第十六話『期待はずれ、星一つ』
「こ、ここは…?」
「初めまして諸君。ワタシの名前はカフカ。本日は七階教教皇より依頼されてここにいる。突如として見慣れぬ場所に連れてこられて困惑していると思うが単刀直入に言おう。君たちは魔王に対抗するため、勇者としてこの地に召喚されたのだ」
光が収まり視界が晴れると、僕たちは見知らぬ神殿のような場所におり、困惑しているところに金髪碧眼の美青年からこう聞かされた。
「勇者だって?」
今発言したのはクラスの中で存在感を放つ陽キャ、世良翔糸。
「その通り。数日前、教皇に魔王誕生が近いと神託があったらしい。魔王とは時折り魔界にて誕生しこの世界を侵略する害悪。それを君たちに討伐して欲しいのだ」
すごい。退屈な人生に、こんなに面白そうなボーナスステージがあるなんて。
「魔王と戦うなんて、戦う力も持たない私たちに出来るわけないでしょう!死ぬ可能性だつてあるのに、そんなこと受け入れられる訳がない!」
「そうだ!元の所に返してくれよ!」
今反対したのは委員長の剣崎蒼鋳と副委員長の音本優波。
「それについては安心したまえ。君たち全員に魔王と対抗できる力を与えている。そして…真に不愉快だが君たちの魂はワタシと紐付いている。死亡しても私が神聖魔法を使用すれば蘇生が可能だ。自分の内側に意識を向けて、『鑑定』と唱えてみるといい。見えたものが君たちの力だ」
「「「『鑑定』」」」
種族:ヒューマンLv.1
名前:黒野憂人
【異能】
虚構
【スキル】
鑑定Lv.1
学習Lv.1
【称号】
異世界人
勇者
「もちろん、今のまま魔王に勝てるとはワタシも思っていない。幸運なことに魔王の誕生はまだだ。被害が出るのもまだ先のことだろうから、その期間で君たちには鍛えてもらおうと思っている」
「あの、私たちに拒否権はないんでしょうか…?」
神崎茜さんが心配そうに尋ねる。
「戦うのが怖いというのなら戦わずとも結構。元よりワタシもその事について君たちに特段期待などしていない。ただ元のところに帰すというのは不可能だ。ワタシはこの後予定があるので、後はヴェールトロース国王陛下にお任せしよう。それでは」
⬜︎⬜︎⬜︎
「チッ、期待外れもいいところだ。あのバカからあんなことを聞かされなければ教皇からの依頼だろうと無視出来たのだがな…」
⬛︎⬛︎⬛︎
「え、もしかして見えた?」
「鑑定のこと?見えたけど…なにこれ。気持ち悪すぎる」
変な文字が頭の中に浮かんできて気持ち悪い…心なしか悪寒もしてきた。
「もうそこまで見えるようになってたのかー!私は嬉しいよ!」
「わたしは全然嬉しくないんだけど」
「ごめんね?これ意図的に隠してるんだよね。ふふ、強くなったご褒美にルシアちゃんにだけ見せてあげる!ほい、解除〜」
種族:闇龍王Lv.Max
名前:レイヴン
【権能】
虚無主義
虚飾
【スキル】
魔統の天角Lv.Max
反転Lv.Max
空間支配Lv.Max
【称号】
闇を統べる者
大逆
始源種
虚飾の呪縛
黒龍山脈の主人
『闇を統べる者』:全ての夜の始まり。【スキル】『暗黒魔法』、『闇無効』を獲得。
『大逆』:世界を敵に回した者に与えられる呪い。あらゆる行動にマイナス補正。
『始原種』:世界で最初に生まれた生命達に与えられる称号。【スキル】『魔統の天角』を獲得。
『虚飾の呪縛』:本当の自分を曝け出すことを恐る者へ与えられる呪縛。信頼度にプラス補正。【権能】『虚飾』を獲得。
『黒龍山脈の主人』:黒龍山脈の統治者に与えられる称号。統治する地域内で発生した事象を観測可能。
「ちょっと待って、スキル少なくない⁈」
「お、気づいた?そう、私はスキルをよく使う3つしか持ってないのさ!」
「怖…なのにそんな強いの?」
「ふふん、『虚飾』の効果で自分の持ってるスキルを消せるんだよ」
「なんでそんなことを…」
「権能って異能の完全上位互換なんだけど…今回は出血大サービス!権能の効果も見てみな!答えはそこにある!」
『
『虚飾』:完全再現、情報変換、スキル消去、権能強化、模倣、学習
「答えはそこにある〜とか言われても字面だけじゃ分かんないんだけど?」
「えっとね〜…おっと。まーためんどくさいやつから念話だ」
⬜︎⬜︎⬜︎
「はぁ…召喚から数ヶ月経ったが、まだこの程度か」
最近、あのバカからこちらに会いに行きたいと念話が煩い。こんなことなら教えなければよかった。
「--『
何も起こらない。
「誰もが貴様のように、自由な訳ではないのだよ…」
空を見上げるとそこには、雲一つない晴天がどこまでも広がっていた。
「光ある所に…」
---
秋空高等学校一年三組出席名簿
1 安澄清
2 雨宮猫
3 飯島輝
4 植野葉太
5 浦野大和
6 江ノ島朝日
7 緒方絆
8 神崎茜
9 木下忍
10 黒野憂人
11 剣崎蒼鋳
12 坂本泉
13 笹木恭弥
14 寒空雁
15 鮫島水平
16 須崎竜太
17 世良翔糸
18 滝本灯
19 武内鞘
20 太刀川刀矢
21 鳴島雷
22 音本優波
23 野村夕日
24 日下香織
25 姫川恵
26 星野月子
27 八重桜晴
28 雪見庵
29 夢見羊
30 夜陰帷
★★★
こんばんはー作者です。
序章を見て「ルシアちゃんインフレしてね?」って思ったそこの君っ!!
真のインフレはまだまだ先だよ!
ちなみに名簿考えるのに一時間かかりました
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