第13話 洗脳されている
☆
私はとうちゃんの部屋に入った。
それから焼きそばと餃子を作ってから御馳走した。
正直、餃子は手間がかかるが。
それでもとうちゃんの為に冷食は使わない。
「...それで。...華凛は何をしに来たんだ」
「アハハ。裏が読めちゃいましたか」
「そうだな。...俺としては...裏の顔が見えた」
「...とうちゃん。改めて言います。...復讐しましょう」
そして私は食器を片付ける手を止めてから笑顔を浮かべる。
するととうちゃんは考え込んだ。
それから首を振る。
「...俺はイエスとは言えない」
「...それはつまり自分の彼女だったからですか。彼女が」
「そうだな。...俺が...やれる立場じゃ無いのかもしれないって思いこんでいてな」
「...私は復讐するべきです。というか...和彦さんもそうですけど。彼女が誤って幾ら落ちていこうとも彼女の為に復讐するべきです」
「彼女の為?」
「はい。彼女の為です」
それから私はお皿を洗う。
するととうちゃんはその姿を見てから手を止める。
そして顔を上げた。
そうしてから顎に手を添える。
シンクのヘリを掴む。
「多分...里島に何らかの感情を入れ込んでいるからこんな事に」
「甘いですよ。とうちゃん。それは復讐ではない」
「...お前ならどうする」
「とにかく周りを調べてから追い詰めますね。算段をしてから」
「...そうか」
「はい。絶対に許しませんしね」
「...俺は甘っちょろい人間だよ。マジに」
そしてとうちゃんは皿を置いた。
それから溜息を吐く。
伸びをした。
私はその姿を見てからお皿をまた洗う。
そうしてから顔を上げる。
「私ですね」
「...ああ」
「...父親に洗脳されていた事は話しましたね?」
「ああ。恐らく聞いた」
「そのお父さんも洗脳をしていたんです」
「...つまりは何だ。一族全員ゴミ屑か」
「そうですね。私は唯一洗脳から逃げましたが。姉は今でも手を洗いまくります。つまり洗脳が解けてない」
「強迫観念って事か」
「そうですね」
それから私は目の前を見る。
そして私は唇を噛んでからお皿を収納した。
手を拭いてからとうちゃんを見る。
とうちゃんは私に注目しながら考え込んでいる目をする。
「...とうちゃん。私はですね。...多分、過去が過去です。呪われています」
「つまりどういうこった」
「私の父親も浮気した事があります。だからこそ...多分それが嫌悪になっています」
「嫌悪?」
「所謂、強迫観念です。その部分は」
そして私はぎりっと皮膚を掴む。
それからねじった。
正直...私は痛みを理解出来ない。
出来ないっていうのは。
言葉通りの意味だ。
「...そう考えると私も随分と呪われていますね」
「...」
「私、何も無いって言いましたけど。こうすると呪われている節がありますね」
「...娘にこうしてダメージを与えるのも最低だな」
「何も理解していない父親でしたからね。だから私は幸せを願って。彼女に復讐するべきかと」
「...そうなんだな」
私は強く彼を見る。
すると彼は「...」となってからお皿を置いた。
それからシンクに流れる水を見る。
その目は悩んでいる目である。
「...とうちゃん。今しないと彼女の為になりません。地獄に突き落とすのも私達の役目ですよきっと」
「...」
「今決めろとは言いません。だけど...決めてほしいです。いつかは」
「...そうだな」
そして私は過去を思い出す。
その過去は...私のトラウマの過去。
つまり洗脳をされ...背中をぶっ叩かれていた過去。
虐待であるが。
誰も助けてくれなかった過去。
「私は今しないと駄目だって思うので」
「...だな」
「そうですね」
私はお皿を整理する。
それから布巾を直したりスポンジを直したりする。
するととうちゃんが声を上げた。
「...華凛」
「...はい」
「...今は決めきれない。あのアホで精いっぱいだから。だからもう少しだけ考えてから答えを出して良いか」
「早めの方が良いです。でも分かりました」
そして私は心の中でガッツポーズをする。
正直こう思っちゃいけないけど。
私は彼を心から変えている気がする。
だってそうだろう。
いずれにせよ私は彼の事。
私は。
☆
私はそのまま帰宅する。
それから私は胸に手を添える。
佐藤先輩に言われたけど。
確かに私は...全てを変えたい。
そう思って私は下半身を触る。
ぬめっとしてジュクジュクしていた。
マズい...結構きている...きている。
だけどそんなイケナイ事はしないつもりだ。
「...」
私は顔をほころばさせながら...考え込む。
何というかここまでくるとは思わなかった。
ごめんなさいとうちゃん。
貴方の事をどうしても独占したいって思う。
嘘を吐いてごめんなさい。
だからこそ。
「えへへ。とうちゃん。大好き」
そして私はそのまま横になった。
それからショーツを履き替えてからそのまま寝る。
私も最低だけど。
もうどうしようもない。
これは恋なのだから、だ。
佐藤先輩が言わなければこんな最低にはならなかったのだが。
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