第三話『⬛︎⬛︎⬛︎・⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎』

…なんだこれ。本日何度目の困惑だろうか。


特にこの表記、『名前:⬛︎⬛︎⬛︎・⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎』だ。

私は名無しだったのか?いや、名前がないなら『名前:なし』とかになりそうだよね…?

あとは【称号】の欄。不穏なものが2つも並んでいる。



『忌み子』:世界から望まれずに生まれてきた者へ与えられる称号。人類種からの好感度にマイナス補正。

『元奴隷』:奴隷だった者へ与えられる称号。貴族階級からの好感度にマイナス補正。



なんだこれは。嫌われすぎじゃない…?

もう人の貴族とのコミュニケーションとか無理なんじゃないかな。

まあこんな洞窟にいるうちはそんなイベント起きるわけないし気にしないでいっか。


「見れた?何か分からないこととかあったら聞いてね」


「名前が見えないんですけど…」


「君からも見えないの?私も君の情報覗き見してみたんだけど名前が伏せ字になってて見えないんだよね」


「わたしって名前無いんですかね」


「たぶん記憶喪失だから、とかじゃないかな?いろいろと覚えてないっぽいし…いや、それだと他の情報が見えた理由が分からないな」


「ていうか私の情報どうやって見たんですか?」


「『鑑定』を他のものに意識を向けてから唱えたら見えるよ」


なんて便利なんだ、『鑑定』。


じゃあレイヴンさんに使ってみよう。

わたしの情報覗き見されたし。


「…『鑑定』」






名前:レイヴン

種族:闇龍⬛︎


〈鑑定が抵抗されました〉



「うわ、名前しかちゃんと見えない…」


「ふふん。使った相手と実力が離れているほど『鑑定』で見れる情報は制限されていくんだよ。今名前と種族の一部が見えてるのは私が事前に教えてたからだね。本当ならたぶん何も見えないはずだよ」


使えねー…さっきの感動を返してほしい


「『鑑定』は便利だからね。出来ることならどんな場面でも使えるのが望ましい。てな訳で…鍛えようか!」


「鍛える?」


「さっきも言ったでしょ?ここは魔境だって。練習相手には事欠かないよ。たぶん君のこれからにもきっと必要になる、というか『黒龍山脈』の外に出るだけでもかなり強くないと無理だし…トレーニングと洒落込もうじゃないか」


…運動苦手なんだけどなぁ…なんか苦手な気がする。知らんけど。

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