第15話 迷宮探索2 別れ
クラスメイトと共に迷宮に入ったが、これまでの迷宮とは違いかなり違和感がある気がする。それからも違和感を感じながら、迷宮を探索していたら、初めての魔物が出てきた。それは、スライムでしかもレッサースライムだった。
まぁあいつのスキルは奪ったからそんな心惹かれる事も無いから俺は普通に無視したが、クラスメイトの連中はこれが初めての戦闘と言う事もあり腰が引けていたが何度か繰り返す内に平気になったらしく、レッサースライムやゴブリンを何度か倒す内にクラスメイトの連中も普通に魔物を殺す事に躊躇が無くなっていった。
それからもゴブリンやスライムが出てきたがクラスメイトの一人がお前も戦ってみろよと煽りと見て取れる言い方で文句を言って来た。まぁこの迷宮に来てから俺は一度も戦ってないからそれを不満に思ったのだろう。
それに俺は最強と言うか今のステータス的には最弱だ。それと、ラージェルさんって言うこいつらからしてみれば可愛い人と数週間一緒にいたと言う事もあって、煽ってきたのだろうと言う事は予測できる。
それから俺がまだあった事の無い魔物が居ないかと探していたが鑑定でゴブリンの中に怪力のスキルを持っている個体が居て、俺はそいつからスキルを奪おうと考え俺が倒すと名乗り出た。
「おいおい行けるのかよ。あの最弱ステだぞ」
そんな言葉が聞こえたが俺は普通に無視して、何時ものような触手は出さずに爪のスキルで切ったら、斬撃強化のスキルが適用されているのか何時もより切れ味が良かったが、それでも普通に幾つものスキルを掛け合わせて放つ触手とは違って、こっちは俺の本来のステータスが適用される関係上この攻撃で仕留めるには至らなかったらもう何度か攻撃を叩き込むことで倒した。
《スキル簒奪によりスキル<怪力Lv1>を簒奪しました》
そのスキルを簒奪してから攻撃力が目に見えて上がり35から45にまで上がっていて、それ以上に単純なパワーが増大した影響か多分今の状態でもゴブリンを倒すのに何度も攻撃を叩き込む必要は無く2撃でも叩き込んだら倒せるだろうと思う程に強化されていた。
それからクラスメイトの連中が、まぁお荷物状態からは脱したなと言う感情を感じながら、次の階層に入ってみると、さっきまでとは違って、殺気に溢れていた。そんな中クラスメイトの中でもトップクラスに強い白峰光機は皆を安心させるためにさっきとは違って進化したゴブリンを切り伏せながら宣言した。
「安心するが良いこいつらは弱い殺気に怯えるな」
それに安心したのか普通にこの階層も無双しそうな勢いだった。因みに俺は適度に魔物を狩っているが、怪力のスキルの便利さのお陰で簡単に倒す事も可能になった。因みにここの道中に新たな魔物が居てそれはゴブリンの進化体で、歩武ゴブリンと言うゴブリンよりも一回り大きくなりスキルもそれに応じて強化されているゴブリンが居たが、そいつらのようなある程度強い魔物は、リーダー格の人間が倒す影響で俺が倒す事は無かった。
それと今回知った事だが、スキルを奪うにはそいつを自分の手で殺す必要があるらしく、それもあってこの迷宮ではあんまりスキルが簒奪できなかった。
それからも弱い魔物を蹂躙するだけの作業を迷宮の14階層まで続けた。5階層ごとにボス格が存在して、そいつらが思いのほか強かったという事もあったが数に物を言わせて普通に勝つことが出来た。
「それじゃあ一旦休憩しましょうか」
そう言うラージェルさんの感情は若干面白くなさそうな雰囲気で、見た目自体はフードを被っていて変わらないが、その内面から不満の声が察せられる。
[やぁ念話で失礼するよ]
「えっ!」
幸いクラスメイトの連中が喋っていた影響でそんなに目立たなかったが、いきなり声を掛けられて若干驚いてしまった。
[頭の中で喋りたいことを思ってみな会話できるから]
[こんな感じで良いのか?]
《新しくスキル<念話Lv1>を習得しました》
[あぁそうさ、まぁこんな会話を始めたのはつまらなくなってきたからなんだけどね。]
[こいつらが弱いからか?]
「まぁそれもあるね。いままで王宮の生ぬるい環境で訓練だけを積んだ異世界の争いを知らぬ人間それは、人と相対した時凄まじい絶望となる。
君たちの元の世界の国では、争いは無かったんだろう?」
[まぁ他の国で戦争だ、内戦だとかは有ったけど、日本…俺たちの国では無かったな]
[それもあるが、今は無双しているが、敵があれら以上に強く成ったら面白い事が起こるぞ]
[お前は何か見えているのか?]
