第一章 -勇者-

第十五話『鮴阪→蜍??』

 あー、つまらない。

 久々に外に出てきたというのに。もっと骨のあるヤツはいないのか?


 私、レイヴンはルシアの強化用の零獣を探すついでに外で遊んでいた。

 ルシア…ちょっとしたら遊びに戻ってきてくれると思ったのに、もう2年も戻ってこないんだよ?酷くない?


 え?封印?あんなのザルだよザル。私がその気ならルシアに解放されてなくても自由に出られた。


 今は狩りもそこそこに、ニンゲンの街で観光中。

 久しぶりに美味しいものでも食べたいよね。




-筮懶ク寂ャ懶ク寂ャ懶ク-




 う〜ん!美味しい!

 食べ物も進歩してるんだねー。私が封印される前は切る!焼く!食べる!みたいに簡素だったからな。いろんな味が絡み合ってて美味しいね。


 服飾店も見てみる。

 今私が着てる服はかなり古いからね。女性として流行の最先端を捕まえなきゃ!




-筮懶ク寂ャ懶ク寂ャ懶ク-




「…かわいい」


「とってもお似合いですよ!」


 まさか、こんな…!

 ふむ、ニンゲンを少しは見直してやらないとね。こんなにかわいい服を作ることができるなんて…いや、ダメだ。そこまで私はチョロくない。


 今私は「ニット」とかいう服を試着している。袖がなくて首を布が覆っているデザインの物だ。タートルネック?とか言うらしい。

 私の好みにどストライクだ。


「これ買います!」


「お買い上げありがとうございます!」




 あの後更にスカートと、予備の服を何着か買った。

 くそ、持ってきた宝石足りるかな。思った以上に面白いぞ、ニンゲンの街。




⬜︎⬜︎⬜︎



「起立、気をつけ、お願いします」


「「お願いしまーす」」


 退屈だ。『黒野憂人』と自分の名前が書かれたノートを開き、シャープペンシルを回しながら数学の授業を聞く。

 自分で言うのもなんだが、僕には友人がいない。

 高校に入ったら頑張って友人を作ろうと思っていたが、僕のコミュニケーション能力じゃ無理だった。

 今では隣の先の神崎さんがたまに話しかけてくれるだけだ。


「-じゃあこの問題を…世良!答えてみろ」


 何か…面白いことが起こらないかな。

 日常に走るアクセント。


「--そして両辺を二乗して…⁈」


 突如として教室の床が怪しく光始める。


「魔法陣…⁈」





 そして、僕たちは眩い光に包まれた。




-筮懶ク寂ャ懶ク寂ャ懶ク-




「勇者召喚?」


「ええ、そうなんですよ。近いうちに魔王が誕生すると神託があったらしく…中央の教会が王家主体で大規模な勇者召喚を行うらしいです」


 へぇ、勇者ね。異世界とやらから召喚するのだろうけど、正直私としては外部に頼るのではなく在野の強者をかき集めた方がいいと思うんだけどなー。


 ほら、私の封印を解くとか。


 異世界の勇者だかなんだか知らないけど、どうせ私からしたら木っ端だろうしね。


「ふむ、気になるし一回王都にも行ってみるかな」


 どこにあるんだろう、王都。ひとっとびして探すか…おっと。ルシアが黒龍山脈まで帰ってきたみたいだね。

 私ほどともなれば、自分の支配地域の情報なぞ離れていても感知出来るのだよ!


 勇者とかどうでもいいや。ルシアちゃんにつよ零獣渡してこよっと。




⬛︎⬛︎⬛︎




 久しぶりだなー、黒龍山脈。もうあの熊くらいなら瞬殺出来そうだ。


『もしもーし、ルシアちゃん?久しぶりだね!ルシアちゃんに逆お土産あるからあの洞窟まで来てね〜』


 うっ、なんか頭に声が響いてきた。これはレイヴンからか?

 ナチュラルに私の出入りを感知するのやめてほしい。プライバシーの侵害だよ…まあもともとレイヴンに用事があって来たんだし、あの洞窟を目指そう。




⬛︎⬛︎⬛︎




「やっほールシアちゃ〜ん!おひさ〜」


「久しぶり、レイヴン。逆お土産って何?」


「あぁ、これこれ。じゃーん!私が厳選して狩ってきたつよつよ零獣!」


「どっから持ってきたんだよ…」


「美味しい料理とかわいい服もあるよ!」


「どっから持ってきたんだよ…」


「ほら、いいから吸収しちゃって!私がせっかく取ってきてあげたんだからさ!」


「はいはい、分かったよ…」


 なんだこの零獣たちは。めちゃくちゃ強いな!強くなったって実感がある。


「あぁそうだ。レイヴンに聞きたいことがあったんだ」


「お、何?」


「勇者って何者?最近巷でちょっとした話題になってんだけど。昔に何か前例とかあった?」


「あー…勇者ね。うん、それがね…様子を見に行こうと思ったらルシアが帰ってきたのを探知したから帰ってきたんだよね。でも私も聞いたことないな」


「はーつっかえ」


「ごめんって!一緒に見に行く?」


「もう封印されてるって設定消えてない?なんでそんなホイホイ出られるのさ」


「お、気になる?『鑑定』で見てみなよ。もしかしたら今なら見えるかも?」


「よし受けて立つ!わたしもかなり強くなったからね。今なら多少は見えるはず!」




種族:闇龍王

名前:レイヴン


【讓ゥ閭ス】

陌夂┌荳サ鄒ゥ

陌夐」セ


【スキル】

蛻、隱ュ荳崎?

蛻、隱ュ荳崎?

蛻、隱ュ荳崎?


【称号】

闇を統べる者

大逆

始源種

虚飾の呪縛

黒龍山脈の主人




 なんだこの鑑定結果。きもっ。




★★★




 読めるかな?レイヴンさんの文字化けシリーズ!


 ちなみに視点切り替えですが、ルシアちゃんは⬛︎、レイヴンさんは文字化け、その他は⬜︎です。

 ちなみに作者は★マーク!


 かわいいね。レイヴンさん。

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