第9話 建築会社事件


俺は高校に通う為に家を出た。

それから歩いてから高校に来てから門の前を見る。

そこに東野先生が居た。

というか門番をしている様だ。


「おはようございます」

「ああ。おはよう用場。寝れたか」

「寝れたというかまあいつも通りですね。...だけど何だか新鮮な感じがします」

「ほう。それはどういう意味で?」

「...彼女。...長友華凛ですが...俺、昔会った事があったみたいで...それでちょっと何だか話が弾みました」

「...そうなんだな」


「はい」と言いながら俺は東野先生を見る。

東野先生は「...彼女は...その。本当に良い子だと思うから。だから君にお願いしているのだけど。...だけどまさかそんな事があったとはね」と苦笑い。

俺は「そうっすね。驚きです」と苦笑した。


「...ところで...長友華凛と何処で出会ったんだ?」

「俺ですか?...幼稚園の時代には既に会っていたみたいです」

「成程ね。...それで今に至っていると」

「そうっすね」

「...」


東野先生は「...彼女は外部と関わりが無いと思っていた。だからこそそれもまたビックリだな。私は何も知らなかった」と言いながら考えた。

その姿を見ながら俺は木々達を見る。

それから「先生」と話した。

すると東野先生は顔を上げる。


「...俺の人生は最悪ですけど。...長友さんに出会えて良かったです」

「そうか」

「...引っ越して正解でした」

「...君の人生がどうかは分からないけど...少しは聞いているよ」

「粗暴の悪さですかね」

「そうだな」


何か言い辛そうな感じになる東野先生。

俺はその姿を見ながら「今は大丈夫ですよ。彼に結構強めに忠告しましたから」と目線を外す。

すると東野先生は「...君の人生もそうだが。...本当に人の人生は...いや。君達の人生は大変だな」と言う。


「私の人生も。...私は児童養護施設出身なのだけど」

「...え?そうなんですね」

「...苦難だった。まあ私の人生はどうでも良いけどね」


そう言いながら東野先生は前を見てぎょっとする。

俺は「?」を浮かべて背後を見る。

そこに...何故か華凛が居る。

え!!!!?


「お久しぶりです。東野さん」

「...どうしたんだい?華凛」

「...私、学校を変える事を決断したんです。だけど急だったから何も無いですけど。...制服は揃えました」

「私も知らないうちとは多分...本当に急だったんだね」

「はい。...本当についこの間決めました」

「...何で急に変えたの?華凛」

「とうちゃんが居るから」


華凛は言いながら「まあそれもあるんですけどそれ以外にもあります」と少しだけ肩をすくめる。

それから「...私、親元から離れます」と宣言した。

俺達は顔を見合わせて「!?」となる。

お金とかどうするのだろうか。


「叔母さんが保証人になってくれました。...私、もう離れたいんです。あの家から」

「...そうなんだね」

「はい。...あの家には絶望しか無い」

「...それも人生か。...華凛も大変だね」

「私、人生を一からやり直したい」


言いながら俺を見てから東野先生を見る華凛。

それから頭を下げてくる。

俺はその事に「...」となりながら華凛を見る。

華凛は俺に笑みを浮かべた。

背後で「なら準備をしないとね」と声がした。


「...東野先生?」

「...こうしちゃいられないな。...職員室に戻らないと。用場は先に行っていてくれ。華凛。一緒に行こうか」

「はい」


それから俺は先生達と別れてから教室に向かう。

すると智が出て来た。

俺は智に全て説明する。

智は驚きながらも全てを納得して聞いてくれた。



長友華凛がうちのクラスにやって来た。

それから長友は質問攻めに遭遇している。

俺はそんな姿を苦笑して見ながらそのままトイレに行こうと立ち上がる。

そして表に出た時。


「やあ」


そう声がした。

俺は「?」を浮かべてから声の聞こえた方を見る。

そこに...イケメンの男子生徒が居た。

容姿的に黒の短髪。

それから黒縁眼鏡を掛けている。

そんな人間だ。


「初めまして」

「...俺に用事ですか?」

「ああ。君の噂はかねがね。...俺は佐藤栞って言うんだけど。3年生だ」

「佐藤栞先輩って事ですよね。噂はかねがねっていうのは...」

「...君は里島めぐるっていう人は知っているかな」

「里島めぐるなら俺の元カノです」

「...俺ね。...里島めぐるの事に関して情報を集めているんだ」


こんなにイケメンだから狙っているのか?

そう思えた。

俺は首を振ってから「止めた方が良いですよ。アイツ、浮気していますから」と言ってから佐藤栞先輩を見る。

だがその言葉に予想外の反応をした。


「ああ。いや。...恋人にしたいっていう意味では無いんだ。情報を集めているのは」

「...え?じゃあ...なんの為に?」

「...実は...何というか俺の兄。...忍っていうんだけど。...何らかの中毒の症状があってね」

「...中毒?」

「所謂、金属?っぽい中毒だ。...それになった理由を集めているんだ」


そう言われて少しだけ思い出した事がある。

とある建築会社で3人が薬物中毒で事務員1人が自殺した謎の怪奇事件。

2人中毒で退社を余儀なくされたという。

正直...警察も捜査をしているが。


「...でもそれは...謎の事件という事で締めくくられたんじゃ」

「それには続きがあるんだ。...実は中毒は意図的なものじゃないかってね」

「...え?でも会社では何も検出されなかったって」

「確かにね。でも正直言ってそういうのは人為的じゃないとありえないと思わないかい?」

「...確かにそうですが...」


俺は考え込む。

それから佐藤栞先輩を見る。

佐藤栞先輩は「で、ここからが核心だけど。実はその中毒症状、自殺などに関して...調べているんだけど俺的に言ってその被害者の1つで里島一家もそうじゃ無いかって話だよ」と話す。

俺は衝撃を受けた。


「待って下さい。それは...」

「彼女からは何も聞いてないよね」

「何も聞いてないです」

「...うーん。やっぱりもう少しだけ調べた方が良いか」


そして佐藤栞先輩はニコッとする。

それから周りを見てから人が集まって来たのを見てから「じゃあまた。用場くん」と言って去って行った。

俺はその姿を見送りながら「...」となる。

何が起こっているのだろうか。

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