第12話 ゴブリンとの戦争

「あぁ君はこの迷宮でかなり強くなったんだねぇ」


そうポツリと喋ったのはラージェルさんだった。その言い方からは安心したと言う感情が知らされる。


「久しぶり...で良いのかな?」


「あぁ確か2週間ぶりだねぇそれにしても君のどんどんつよくなるね。もしかしたらすぐ私を超える程に強くなるのかな?」


そう喋りながら魔城に転移してきてから何時もの様に話をしていた。


「それはそうとあの迷宮で【教えてラージェルさん】って言うのあったけどあれってなんだんたんだ?」


「ん?あぁあれの事か、あれは単純に私の暇つぶしさ」


そうして喋る奥底には、悪戯が成功した子供のような無邪気さが感じて取れた。と言うか俺って異世界に来てからこの人としか喋った記憶が無いんだけど、それにあんな感じとは言え若干クラスメイトが心配になってきたなぁ


「おやおやぁ?もしかして君そろそろクラスメイトが恋しくなったのかな?それなら心配無用だよクラスメイトの命は私が保証するよだから君は安心して私に身を委ねると良いここ最近はかなり無茶をさせちゃったからね。

...でも私だって嫌だったんだよ君と暫く離れ離れになるのは、それでも魔王は日夜この世界を脅かすそれに対処するために私は君を鍛えなければならないこれは私の我儘だ故に断ってくれても構わない。」


そのセリフを言いながらごく自然な形でラージェルさんは俺の頭を膝の上に運んだ。その隙間からはいままで見れなかった素顔が見えた。髪は氷河の様に冷たい印象を思わせる...所謂グレイシャルヘアという髪をルーズサイドテールに纏めて、それとは真逆に瞳孔は、燃えるような決意を思わせる紅い目を持った垂れ目の美人な女性だった。


「ただ...ただ一つのお願いだ。最後の時は傍にいてくれよ」


その言葉に俺は「あぁ」そう一言答えると俺は自分の部屋に帰っていった。今はこの感情を何とかしたいと思ったからだ。それから3日間はラージェルさんは、食事を部屋の前に置くだけで何か言ったりと言うのは無かった。恐らくあの発言でかなり恥ずかしがっているのだろうと予測して、それでもこのままだったらダメだなと思い会話を試みてみる事にした。


「おはようラージェルそして久しぶり」


「えぇ3日ぶりね」


そういうラージェルさんの顔は、今までの様にフードで顔を隠しているのでは無く、素顔を晒しておりその姿は素直に可愛いと言う感情しか湧かぬほどに俺の感情をかき乱された。


「そろそろ新しい迷宮に挑戦したいと思ってる」


「そうかなぁばこの迷宮が良いだろうなぁ」


そうして肩に手を置かれて転移したら背後にいたラージェルさんにこの迷宮はどういう場所か聞いてみる事にする。


「この迷宮はどんな特徴があるんだ?」


「あぁこの迷宮は至極単純ゴブリン種の魔物の迷宮だなそれと攻略が完了したらこの魔法具を使え次の迷宮に転移される。

そうそうこの魔法具には転移する座標も登録されてるからくれぐれも使うまでは、厳重に鞄の中に入れているが良いよ」


そうしてラージェルさんはそのことを言った後に直ぐに転移して魔城に帰ってしまった。とは言えゴブリン迷宮に心が躍り取りあえず探索を開始する事にした。


名前 無し

種族 ゴブリンLv3

職業 戦士Lv1


命力 105/105

体力 55/55

魔力 55/55


攻撃力 55

防御力 35

速度力 25

魔法力 15

抵抗力 15


種族スキル

繁殖Lv1.

コモンスキル

小鬼言語Lv10.棍棒術Lv2.体術Lv1.悪食Lv1


称号

鬼の末裔


まぁ雑魚だなと言う感想しか出てこない触手を使えば普通に殺せる程度の強さしか無いが、取りあえず捕食&吸収のコンボでゴブリンの肉体も使えるようになったが、多分使う事もそうそうないだろうなと思いながらそこいらにいたゴブリンから繁殖・体術・棍棒術のスキルを簒奪する事にした。


《スキル簒奪によりスキル<繁殖Lv1>を簒奪しました》

《スキル簒奪によりスキル<体術Lv1>を簒奪しました》

《スキル簒奪によりスキル<棍棒術Lv1>を簒奪しました》


「そう言えば悪食のスキルはスキル進化したら、捕食に進化して、それと同時に庫空のスキルも得るけど、本来ならどんな使い方を想定していたんだろうか?単純に毒物を隔離しておく為とかか?

まぁそれはそうとゴブリン...単純なステータスなら結構高いけど、それでも雑魚すぎる。確かこういうのって雑魚だけど数で押す的な戦略を立てる事が多いけど、どうなんだろ」


そう不思議に思いながら他にも<剣術><手当><弓術>のスキルを簒奪した辺りで一つ思いついた事があって、改めて簒奪のスキルを鑑定してみる事にする。


簒奪・相手のスキル等を簒奪し自分の物とするスキルで、自分より弱い存在の場合抵抗されないが、自分と同格又は格上の場合殺さなければ抵抗される場合がある


それで捕食のスキルを鑑定してみる事にする。


捕食・有機物や無機物を問わず物質のみを捕食しそれを庫空に隔離・保管する事が出来るスキル


これを見る限りスキル等と書かれてある通りもしかしたら称号も簒奪する事が出来るんじゃないかと思って取りあえず簒奪してみる事にする


《スキル簒奪により称号<鬼の末裔>を簒奪しました》


それからステータスを鑑定してみる事にすると全部のステータスが5上昇していた事に少しだけニヤニヤしながら眺めていたら次の階層の階段を見つけた。


そうして、取りあえずちょっとだけ覗いてみると、そこは平原で、そこに大体100匹くらいのゴブリンの群れが居た。まぁここから見える範囲だったら、指揮官っぽい個体は居ないからこれは、ただの迷宮の一つの階層と言う考えか、この数で責めるのがここでもボス戦なのか分からなかったが、ここで数えていても結論は出んなと思いながら戦闘を始めた。


手始めに俺が、背中部分をスライムに変化させて、触手を使うとスライム迷宮のボスに使ったように猛毒攻撃等のスキルを乗せた攻撃を容赦なく叩き込むが、相手は数が相手ゆえにそれで散らせたのは数体程度このコンボは使えないなと断じて、他のスキルを使っていたがスキルを唯数だけ使っても無意味だと悟ると俺は、猛毒攻撃等のスキルを全部OFFにして、単純な触手の数のみと再生能力だけに集中力を割いてそれ以外のスキルはあくまで補助程度にしか使わなかった。


その光景を誰かが見ていたらこう言うだろう「正しく戦争だ。」とそれ位にその戦争は苛烈を極めて、ゴブリンの魔法使いや弓使いに剣使い等々あらゆる戦力がこの場に存在する唯一の敵を殺すために差し向けられてきた。しかしこの場から撤退する手段も最早取れないでいた。それは、単純明快で囲まれたがゆえにもはや逃げる事すら出来なくなっていたのだ。


そんな戦争もいずれは終着を迎える。それは簒奪の使い手幸田哲郎の勝利に終わった。



あとがき

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