ひかり
ながい午睡波打つ黒髪に差し込む指先、
柔らかな日差し持て余しぬるい体温、
鬱々と。
遠くのチャイム馳せる校庭の、
ぼくの靴。
かつてのぼく。
さらり、通り過ぎる鳥の影、
もたげる頭香る汗も滲む体温も。
ひかり、
ひかり、
窮屈なぼくの目玉をうめつくす、
ひかり。
急降下に愛、
手のひらに受け止めて滑って、
可哀想だねと、
口の端で笑うぼくだけの昼。
睫毛の先のひかり、
すくって、
遠ざけたぼくの過去。
噛み締めた歯、
歯、
ごまかせるはずもなく、
噛み締めた過去、
ある昼のひかり。
一匙のひかり瞼の裏に隠して、
磨く一粒のひかり、
可哀想だねと。
目覚めない午後の守られたぼくの、
ひかり。
きらめく塵の背景のぼく、
ひかり、
ひかり。
信じてくれるとつないだ手、
校庭のひかり、
包まれてひかり、
ひかり。
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