第4話 初クエストクリア
「……ふぁ」
解読が一段落ついたので体を伸ばす。
辺りを見渡すと、窓から橙色の日が差し込んでいた。
この図書館には発光する謎の石が灯りとして使われている様で、特に暗いとは感じない。
興味を惹かれて魔力を調べてみたが、光と火の属性が出ている事しか分からなかった。許可があれば内部構造が見たい所である。
図書館内に椅子に座って本を読める場所があったので其処に移動して文字の解読を始めた。
その大きな机には、大きい物から小さい物まで様々な本が山積みにされている。
思っていたより
言い回しに幾らか分からない所があるが、それも時間を掛ければ読める様になるだろう。
これも文字の体系が見知った物であったり、挿絵が入っている物があったおかげである。
植物の絵と解説が書かれていた本をパタンと閉じ、何気なく表紙に書かれている文字を読む。
「植物……図鑑かな?」
十中八九、図鑑と読むのだろう、他の絵と解説が書かれている本も同じ文字だったからね。
【
その声は唐突に聞こえてきた。
《【
「は?」
《《
【
『文字を習得せよ』
参加条件
・文字を理解する事
達成条件
・プレイヤー全体で文字を一定数理解する事
失敗条件
・無し
達成報酬
参加者報酬
・スキルポイント5P
全体報酬
・新スキル解放
・スキル屋の解放
》》
【
『文字を習得せよ』
参加条件
・文字を理解する事
達成条件
・全体で文字を一定量理解する事
失敗条件
・無し
達成報酬
参加者報酬
・スキルポイント5P
参加者貢献度ランダム報酬
貢献度100%
・スキル結晶『鑑定』×15
・スキル結晶『地図』×15
・スキル結晶『インベントリ』×15
エクストラ評価報酬
単独完全解読
・スキルポイント50P
・スキル『解読』
・スキル『ルベリオン王国言語』
全体報酬
・新スキル解放
・スキル屋の解放
突然目の前に現れた半透明なボードにはそんな事が書かれていた。
「……」
しばらく呆然と考察しているとボードが消え、代わりにピンポン球サイズの宝石の様な物がコロコロと落ちてきた。
これがスキル結晶だろうか。
僕はおもむろに近くにあった未読の本を開き、直ぐにパタンと閉じた。
「……読める様になってる」
スキルって凄いなー、とどうでもいい事を考えつつ、ぐでーっと脱力するのであった。
◇
その後直ぐに立ち直った僕は、本を片付けると、椅子に座って考える。
今聞こえた声は運営のアナウンスだろう。
クエストをクリアしました、が二回聞こえた理由はよく分からないが、クエストを達成するとあんな感じでアナウンスがなるのだろう。
【
問題は報酬だ。
参加者貢献度ランダム報酬、の貢献度100%や、エクストラ評価報酬、の単独完全解読、から鑑みるに、この何時受けたかも分からないクエストは僕しかやって居ないと言う事になる。
その結果、参加者の貢献度で
サービス初日と言う事もあるだろう、太陽の位置から考えてサービス開始から5時間程だろうか?
成る程確かに、多くのプレイヤーがスタートダッシュの為に外に飛び出して行った事だろうし、他のプレイヤーも読めない文字を読むより会話で情報を得るのだろう。
ふむ、納得。
机の上に大量に転がっているスキル結晶の内一つを摘まみ上げる。
色は透明、結晶の中央に丸い光があり、ゆっくりと浮き沈みしている、中々幻想的なアイテムだ。
中にあるのは魔力だろう、しかし属性は特に感じない。
「……これ、どうやって使うんだろうか」
そう呟いた瞬間ーー
《スキル『鑑定』を取得しますか?》
「成る程、音声かな?」
兎にも角にも取得しておいて損は無いだろう。
はい、と答えると結晶の中の光が抜け出て僕の胸の中に入って行った。これで取得出来たんだろうか?
物は試しと光の抜けた結晶を鑑定してみる。
「これも音声かな? 鑑定!」
魔水晶 品質? レア度? 耐久力?
備考:?
「成る程、分からぬ」
とりあえず魔水晶だと言う事は分かった。
次に光の抜けていないスキル結晶を、今度は思考だけで鑑定してみた。
スキル結晶『地図』 品質? レア度? 耐久力?
備考:?
「うん、分からない」
とりあえずスキル結晶『地図』だと言う事が分かったので良しとする。
続いて地図を取得すると思考で選択してみる。
《スキル『地図』を取得しますか?》
YES。
スキル結晶から光が抜け出て鑑定同様僕の胸の中に消えて行った。
思考認識でも良い上に、同意であれば、はいでもYESでも良いらしい。
続いて、地図を開く、と念じてみた。
すると目の前にメニューボードが現れた。
見ると地図の項目があり、それを選択するとその下に『王都ルベリオン』と言う項目が現れた、それも選択すると、平面図が現れる。これで道に迷わなくて済むね。
最後にスキル、『インベントリ』を取得した。
試しに光が抜けた魔水晶を、仕舞う、と念じてみると、魔水晶が消滅する。
魔水晶を出す、と念じてみると、手の平の上にコロンと出現した。
便利だけど、入れてる物を忘れる人もいるだろうし、そう言う時は如何するのかな?
そう思いつつ、全てのスキル結晶を仕舞った。
◇
時間も良い頃合いなので夕食を食べる為にログアウトする。
メニューを開くと新しい項目が追加されているのが分かった。
・ステータス
・スキル
・インベントリ
・地図
・フレンド
・パーティー
・クローズゲート
地図は既に見ている物だったので、インベントリを選択すると、アイテム欄が出た。
其処にあったのはさっき入れたばかりの魔水晶やスキル結晶、それに革袋とポーションと銀貨、間違いなくインベントリだ、これなら誰も忘れないだろう。
ステータスを選択。
出てきたものは、名前、レベル、状態の文字、緑のバー、青のバー、黄色のバー。
黄色のバーは半分程が灰色になっている。何故かは不明だ。
色々と新機能が追加されたらしい、それはそうと夕食である。
「クローズゲート」
意識がプツリと途切れた。
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