて、ライトをつけて本読んでいたのですが、そのまま寝落ちしちゃったんですよね。


 テントの中に蚊帳をつっていたので、刺されたりとか嚙まれたりというのではないです。

 その蚊帳にびっしりと虫が張り付いていて、ワシャワシャと無数の足が蠢いているのを見てしまいました。


 もう大絶叫して泣きわめいて。

 それ以来だめなんです。

 こういうのをトラウマっていうのでしょうね。


 夏休みの自由研究で、生徒が昆虫採集したものを持ってくることはよくあります。

 一応先生なので、平気な顔で頷きますが、絶対に1m以内には近寄りません。


 蛇とかトカゲとか爬虫類は平気です。

 なんなら飼いたいくらい。

 でも、エサが昆虫なので無理ですが。


「飼う」で思い出したんですが、去年わたしのクラスの男の子が、学校で飼っているニワトリを全部逃がしちゃうという事件(?)がありました。


 どうしてそんなことしたの? って聞くと、自由な方がいいに決まってるって。

 家畜は人の手助けが無いと生きていけないんだよって言うと、そんな風にしたのはお前らだろって言い返されて。


 その後、ご両親が謝りに来られて、何かの漫画に影響されたのだろうと言われました。

 その子はそれ以降も、まるで何事もなかったように元気いっぱいで過ごしていましたし、問題行動もありませんでした。


 子供の頃って、いろいろなものに影響されて、それを自分なりに咀嚼して人格を作っていくんだなって改めて感じました。

 小学校の教師というのは、それを見守るのが仕事なんだなって実感した出来事でしたね。


 あなたのお話に戻りますね。

 わたしは色々聞かされても気持ち悪いなんて思うことはありません。

 そんなこと思うくらいなら最初から声なんて掛けないですよ。

 

 昼間は街中に出ないようにしているっておっしゃってましたよね。

 それって、人混みが嫌とかだと思ってましたけど、光合成とかと関係があるんですか? 

 良かったら、もっともっといろんなこと、教えてください。

 今日はわたしの「らしくない一面」をお話ししましたが、わたしの好奇心は止めどなく溢れています! 虫は除外ですが。


 では、また。




 明日から1日1話投稿です。

 その方が交換日記っぽいかなと……


 投稿時間は18時を予定しています。

 引き続きよろしくお願いします。



 志波 連

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