第4話 とうちゃん
☆
用場さんは甘すぎると思う。
だけど私が何か言える立場じゃ...いや。
立場であると思う。
私は...彼に。
もしかしたら彼が...。
「やめやめ。今は...集中。ハンバーグ...具材は...えっと」
そう言いながら私は横の部屋の用場さんの所に行くのに具材を。
材料を揃えていた。
ひき肉、ニンジン、玉ねぎ、ソースとか等など。
私は材料を見てからそれを用場さんの所に持って行く為...、と思っているとインターフォンが鳴った。
「はい?」
「あ。俺だ。用場だよ」
「...え?どうされたんですか?」
「...何もしてないのもなって思って。...運ぶよ」
「え?そんなの気にしなくて良いんですよ?有難うござ...」
とそこまで話してから私はハッとした。
よ、用場さんが私の部屋に来るって事!?
い、いや。
玄関で渡せば...、と思う。
だけど...うーん!
「ま、まあ良いや。今は家の中には入らないでもらって...」
というか何で私はこんなに恥ずかしいのだろう。
用場さんに見られるのが。
まるで恋をしている乙女だ。
まあそれは無いけれど。
用場さんだから...お隣さんだ。
単なる。
「用場さん」
「よお。これが食材か?」
「そうです。運んで貰って良いですか?」
「...」
「?...どうしました?」
「あの汚い部屋にマジに来るのかお前は」
「汚いなら片しましょう。アハハ」
「...何でそこまでしてくれるんだ」
「え?...い、いや。わ、私の趣味です。アハハ」
私はそう返事をしながら気持ちを隠しながら食材を運んでもらう。
それから私は用場さんの部屋に来た。
中は荒れていた。
というか...これは。
「...すまないな。怒りで破壊してしまった」
「...ですね。...お怪我は無いですか?」
「ああ。馬鹿だと思うよ。今となってはな」
「...いや。私はそうは思いません。用場さんの事...が可哀想です」
「お前はそう言ってくれるんだな」
「優しいな長友」と笑顔を浮かべてくる用場さん。
私は「...優しいですかね?私」と自分に聞く様に話す。
用場さんは「優しいよ。君は」と笑みを浮かべた。
それから私の荷物を持つ。
そして「...何か出来る事あるかな」と聞いてくる。
「...何も無いです。私がやりますから」
「...そうか」
「用場さん。少しだけ片してから食事にしましょうか」
「そうするか。...すまないな」
「いえ。お怪我が無い事が良かったです」
「...優しいなぁ」
「私は優しいんじゃないです。...用場さんが心配なんです」
「それを優しいって言うんだろうけどな」
苦笑する用場さん。
私はその姿を見ながら「...ですかね?」となる。
そして互いにクスクスと笑った。
それから私は「...用場さんは面白い人ですね」と笑顔になる。
「...そうか?俺は...面白いっていうかまあ単純に優しいだけだ」
「ですかね」
「ああ」
そして私は部屋を見渡しながら「じゃあこっちからかた...」まで言った時。
フローリングで滑った。
すると「きゃっ」とまで言った時。
用場さんが「危ない!!!!!」と言って私を受け止めた。
だがその重さに耐えれなかったのか。
そのまま用場さんが私を押し倒す形になる...え。
「...」
「...け、怪我は無いか?」
「は、はい。ですね」
「...そうか。良かった」
「そ、その。用場さん。滅茶苦茶恥ずかしいので...」
「あ。す、すまん!!!!!」
私は用場さんに退いてもらってから胸に手を添える。
心臓がバクバクとなっていた。
高速で振動している。
血管が破裂しそうである。
私は「...」となりながら背後を見る。
よく考えた。
これはマズい状況では無いか、と。
何故なら私は...用場さんと2人きりだ。
そんな事は起こらないと思うけど。
「す、すまなかった」
「...いや。と、とっさに私の頭を守ってくれたんですよね?」
「...そうだな」
「...とうちゃんは優しいで...あ。い、いや!」
「え?」
私は「すいません。昔の親友のあだ名です!」と否定して思いっきり立ち上がった。
それから慌てて私は片づけを始める。
これ以上は無理だ。
あまりにも...彼の事が好きとかじゃ無いけど。
ドキドキする。
「...長友」
「はい!?」
「...いや。すまない。何でもない」
「...あ、はい」
私に声を掛けたがその言葉は聞くべきでは無いと判断したのか。
そのまま黙って片付けになった。
私はゴミを片付けたり壊れたものを捨てたり。
汚いものを片して...よし。
「...埃。ゴミ掃除。...塵取りと...」
「...」
「ぴゃい!?」
「す、すまん。驚かせて」
「ご、ゴメンなさい。何でもかんでも感情が...」
「す、すまん。俺も女子がこの部屋に居るのが信じられなくて」
そして赤くなってから目線を逸らす用場さん。
私は...さっき言った事を思い出す。
とうちゃん
その言葉を。
父親の愛称では無い。
これは...私の記憶にある...少しだけ聞いた事のあるあだ名、だ。
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