最終話

//SE ドライヤーの音


//ドライヤーの音が止まる

「ふぅーっ。お風呂気持ちよかったね」


「私としてはもっと入念に体を洗ってほしかったところだったけど」


「まあ頑張ってくれたし許してあげる」


「私アイス準備しとくからドライヤーしといてね」


「……え? あるよ?」


「なんでも何も君が私のおっぱいをちっぱい呼ばわりしたから罰としてコンビニまで行って買ってきてって言っただけで、家にアイスが無いとは言ってないでしょ?」


「私はずる賢い女なのです」


「じゃあアイス準備しとくから」


「なんのアイスがあったかなー」

//SE 冷蔵庫まで歩く音)


『ワンッ!』

「プチにもオヤツあげるからねー」


//スマホの着信音がなる


「--あっ。ねぇ電話鳴ってるよ!」


「うん、気にせず電話してて」


「あっ、ちょっと待ってもしかして女の人だったりする?」


「私は常日頃から君が浮ついてないか心配してるからね」


「職場からか……。なら仕方がないね。じゃあ私は黙って気配消しておきまーす」


//SE 電話中冷凍庫内のアイスを探る音


「あっ、電話終わった? なんの話だったの?」


「もしかして君がミスでもして迷惑かけちゃったとか?」


「知ってるよ。君がミスなんてしない真面目な人だってことくらい」


「それでなんだったの?」


「突然の異動を告げられたとか?」


「--はっ⁉︎ 今から職場に来い⁉︎」

『--ワンッ⁉︎』


「何言ってんのその上司、こんな時間から会社に戻らないといけないなんて頭おかしいじゃん!」


「だってもうご飯も食べてお風呂も入ったんだよ⁉︎」


「今から会社なんて絶対行く必要無いって!」


「今ちょっと遠くに居て、って言えば戻らなくて済んむんじゃないの?」


「でも困ってそうだったからって、君ねぇ……」


「そんなに馬鹿正直に生きなくてもいいんじゃないの?」


「……まあ君のことが心配だから嘘でもついて断ればいいじゃんって思うけど、君のそんなところも大好きだからね」


「仕事より私を優先しろなんて言わないから、困ってる上司を助けてきてあげて」


//主人公が着替え始める


「ごめんって謝るなら、今度こそコンビニでプリンでも買ってきてもらおうかな」


「アイスは家にあるし」


「上にクリームがたっぷり乗ってるタイプのやつで」


//着替え終わり玄関に向かって歩く


「お疲れだろうから無理はしないでね」


「帰りが遅くなっても起きて待ってるから」


「……やだ。絶対寝ない」


「流石にプチは寝てるかもしれないけど」


「はぁーあ。せっかく今から君と二人でイチャイチャできると思ったのになー」


//頭を撫でる


「……帰ってきたらって言われてもそれ何時くらいなのって話だよ」


「流石に遅すぎたら私だって眠気のせいでそんな気起こらないかもしれないし」


「起こらないなら起こしてやるって……もう。そんな時だけ調子良いことばっか言うんだから」


「……じゃあ期待してるから」


「うん。気をつけてね」


「私もプチも、君のこと大好きだよ」

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仕事終わりに犬系彼女の家に行ったら、お世話されると思いきやお世話してる気がする 穂村大樹(ほむら だいじゅ) @homhom_d

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