緑色のねりあめ
掌に十円玉をにぎって。
Mと駄菓子屋まで走りました。
Mのてにも十円玉がにぎられております。
ぼくはおつかいなどはしたこともなく。
はじめて子ども同士でかいものをするということで。
母から好きなものをかっていいよと。
走って駄菓子屋向かいました。
駄菓子屋のガラス戸を引いて、なかにはいりますと、
駄菓子が整然とならんでいるその棚に、
ぼくは端から順にみていって。
Mはすかさずスーパーボール当てくじをしたいと声を上げ、
おじいさんに十円さしだすも、
ちょっとたりないようだねえ、
とおじいさんは禿げ上がったあたまを撫でて。
Mはちょっと恥ずかしそうな顔をしながら、
じゃあ、
っとべつの棚を眺め回り。
ぼくは緑色のねりあめを持って、
おじいさんに十円と一緒にわたすと、
おじいさんは十円をうけとって、毎度っというのを
ぼくは店先のべんちにすわって、
ねりあめをぴりぴりと破くのを、
急いでやってきたMの手にもねりあめが。
Mはみずいろのねりあめの袋を破き、
ふたり。棒でねりねりとこねりだし。
だんだんと白っぽくなってきたね、
とMが声をあげるのを、
おうともよ、
とぼくは応え。
ちろっと舐めてみないか。
とMがぼくをみつめては。
「いや、まだ練りあげないと」
とぼくは棒をすりあわせ。
味見はひつようだろう、
とMが舌先をつきだすのを。
ぼくは あ…あ、とため息をついて。
まだ早かったろう? と舐めたねりあめをみては、
いや、まろやかなあじわいだ、
とMはまた舌先をあめの先端につけるのを、ぼくはやきもきしながらみては。
どれ、
とぼくも我慢ができなくなって
あめにくちびるをつきだしては。
まるでキッスでもするようになめ回し、
唾液がしみでてあまさととけるこうないに。
ぼくはのどをならしてあまさを胃まで送り込む。
あっというまに棒にまとわりついていたあめを食べきったMは。
ぼくの緑色のあめをみつめては。
ちょっとくれないか、
と棒をていねいに舐め上げ。
ぼくはいじわるく。ふんっと、舌で上下にあめを。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます