Day.3朝ごはんは納豆卵かけごはんが食べたいな

 さて、初にはあんなこと言ったけど伊織はどう思っているんだろうか。

 隣で眉間に皺を寄せて眠る三沢伊織の顔を眺める。

 昨晩も楽しかった。なんなら授業が終わって学校を出てからずうっと楽しかった。

 伊織と一緒にいたら好き放題できるから。

 ここでいう好き放題とはエッチなことだ。

 お尻半分見えてるようなホットパンツ履いて、ノーブラでゆるゆるのキャミソール着てシースルーのカーディガン羽織って。


「この痴女め」


「そうだよ。楽しいねえ」


 伊織の罵倒を笑って聞き流して手を引っ張って歩く。


「オレが彼女に露出させてる変態みたいじゃん」


「でも一緒にいてくれるんでしょ」


「一人にしとけねえだろ」


「伊織大好き」


「オトはやれれば誰でもいいんだろうが」


「うふふ」


 電車に乗って最寄駅でご飯食べて帰ってエッチして風呂入ってエッチして。


「も、無理。出ない」


 伊織がそう言って寝落ちするまで楽しませてもらった。

 



 大学入って一年とちょっと。

 その間、おおむね2日に一回のペースでこうして伊織と過ごしている。

 2年生になった時に2日に一回だと足りないから週五回にして欲しいと頼んだら、


「陶子はサキュバスかなんかなの? 死んじゃう無理」


 って拒否られた。

 ひどい。

 大学入って実家を出た時も一緒に住もうって言ったのに、


「俺は勉強するために大学に入ったのであって、陶子に搾り取られるためじゃないんだわ」


 って拒否られた。

 やっぱりひどい。

 私は伊織と同じ大学に入るために頑張って偏差値十近くも上げたのに。

 伊織と同じ高校に行くのだって大変だったし、無理して行った高校で勉強についていくのもめちゃくちゃ大変だった。

 でも同じ学校に行けるようにと伊織は中学の時から勉強をずっと教えてくれている。学生寮の隣の部屋に入ってくれて、2日に一回は付き合ってくれて、ごはんもほとんど毎食一緒に食べてくれる。

 好き。

 だから筋金入りの痴女の私ですが、実はセックスしたことがあるのは伊織だけだし、それだって大学に入って一人暮らしをしてからだ。


「でも付き合ってないんだよねえ」


 いやほんと、なんでだろうねえ。

 なにしろ中学のときから体の関係できてしまったので、今更付き合うとか彼氏彼女とかそう言う話にならないのだ。


「伊織は彼女作らないの?」


 寝ている伊織に囁くように聞いてみる。

 目は開かなかったけど、口がちょっと開いて掠れた声が返ってきた。


「これだけ陶子の世話を焼き続けて、更に他の女に手間かけるとか無理。ほんと無理」


「上から下までお世話になってます」


「自覚あんのかよ」


 不機嫌そうな顔で伊織が目を開けた。

 伊織は二人きりの時だけ私のことをあだ名のオトじゃなくて、名前の陶子って呼ぶ。

 その掠れた声がすごい好き。


「今何時」


「まだ6時だから寝てていいよ」


「じゃあなんで陶子さんはオレのムスコを握ってるんだ?」


「朝勃ちしてるから入るかなって」


「抜かれすぎて痛え」


「そうなの? 優しくするね」


「気の使い方が間違ってるんだわ」


 げんなりした顔の伊織によいしょとまたがる。


「んで? 陶子は彼氏作る予定でもあんの?」


「伊織より気持ちよくしてくれる人見つかる気がしない」


「知ってる? 彼氏ってセフレじゃないんだぜ?」


「私に必要なのは彼氏じゃなくてセフレだから。つまり伊織がいればいい」


「陶子のそういうとこ、ほんとやだ」


「うふふ、大好きよ伊織」


「はいはい、愛してるよ陶子」


 こうやって伊織はいつも私を甘やかすのだ。

 今日の授業は二限からだから、もう一回したら寝直して十分間に合う。

 だから苦しそうな顔の伊織にキスをして私は飛んだ。

 好きよ、伊織。

 

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