す、好きになんかなってないんだからね!?ほんのちょっと気になっただけだもんね!?
入学式から一週間立った頃の昼休み。
私は、ゴリ助の鍛え上げられた腹筋をボコスカ殴りながら、愚痴っていた。
「わからないー勉強が全くわからないー、英語も数学も面白いくらいにわからないー」
「分かったから、殴るのやめてくれ」
ベルはクスクス笑いながら、星来は私のことを止めに掴んでくる。
星来は力が強い、めちゃくちゃ。
痛いもん掴まれたら。
「まあまあ、わかりますわよ私だって勉強は得意ではないですし、英語に関して言えば先生が何を言っているすら理解できませんもの」
ベルは、頭が悪い。
そう、私に引けを取らないくらいには。
「分からないなら、俺が教えてあげるから…ってこらクリスまで殴るなよ痛てぇって!」
ベルも一緒になってゴリ助を殴りはじめる。
だが、ちょっとキレたゴリ助に私達は、簡単に引き剥がされてしまった。
「んで、どこがわかんねーんだよ」
私と、ベルは各々がわからないところを教えてもらった。
ゴリ助は頭がとても良い。
星来と同じかそれ以上。
分からないところを、教えてもらっていると珍しくゴリ助が固まった。
「あ、あれ?これどうやるんだったけな」
頭を抱える。
そして、昼休みにもかかわらず英単語帳を読んでいる、星来に助けを求めた。
「この問題はねぇ、えーとうーんとわかんないわ…」
「だよな、むずいわこれ」
星来はすごく落ち込んでしまった。
解けなかったのが相当悔しかったらしい。
「じゃあ、この学校に首席で合格したあの方に、聞いてみるのはどうです?」
ベルは、一人で本を読んでいる男子生徒を指さし言った。
「おー確かに、聞いてくる」
私は、この学校に入学して一週間経ったが、未だにベルとゴリ助以外に話せる友達は居ない。
ゴリ助はいるみたいだが、私と星来とベルは居ない。
交友関係を広げるチャンス!と思い首席の、名前はーあっそうだ卯月陽也に声を掛ける。
「あ、あのー卯月くんだよね、わからない所があるから教えてほしいんだけど」
数学の参考書に、指を指しながら言う。
「あーいいよ全然、それでどこがわからないの?」
「こ、ここなんだけどさ」
卯月は、シンプルにイケメンだしスポーツも万能らしい。
教えるために、体の距離が近くなってちょっとドキドキした。
私だって年頃の女の子だもん!イケメンにドキドキするもん!
そう思いながら、卯月の説明を聞いた。
その頃残りの3人は……
「おっ茜ってば恋愛はしないとか言っときながら、結構惹かれてやがる」
「いいですわね、こう見ると中々お似合いですわ」
「あっあ…茜ぇいかないで…」
「「え?」」
ほっこり見守る2人と、なぜか泣いている1人に見守られながら、教わった。
お礼を言って、3人の所へ戻ろうとした時急にゴリ助が私達に話しかけてきた。
「よお、卯月くんうちの茜ちゃん狙ってんじゃないの?」
「えっ!?」
「わ、私!?」
卯月の顔が引き攣る。
私もびっくりして、大きな声が出てしまった。
「ちょっとゴリ助何してるんですの」
「ご、ゴリ助さん!!」
ベルと星来が止めに入った。
「すまんすまん、ちょっとこういうのやってみたかったんだよ」
「茜のことで笑ってましたけど、これじゃあ茜と変わりませんわよ」
「た、たしかに」
2人は本当に仲が良い。
正反対な2人だが、どこで出会ったのだろうか。
まあ、そんなことは今はどうでもいい。
「どうしたの?卯月くんに聞きたいことでもあるの?」
「いや、違う」
「じゃあどうしたの?」
卯月は、私達について行けないのか1人でビクビクしてしまっていた。
「卯月さ、悪いけどお前ボッチだよな」
「え、うんまあそうだけど」
「ゴリ助さんいきなり何言ってんのよ〜!」
星来がゴリ助の腹筋を叩き始める。
「ちょ、星来待てって…んで卯月、俺達のグループと仲良くしようぜ?うちにはバカ2人がいて手に負えないんだよ、いいだろ?」
答えを聞く前に、ゴリ助は卯月と無理やり肩を組むと、さっきまで私達が居たスペースに連れて行った。
「恋愛なんてしないって言いながらも、やはりあなたも年頃の女の子ですわね」
ベルはそう耳打ちすると、小走りでゴリ助を追っかけていった。
「な、なにいってんのさ!ぜ、全然気になってないしー何言っちゃってんの!!」
顔を赤くしながら、言った。
そして、ベルの後ろに忍び込むと髪の毛をワシャワシャしてやった。
「あ、茜…」
星来は少し悲しそうに、右手を伸ばす。
「よっしゃ卯月、俺達もここわかんないから教えてくれ」
「お、おうよ」
そうして、学年一位が仲間になった。
ちょっと、嬉しい。
ちょーっとほんのちょーっとだけ、彼のことが気になった。
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