第2話 荒廃した街
場所: 東京の街中
時間: 夕方、タカシが研究所から出発した日
タカシ・ヤマダは研究所を後にし、街中を歩いていた。夕日が沈みかけ、オレンジ色の光が荒廃した街を照らしている。かつては活気に満ちていたこの街が、今では静寂に包まれているのが信じられなかった。道端には放置された車や、倒れた人々の影があちらこちらに見える。
タカシ(独白): 「こんなことが現実に起こるなんて…」
彼は歩きながら、手元の地図を確認する。生存者が集まっている可能性のある場所へ向かうためだ。だが、どこへ行っても無人の建物と静まり返った通りが広がっているばかりだった。
タカシは近くのスーパーマーケットに立ち寄ることにした。食料や水を確保するためだ。店内は荒れ放題で、棚にはほとんど商品が残っていなかった。彼は残された缶詰やボトルウォーターをバッグに詰め込む。
タカシ(独白): 「こんな状況で人々はどうやって生き延びているんだろうか…」
彼が店を出ようとしたその時、遠くから微かに泣き声が聞こえてきた。タカシは立ち止まり、耳を澄ませる。
タカシ: 「誰かいるのか?」
彼は声のする方へ慎重に歩み寄る。泣き声は店の裏手の方から聞こえてくる。そこには、小さな女の子がひとり、壁にもたれかかって泣いていた。彼女は汚れた服を着ており、恐怖に怯えた目でタカシを見上げた。
タカシ: 「大丈夫か?名前は?」
女の子: 「…マリ。お母さんが…お母さんがいなくなっちゃった…」
タカシは優しく彼女に近づき、しゃがみこんで目線を合わせる。
タカシ:「マリちゃん、怖かったね。でも、もう大丈夫だよ。おじさんが一緒にいるから。」
彼はマリを抱き上げ、店の中に戻り、少しでも安全な場所を見つけようとする。店の裏手にある小さな事務室に彼女を連れて行き、簡易ベッドを作る。
タカシ: 「ここで少し休もう。何か食べ物が欲しい?水もあるよ。」
マリは静かにうなずき、タカシが差し出した水を飲み始める。彼は彼女を見守りながら、自分の使命を再確認する。
タカシ(独白): 「人々を救うためには、まず自分が生き延びなければならない。そして、この子のような生存者を見つけて守ることが大事だ。」
彼は一夜を明かす準備をしながら、明日の旅程を思い描く。希望は薄いが、彼はまだ諦めていない。人類の存続を賭けたタカシの旅は、これからも続いていく。
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