カップルドリンク

「なら、私はあなたの隣で一生を終えたいです。」

困惑と高揚の中何も返事ができないでいると

「なーんて、冗談ですよ。そもそもそう簡単に死ぬ気なんてないですし。」

といつも僕をからかうような笑顔を見せた。本当にずるい人だと思う。その愛嬌で何人の男を落としてきたんだ。いや考えてもしょうがないな。勝手に切り替えてその後を楽しむことに決めた。その後イルカショーやペンギンなど王道なコーナーを巡って外に出た。近くにあった水族館に雰囲気を合わせたレストランで食事をすることになり2人並んで見せに入る。すぐに定員が出てきて席まで案内をしてくれた。席について今日告白しようと思っていたのに持ち前の意気地無しが発動しているなと反省会を行う。チャンスはいくらでもあったのにな。自分に自信を持てたらいいのにな。なんて理想を語っている時点で駄目なんだろう。そんな僕の気も知らないではしゃぐ彼女が少し恨めしいとも思う。それぞれ注文を済ませ今日の感想(主にクラゲの話)を話し合っていると今までの笑顔がなかったかのように真剣な面持ちでこちらを見つめてきた。

「、、、はく」

「え?」

「告白!!!してくれないの、?期待してた」上目遣いをしながら瞳を少しうるませる。なんでこんなにかわいいんだろう。脳内処理がやっと追いつき何も返事をしていないことに気づいた。

「あ、えっと」まさか向こうからの催促があると思っていなかったので驚いた。そして情けない。女の子から言わせてしまうなんて。ある程度気持ちの整理をしてから彼女に視線を合わせた。少しの沈黙の後、一呼吸おいて僕は彼女に告白をした。その時の自分の目にはなんの曇りもなかったと思う。まるで小さな少年のように。

「あなたとの時間を重ねていくごとに僕はあなたのことが好きになっていました。勇気をだせずに海月さんから先に言わせてしまってごめんなさい。あなたが好きです。」いつのまにかうつむいてしまっていた。もう一度彼女に視線を向ける。彼女は少し頬を赤らめながらコクリと頷いた。その時ちょうど頼んだ料理が運ばれてきた。僕の前にミートパスタが置かれる。彼女の前には僕と同じミートパスタと水族館とコラボの

海月のカップルがモチーフのソーダが置かれた。そこにはストローが2本添えられていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る