3話 不自由

246911。

はい。

異常はないな。

はい。

では最後の検査を行う。

はい!分かりました。

ピ.ピ.ピ.

13年前に三人姉妹の三女として生まれてきた。

全員1歳差で毎日遊ぶほど仲が良かった。

でも二人の姉は2年前と1年前家から出て行ってしまった。

長女は海外留学に、次女は仕事の寮に。

寂しくないといえば噓になる。

今は、お母さんとお父さんの3人で暮らしている。

私たち姉妹は、生まれた時から毎日検査をしている。

生まれた時からしているからそれが普通だと思っていたがどうやら違うらしい。

そう思い始めたのは8歳の時。

私は、注射が嫌いだ。

なのに、毎日、毎日、注射があって嫌気がさしていた。

そこで、お母さんに「なんで毎日注射するの?」と聞いたことがあった。

お母さんは「生きるためだよ」といつもより少しだけ低い声で言われた。

その時に私は大きな病気にかかっているのだと悟った。

そして、その病気は遺伝だと思った。

なぜなら、お姉ちゃんたちと一緒に検査をしていたから。

お姉ちゃんたちは大病を直して自由になっている。

だから、私も早く治して自由になりたい。

そんな思いを抱きながら毎日過ごしていた。

そして、今日13歳を迎えた。

「明日で検査は終わりだ」と昨日言われたとき涙が止まらなかった。

お姉ちゃんたちのように何も気にせず色んなことができるようになれる日が来る。

やっと自由になれる。

そう思っていた。

しかし、自由になれなかった。

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