第十一話『追憶』

『見て!お父さん!お父さんのためにお花のわっかつくったの!』

『きれいなお花だね。ありがとう、ルシア』




『お父さん!お父さーん!どこにいるの!』

『ぐすっ、お父さぁあん!どこ!』




あつい。




『よう、お嬢ちゃん。今日から俺がお前のご主人様だ』




『ぐずぐずするなノロマ!また殴られてぇのか!』

『ひぐっ、今、行きます。ご主人サマ』




やっと死んだ。




『今日から私が君の父だ』




ちがう。お父さんはあなたじゃない。




『こんなことも出来ないのか?チッ、回復魔術の素養があるガキを仕入れたなどというから高値で購入したらこのザマだ!クソっ、リソースの無駄だったな』




うるさい。




『この学校へ行け。せめて子が名門校だという実績でも残さねばならん。私が費用を出すのは業腹だが…寮に入れ。もうお前の顔は見たくない』




私もお前の顔なんか見たくねぇよ。




『おい、あいつ確かレズルタートの子供だろ。ほら、あの名医の』

『回復魔法しか能がない奴なんてほっとこうぜ』




『あっははは!こいつまじで無能じゃん!』

『回復魔法が使えるってことはさ、どれだけ痛めつけられても治せるってことじゃん?サンドバッグの才能はあるんじゃね?』







『お前にプレゼントやるよ』

『ほら、食えよ』

『グズグズすんなよ』

『私たちのご厚意を無駄にするってこと?』




咀嚼音が脳に響く。




『君は役立たずなんだから、でしゃばらない方がいい』




『龍だ!』

『おい!龍が出るのは頂上付近だけじゃなかったのか!』

『みんな下がれ!演習は中止だ!退避を!』

『邪魔だ無能!せめて僕たちの退却の役に立て!』


『なっ⁈地割れが!』

『みんな逃げろ!!』




突き飛ばされた私を待ち構えるように山の斜面が割れる。

はぁ、やっと終わりか。

父の贋物に、キザったらしいお貴族サマに、災いあれ。




---ぐちゃっ




⬛︎⬛︎⬛︎




あー…思い出した。全部思い出したよ。

やるべきことが決まった。


どうにでもなーれってやつだ。私を殺した全ての人をわたしは許さない。


とりあえず魔境に行こう。黒龍山脈以外にも強い零獣がいる魔境は数多くある。

幸いなことに、時間はまだまだたっぷりとあるから。すぐに楽にはしてやらない。思う存分、苦しんでもらおうかな。




〈称号、『憤怒の呪縛』を獲得〉




『憤怒の呪縛』:その身を焦がす赫怒を抱く者へ与えられる呪い。「怒り」状態の時与えるダメージにプラス補正。「怒り」が強いほど強化される。【異能】『憤怒』を獲得。


『憤怒』:昇華、身体強化、学習、恐怖、破魂、無限再生、魔眼、炎熱無効、禁忌


〈特殊条件を満たしました。進化が可能です〉


ふふっ、幸先がいいね。




★★★




こんにちは。作者です。

次か、次の次の話からジェノサイドが始まります。楽しみ!

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