[うん?見えるからね。未来]
そう言い残すと、彼女は念話を切って、「そろそろ進もうか」と言いながら迷宮探索を開始した。その後も俺は念話でそのことについて聞いてみたが、全部の念話を無視された事でこれ以上念話をしようとしても無駄だなと思った。
それから、迷宮探索もいよいよ本番に入って来たなと思う程に迷宮の階層に満ちる殺意が強烈なモノになっていた。何せここは迷宮の第16階層さっきの15階層でボスを今度もお決まりの様に数の暴力で倒して、それから降りてきた階層だが、そこから満ちる敵意はこれまでの非にはならない位に強烈なモノだった。
それに呼応するかのように強化されてていく魔物に遂にクラスメイトの連中はかなり苦戦を強いられるようになり、それまでもつ良い魔物は、クラスメイトの中でも最強格の白峰光機と駒形麗夜の二人とそれを補助する清永琴子によって倒されていた影響もあり鑑定のスキルによると個々のステータスやスキルはかなり高いが、それでもスキルやステータスに置いて全てに置いて弱い俺より弱いしか、感じられない程に個々は弱かった。
まぁここまでの戦いで、ある程度は戦っていたが、それは雑魚ばかりある程度強そうな敵は全てあの3人が倒していたのだ。それによってクラスメイトは安心を得て、中心3人はさらに強くなりその強さによって強い敵を倒して、それでクラスメイトが安心感を得る。そういう図式が出来上がっていた。
[この展開不味くないか?最悪全滅もあり得るけど、どうするんだ?]
[うん?あぁ見えていませんでしたよ。まぁ貴方が言う中心の3人以外は、ある程度の人数は死ぬでしょうねぇ。まぁ私が居なければの話ですが]
[それじゃぁ大丈夫と言う事で良いのか?]
[まぁそうでしょうねぇ。でも君も覚えておくことだよ。迷宮では何が起こるか分からない]
それもそうだ。この迷宮は今まで攻略していた迷宮とは違って生きてる雰囲気を醸し出していた。それは、迷宮内に張り巡らされた罠や宝箱などにも言えるが、いままで俺が攻略していたのは迷宮もどきだったんじゃないかと思えてきた。と言うか多分そうだ。何せスライムとラットとゴブリンの迷宮のどれでも罠も宝箱も無く、魔物の再出現も無かった。
[まぁそうでしょうともねぇ。何せあの疑似迷宮は、私が作り出したのですからね。あれの存在理由は、最低限の強さを貴方につけさせることでした。因みに最後の工場は世界のどこか遠くにあった廃墟型の迷宮でね。それと、君も警戒した方が良いよ。何せここはダルシウム迷宮第16階層確か冒険者ギルドでの情報収集の結果この階層には第20層への罠があるそうだからねぇ。]
そんなラージェルさんのフラグめいた発言に俺は戦々恐々としながらも警戒を怠らずに周囲を見張っていた。そうしてクラスメイトの連中を見てみると、ある程度のクラスメイトに若干の怠けが見え始めていた。
無理も無い何せこの階層に入ってから主要3名がかなりの戦闘を熟していて、俺を含むクラスメイトはもっぱらその3人の攻撃で深手を負った魔物の止めと言う事で、飽きが出てきたのだ。そんなクラスメイトの連中はどうしても良い思いがしたいと思い始めたのか周囲を探し始めていた。
[多分宝箱を探しているんだろうなぁ。何せ<宝箱>だ。遺物だろうが手に入ればかなりの値になる。その他にも特殊な武具やスキルが習得できる宝玉に種族進化を果たす事の出来る宝珠…宝箱によって一獲千金を得る事が彼らの目的の様だねぇ]
[それで、16階層には宝箱とかそれらのお宝はあるのか?]
「まぁ無いだろうねぇ。何せそれらが出るのは最低でも100層級の大迷宮の50階層だ。ここも100層級とは言えこんな浅層で出るのは精々鉄剣位の物さ」
「おい、あそこ宝箱だぞ」「マジか本当か今のうちに取ろうぜ」「あぁ見つけたら山分けだからな」
[あれ…放っておいて良いのか?結構不味い行動だと思うんだが]
[うん?まぁ不味いだろうねぇ、何せあれは罠だ。それもさっき君と話した第20層への直通転移罠だ。それにそこにいるのは数々の冒険者を食い漁ったグレイトウルフ今の彼らでは万に一つも勝ち目は無いさ]
[それは、俺も含まれているのか?]
[まぁ君なら全力を出したら勝てるだろうねぇ、まっ五分五分と言った所が妥当かな?]
その瞬間あのバカタレ共は、まんまと罠に引っかかりクラスメイトの全員のみを転移罠で飲み込み下層へ転送されることとなった。と言うかラージェルの奴普通に範囲外に逃げてやがる。
[これが君を強くするだろうねぇ]
そんな確信めいた言い方に俺もちょっとイラっとする事は有るが、彼女のお陰でこのスキルに気が付けて、ここまでスキルを簒奪することが出来たと言う出来事のお陰で、この人が言うなら多分大丈夫だろうと思えるようになった。
[分かったが、今度会った時にビックリして腰抜かすなよ]
そう素直な感情を込めた念話を繰り出すと、ラージェルさんは渡ったような感情を感じさせながら念話を紡いだ。
[あぁ暫しの別れだねぇ。次に会った時は強くなってから姿を見せてね。あの城周辺には結界を張るから、自力で解除出来るまでの別れだ。]
そう言うとそのまま俺たちは転移した。
あとがき
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