第1話 転移

「私の声が届くか?人の子よ」


その声が聞こえた途端に俺は、今までに無い程の危険が迫っていると確信した。


「ここは天界、人ならば本来死を経験しないとこれない場、神々に連なる者以外はこれ無い場、だからこそお前たちを招くのに相応しい」


「なんなんだ?ここは一体?お前は誰なんだ答えろ誘拐犯」


今声を振り絞っているのは、確か白峰光機...正義感溢れる人間で、誰に対しても平等に接する姿から何時しかこの常田高校の三帝の一人と言われている人間で、皆を前へ前へと引っ張る姿は男にも女にも人気な奴だ。しかも自分自身は何もしない無責任さが無く何から何まで全て一人で解決しようとするが周りに自然と人があつまり全員で解決する姿は勇者と評するのが正しいだろう...本当に羨ましい。


「そうだこれは立派な誘拐だ...だがこれはお前が人間だったらの事だがな、だがお前自身の事は喋ってもらおう」


駒形麗夜...何時も冷静で常田高校で最も賢くその頭脳は教師など優に越しているとまで言われて、どんな事が思っても冷静に対処する麗夜の姿は三帝の一人と言われた男が何時になく冷静さを崩して捲し立てるが、まぁ授業を受けている最中にいきなりこんな現象に遭遇したらそうもなるなと言う感想が俺の中から出てきた。俺もそう思ってるしなぁ...一応。


「でも先ずはあの人の話を聞いてみようとこんな事人間が出来る訳ないわよそれに殺されるかも知れないから冷静になって話を聞きましょう」


この学園で最も美しく最も優しいと言われて、苛めを見たら自分の身も顧みず助けて、例え殴られたとしても何でもない様に振舞常に人々を安心させる微笑みを浮かべるその姿は聖女や現代のジャンヌダルクとまで言われる程に清らかな人で、常田高校が誇る三帝の一人、清中琴子として有名になっているだけはあると感じさせられる。


「あぁ説明...先ずはあなた方に謝罪を人の子を巻き込んだ事そして、魔を殺させる事あなた方に謝罪をそして私がこれから言い語るはとある世界の事だ...。」


そうして目の前の存在はその出来事を語りだした。


曰く魔なる神が現れ人の中にに暗黒が広がっていると言う事、曰く王が消え月も陰ったとの事、曰く鉄が消え失せようとしているとの事、曰く海に消えゆく泡の様に、曰く星なる者は泡を食す...と最初の魔なる神が現れ人の中に暗黒が広がっている...所謂魔王が現れたから倒して、的な物として考える事にしたけどそれ以外の事は全然分からなかった。


「どれでは汝らに神の祝福をこれこそは汝らに戦闘の法を授ける物だが...その身はこの世界の法則となりこの世界の者となるであろう」


若干怖い事を言われて俺は足が竦んだが、それでも俺以外の全員が何やら覚悟を決めたようでその世界を救うと何やら救世主染みた事を言いだしながら目の前の存在が出した光の玉を体の中に入れながら下に広がった穴から各々落ちていった。


と言う事を見ていたらいつの間にやら俺が最後になって、光る玉を渡そうとしてきたが何も渡されずそのまま下に空いた穴から落ちていった。


「あぁやはり神は醜い」


何故かそう言いながら穴に落ちていき気が付いたら大広間に居た。


「おぉ召喚に成功したぞ」「でかしたぞアルダよ」「これで魔王討伐の悲願に近づいたな」


大広間の端々からそんな声が聞こえてきたが、それ以上に俺はクラスメイトの変わった様子に恐怖していた。何せさっきまで学校で見せていたような雰囲気は無くまるで軍人の様な...死にゆく者の様な感情が見えていた。


「ようこそ異世界からのお客人余はアールスタイト王国15代目国王シャルズ・フォン・アールスタイトだ。お前たちにはこれから魔王討伐をしてもらいたいと思っている」


「待った!その頼みは聞けな...」


「いややろうぜ」「そうだそうだこんな面白そうなこと二度とないぜ」「そうよこんなファンタジー現象現実じゃ出来っこないわ」「なんだよ光機ビビってるのか~」


クラスメイトの皆がそう声を合わせて、僅かな三帝と俺以外の人間はみんな洗脳でもされたのかと思う程に目の色が違っていた。


「...っでも...それでもこんな所にいきなり誘拐まがいの事をする人間が信用できる筈無いだろ」


それでも光機は食い下がる。いくら自分が悪口を言われても幾ら自分の主張が皆と違うマイノリティだとしてもそれが皆の為だと信じて言う姿には男ながらにカッコいいなと感じてしまう


「そうだ。今すべきなのは俺たちの現状とこの場所の事そしてあの人間たちについて知ってから結論を出すのでも遅くは無い」


冷静に今の状況を把握して、情報が足りてないと直ぐに断定し皆を止めるべく光機に続いて止める麗夜はやはりと言うべきか皆を導くカリスマ性が感じさせられる...がその程度で止まるような感情をクラスメイトは持ち合わせていないのか皆話も聞かずに魔王討伐と言う目的を皆が皆達成しようと決意を決めたらしくそんな彼らに麗夜の話は届かなかった。


「でもなんか困ってそうだし少しどんなことで困ってるのか位聞いても良い気がするんだけどなぁ~」


やはりこんな訳の分からない場所でも清中さんの優しさは発揮させられて皆は一旦落ち着いて俺や三帝含め皆で国王の話を聞くことにした。


聞いてみるとこの世界はファンタジー宜しく魔法と言う物が溢れかえってるらしくそんな世界で100年前に突如現れた魔王とか言う化物が、最近になって人々がすむ大陸を侵略してきたらしくその自分たちでは抗えぬ災厄を打破する為に異世界より勇者達を招き入れた。


と言う事らしいが、マジで胡散臭いと思った。


よくある異世界物では魔王と言うのは嘘で戦争の道具に...とか魔王は実在するけど自分たちは鉄砲玉扱いとか結構見た影響かかなり胡散臭く感じてしまった。


「皆さんには神より祝福がある筈です。さて皆様鑑定の儀にご参加を」


そう言われながら招き入れられたのはさっきの大広間よりかなり広くそこにはさっきの部屋の様な騎士の様な格好をした人たちで溢れかえっていたさっきの場所とは違って、いかにも貴族と言った裕福そうな恰好をした人たちがまるで自分たちを見世物にするかの如くに眺めていた。


「それでは異世界よりの勇者様方の鑑定の儀を開始いたしますそれでは皆様振るってご見物いただきますようよろしくお願いいたします」


先ず一番手として危険が無いかもしも危険があっても被害が自分だけで済むようにと光機が前に出て宝玉に手を置いた。


名前 白峰光機

種族 人間

職業 勇者Lv0


命力 300/300

体力 350/350

魔力 250/250


攻撃力 200

防御力 250

速度力 250

魔法力 200

抵抗力 250


固有スキル

人族の希望

コモンスキル

体術Lv2.剣術Lv1.計算Lv4.疾走Lv2.


それ以外にも続々と能力値...ステータスを図る人々が続いていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る