第二十四話『お前か?』
あぁ゛〜!気分がいい!
今なら誰も彼も捻り潰せる気がする!
「あ、本体起きた」
「やっとか…どうする?このまま古城攻める?」
誰でもいいから殺したい。今の気分、最っ高に魔王ってかんじだ!!
「ちょ、本体?」
「どこ行くんだよ〜」
分体を無視して古城に向かって歩みを進める。
さっき取り込んだ蛇と同じ種族の蛇が3匹、城の中から出て来る。古城は蛇の溜まり場なのか?
まぁいい。こいつらが雑兵だってことは分かってる。さっさと片付けて、ボスのところまで一気に行こう。
「『雷獣』」
蛇の内の一匹に、魔王スキルを使って雷を身に纏って接近する。
鱗に手を添え、切り刻む。
飛び散った血液を血液操作で纏めて槍の様に凝固させ、隣にいた個体に向けて投擲する。
仲間の仇を討たんと僕に噛みつこうとする最後の個体の攻撃を雷獣を発動して躱し、回避と同時に鎌鼬を放ち着地と同時に蛇の体がバラバラになる。
綺麗に着地。眷族から拍手が散発的に起こる。
もうちょい盛り上がろうぜ?折角の見せ場だったのに寂しいよ?
「本体すげー!」
「何今の!触った瞬間蛇がバラバラに!」
「『鎌鼬』だよ。風の刃を直接体に打ち込んだらああなった」
「へー。僕らもできるかな?」
「出来るんじゃない?魔王スキルなら本体と共有してるし--ぐはぁっ!」
「ちょっ、19番⁈いきなり何やってんの⁈」
「はぁ?なんでって--ぶへぁっ!」
「お前ら何やって--っちょ!危なっ!僕まで殴ろうとした⁈」
「余の住処を荒らしておるのは…貴様等かえ?」
⬜︎⬜︎⬜︎
「大丈夫かな、黒野くん…」
慣れない森の中を歩きながら、そうぼやく。
「どうしたの?神崎さん」
「な、なんでもないよ」
ぜったいに無理をしている。
あの日、ルシアさん相手に1番いい戦績を叩き出してから彼女に気に入られたようでこの移動中でもルシアさんの言う『特訓』に付き合わされている。
具体的に言うと黒野くんの異能の可能性の開拓、黒野くんは移動中も常に『アバター』の発動を続け、かつもう一つアバターを生み出せるように異能を発動している。
私も異能を持っているから分かるが、普通のスキルは発動に『魔力』を、異能の発動には『体力』や『精神力』を使う。
ただでさえ慣れない森を歩きながらそんなことをしていたら倒れてしまうのも時間の問題だ。
不憫な彼の無事を願い、私の異能を発動しておく。
⬛︎⬛︎⬛︎
わたし、絶賛育成ゲーム中。
黒野くんの異能ほんとに面白いねー!
わたしの命の光に引けを取らないんじゃないかなぁ。
出来ることの幅がとてつもなく広い。咄嗟の対応は使用者の技量次第なとこあるけどそれを差し置いても強い。
前のわたしそっくりのはどうやら身に纏うだけじゃなくて独立して出すことも出来るらしいから、纏いながらもう一体出させてみたら少しの間だけわたしのそっくりさんを維持できたのでそれを続けさせてる。
これは決して遊びでは無い。彼の可能性を広げるための育成ゲームなのだ…あ、ゲームって遊びか。
「--いってぇなぁ!何すんだテメェ!」
「いつもいつもうるさいんだよ!こんな訳分からんところに無理矢理連れてこられてみんなメンタルダメージ負ってるのに我儘ばっかり言って!」
「んだとゴラァ!」
どうしたどうした?不良の笹木くんと真面目くんの音本くん…あ、わたしの主観ね?が殴り合いの喧嘩をし始めた。
「え、ほんとに皆んなどうしたの?うわっ、ルークさんが殴り合いに参加しちゃまずいでしょ、死んじゃうよ?」
はぁ、本当に世話が焼けるなぁ…
「『落ち着いて』」
称号でゲットして以来そこまで使う機会がなかった『呪言』を発動する。
ついでに精神魔法もセットで精神安定を誘導する…
「え、まだ止まらない?じゃあもう拘束するか。『万能糸』」
殴り合いをしている勇者たちとルークさん御一行を縛り上げる。まったく、良い大人が何やってんだか…
「余の術が効かぬ輩がおるのか?まったく、最近はどうなっておるのじゃ?あちこちで暴れおって…」
声。どこから聞こえる?
そこにいる事は分かるのにどこにいるのか分からない…?わたしは何を言ってるんだ?
「どこにいる?隠れてないで出てきたらどう?」
「おや?こちらの術は効いておるのか?ふむ、まあよい。特別に余の姿を見せてやろう」
っ⁈突然目の前に、先ほどの蛇とは比べ物にならない大きさの大蛇が現れた。
今までに感じたことのないほどの圧力、絶対ヤバいやつじゃん…!
種族:ヴリトラLv.99
名前:ダウト
【異能】
猜疑
【スキル】
蛇眼Lv.Max
旱Lv.Max
天蓋Lv.Max
血液操作Lv.Max
蛇行Lv.Max
隠密Lv.9
偽装Lv.9
看破Lv.Max
尾撃Lv.9
咬撃Lv.9
毒精製Lv.Max
予知Lv.7
高速再生Lv.Max
眷族化Lv.Max
鑑定Lv.Max
水魔法Lv.Max
激流魔法Lv.Max
瀑布魔法Lv.8
影魔法Lv.Max
闇魔法Lv.Max
暗黒魔法Lv.7
斬撃耐性Lv.Max
打撃耐性Lv.9
魔法耐性Lv.9
【称号】
大逆
『猜疑』:思考誘導、精神支配、感情増幅、洞察、感覚支配、形状変化
やっばい。強すぎでしょ…!
レベルの差は言わずもがな、おそらく種族の格もかなり離れている。攻撃、耐性共に高い水準で揃っているし何より異能が強い。
みんなをおかしくしていたのはこいつの異能の影響だったんだ。わたしも何故かあの殴り合いを大したことじゃないと捉えていたし、影響を受けていたんだろう。
わたしの背後には操られた大勢の人、全員を守りながら戦えるのか?コイツと…
命の光を発動し、手足に龍の装甲が現れる。
「ふむ…?おぉ!その鱗!そうかそうか…近頃誕生した継承者と言うのは…お前か?」
★★★
茜さんは普通のスキルには発動に魔力を使うと言ってましたが、魔力を使うのはアクティブスキルで、パッシブスキルは基本ノーリスクです。
あと異能は、その人(魔物)のなんたるかが現れています。メタ的に言えばキャラクターコンセプトになりますね!
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