第六話『overcome』
「『フレイムスロワー』!」
火魔法でニュートを一掃する。
〈⬛︎⬛︎⬛︎・⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎のレベルが上昇〉
〈火魔法のレベルが上昇〉
〈規定のレベルに達しました。進化が可能です〉
「ふぅ〜、やっとここまで上がったか。」
お久しぶり、⬛︎⬛︎⬛︎です。レベル上げのために狩りを始めてから早半年。ようやくここまで来た!!
レイヴンによると、人類種は基本50レベになると進化が出来るようになるみたい。普通の人間なら『ヒューマン』→『ハイ・ヒューマン』みたいに。
私の進化先はこんな感じ。
〈進化可能種族:トゥルース・ヒューマン、
わたしの最速だと、『トゥルース・ヒューマン』は今の横道に逸れた状態から元に戻る分岐。だって亜人ってことは純粋な人間ではないってことだろうからね。次の
「どれにしようか…」
トゥルース・ヒューマンは無いな。今更人間みが増しても私の称号達のせいでどうせ人とはまともなコミュニケーションが取れるはずがない。そう考えると邪人か亜竜人になるんだけど…悩むな。
どっちも字面だけで強そう。
でも邪人を選んだらなんとなくだけど選択肢が絞られるような気がする。邪道一直線って感じ。
「よし、決めた!『亜竜人』に進化する!」
まだレイヴンみたいなかっこいいドラゴンへの憧れは消えていないのだ。
⬛︎⬛︎⬛︎
種族:亜竜人Lv.1
名前:⬛︎⬛︎⬛︎・⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
【異能】
命の光I
【スキル】
鑑定Lv.5
家事Lv.7
算術Lv.8
暗視Lv.9
体術Lv.Max
龍鱗Lv.1
応急処置Lv.4
危機感知Lv.9
精密射撃Lv.8
動体視力Lv.6
立体起動Lv.5
火魔法Lv.Max
火炎魔法Lv.1
回復魔法Lv.Max
痛覚耐性Lv.8
恐怖耐性Lv.7
【称号】
忌み子
元奴隷
魔物殺し
これがわたしの半年間の成果だー!
紹介してやろう!
まずは進化する前からあったスキル。
『暗視』、『体術』、『動体視力』、『立体起動』だ。
全部名前の通りだね。暗いところが見えやすくなって、体術を身につけて、動体視力が良くなって、洞窟の中を軽快に飛び回れるようになった。
次は進化したら入手できたスキル。
『龍鱗』と『火炎魔法』。『火炎魔法』は火魔法の上位互換的な性能らしい。
『龍鱗』:全身もしくは発動部位が硬化し、物理攻撃と魔法攻撃への耐性アップ。
…壊れでは?
強すぎでしょ!たぶん亜竜人への進化特典だと思うけど、やっぱり正解ルートだったか。
あとは零獣を殺しまくって手に入れた称号、『魔物殺し』もある。
『魔物殺し』:零獣に対するダメージ増加。接触時に『恐怖』の状態異常効果を付与する。
これで魔物にまで嫌われてしまったよ…
そういう因果でもあるのか?
最後に亜竜人に進化できるようになった原因(おそらく)…
『命の光』
〈現在保有済み因子:ヒューマン、獣人、ニュート、リザード、ソルジャーアント、ソルジャーベスパ、シュピンネ、ワーウルフ、レッサーバット、スモールラット、ポイズンフロッグ、ハンティングボア、闇龍、ヒカリゴケ〉
もう一つだけ存在感半端ないもんね。闇龍。
どうやらわたしの『命の光』、生きてる対象からも因子とやらを回収出来るらしく、レイヴンに頼んだら普通に提供してくれた。
因子が何の役に立つのかは分からないけど、集めておいて損は無い。
てか、光がほとんどない洞窟で半年過ごせるって…わたしだいぶすごいのでは?普通の人なら鬱になりそう。
⬛︎⬛︎⬛︎
「うん、もう十分かな」
「何が?」
わたしたちは今、水晶の広間(名前は勝手に付けた)にいる。この半年の間、どこから拾ってきたのかわからない水晶で出来たインテリアが次々と設置されて今では部屋中きらきらしている。
「そろそろ、この魔境から抜け出せるだけの力が身についたんじゃないかなって」
脱出。ようやくか。
「そういえば、ここから脱出するのに力がいるって言ってたけどさぁ…レイヴンがいれば全部蹴散らしていけるんじゃないの?」
レイヴンは強い。特訓し始めた頃、わたしが何度かめちゃ強い魔物と遭遇した時には全部瞬殺してくれた。
「あー…実はね、私この洞窟から出られないんだよね。あの水晶の封印とは別にこの洞窟と魔境の淵、あと2つ封印が重ねがけされててね…」
厳重すぎる。一体何やったんだこの人。いや、この龍。
「そんな訳で、1人で脱出してもらわないといけないんだよねー。まぁ、それだけ鍛えれば魔境内でも通用するし、人里まで降りた後も大丈夫だよ」
⬛︎⬛︎⬛︎
そろそろ洞窟の出口が近い。レイヴンから貰った洞窟内マップによるとそうらしい。
いつぶりの日光だろう。いや、わたしは記憶がないから実質生まれて初めての日光か。
っ!危機感知に反応が!
「…!ムカ、デ…」
そういえば初めてこいつを鑑定した時、『隠密』とかいうスキルを持っていた気がする。近くに来るまで全く気が付かなかった。
「しかも数が…!」
5、6匹はいる。どうしよう。怖い。頭をガンガン殴られているみたいだ。
あの気持ち悪い声も聞こえてくる
逃げたい。怖い…!
『-いや、もう今までの"私"じゃない。もう"わたし"なんだ。うるさい。わたしの頭から出ていけ。』
「-『フレイムランス』」
"わたし"が放った炎の槍はムカデの内の一体を正確に焼き払った。
「あっは…なんだ、大したことないじゃないか…」
心がスッと軽くなった。
頭の痛みも引いていく。
「『フレイムスロワー』」
⬛︎⬛︎⬛︎
「-外だ。」
ムカデを倒し、先へ進むと、洞窟の出口があった。
人が一人通れるくらいの小さな出口。
「わぁ…!」
外に出ると、ちょうど夜が明ける時間、いわゆる暁だった。
生まれて初めて浴びる、橙色の綺麗な光。
私はこの景色を一生…いや、死んでも忘れないだろう。
〈条件を達成。『命の光』のレベルが上昇〉
〈保留していた処理を実行します〉
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