第12話 Chapter12 「米子のセクシー拷問 夜桜」 

Chapter12 「米子のセクシー拷問 夜桜」 


「うっ、何だこれは?」

北山はロープで椅子に縛りつけられていた。右手だけが自由になっている。

「北山さん、お話しましょう」

米子は甘い声を出して北山の前に立った。服装は桜山学園の制服だ。紺色のブレザーに白いシャツにブルーのスクールリボンにブルータータンチェックのミニスカート。靴は黒いタッセルローファー。靴下は白。

「沢村さん、どういう事だ? なんだこれは!」

「北山さん、悪いけど拷問するよ。電気ビリビリだよ」

ミントが言った。

「どういう事だ! えっ、電気!?」

「北山さんのアソコにスイッチを装着したんだよ。大きくなったらスイッチが押されて電気が流れるよ」

「ふざけるな!」

北山は自分の股間を見た。ズボンと下着が脱がされ、露わになった一物に灰色のマジックテープが巻かれ、そこからコードが伸びて大きな黒い箱に繋がっていた。体のあちこちに電極が取り付けられ、それもコードで黒い箱と繋がっている。

「北山さん、私を見て」

米子はスクールリボンを外すとシャツの前ボタンを外して開いた。下着を着けた胸が露わになった。大きなおわん型で理想的は膨らみだった。

北山の体がピクンと動いた。

「うっ、痛ててててててて!!」

北山が叫んだ。

「北山さん、スイッチ入っちゃったよ。もう元気になってるんだ。でも、電気が流れると大人しくなるんだね。米子、もっとサービスしてあげて」

「やめろ、やめてくれ、どうすればいいんだ?」

米子は北山の前に体育座りをしてスカートを少し引いて徐々に膝を開いた。北山の位置から良く見える。

北山の体がビクンと動いた。

「うわっ、痛てーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

「北山さん、我慢しないとこの機械、スイッチが入る度に電圧と電流がどんどん強くなるよ」

ミントが警告する。

「止めろ! 何なんだこれ! やめてくれーーー」

「米子、北山さんが喜んでるよ」

「違う! やっ、やめろ」

米子は四つん這いになって北山に、小ぶりだが丸みのある、桃のような尻を突き出すように向けた。

「ああっ、やめろ! でも、凄い、イイッ、見たい!」

北山が言った。

米子は頭を低くして『女豹のポーズ』になった。スカートが短いので白い下着が見えている。

北山がのけぞる。

「嬉しいーーーー! ウガーーーーー、でも痛てーーーーーーーーーーーーーー!!」

「5分間休憩だよ。北山さん、休んでね」

ミントが言った。北山はうな垂れた。

「北山さん、いつも飲んでるやつ飲む? もっと元気になるよ」

ミントが『シコリッシュ・ゴールド』の缶を差し出してプルタブを開けた。『プシュ』と音がした。

「ふざけるな、いらないよ!」

「勿体ないなあ。これ高いんだよね。じゃあ私が飲むよ。『赤まむしエキス』とガラナとスッポンエキスが入ってるだ」

ミントは缶に書かれた成分を見て、『シコリッシュ・ゴールド』を一口飲んだ。

「なにこれ? 変な味だね。漢方薬みたいだよ。でも、その分なんか効きそうだよ」

「北山さん、私の事がタイプなの? よく視線を感じるんだよね」

米子が言った。

「ああ、そうだ! 何が悪い! お前は滅茶苦茶カワイイ。アイドル以上だ! 自分でもわかってるだろ! 寝る前にお前の事を何百回も想像したぞ」

「ふーーん、やっぱり米子の事が好きなのか。なんか悔しいなあ。どんな想像したの? ねえ、こんなのどう?」

ミントは『シコリッシュ・ゴールド』の缶を机に置くと北山の右手を掴んで、北山の掌を自分の胸に押し当てた。

「うおっ、うほっ、ウガーーーー、痛てーーーーーーーーーーー!!」

「もう、休憩してせっかく大人しくなったのに、また元気になっちゃったね」

「やめろ、やめてくれーーーーーーーーー嬉しいけどやめてくれーーーーーーー 痛てえーーー」

「北山、いつからなんだ。いつから俺達を裏切ったんだ?」

木崎が冷静に訊いた。

「木崎さん、あなたには感謝してます。だけど、俺だってあの組織には逆らえない。怖いんだ。勘弁してくれ」

「米子、もっとやれ」

米子が立ち上がって北山に近づいた。そして北山の右手首を掴むと自分のスカートの中に入れて離した。

「ねえ、女の子のココ、触った事ある? 私の触りたい?」

米子が甘い声を出した。北山がのけ反るように激しく動いた。

「うがーーーーーーーーーーー ギャーーーーーーーーーーー!!反則だぞーーーーー!! お前ら人として恥ずかしくないのか! 恥を知れ! 痛てーーーーーーー!!」

「偉そうな事言っても、体は正直だね。こんなに元気になってるよ、暴れん坊将軍だよ。これ以上電圧と電流が強くなったらヤバイよ、死んじゃうかもよ。米子、もっとやっちゃいなよ」

「北山、今ならまだ間に合う。話すんだ。あの組織って何だ?」

木崎が言った。

「はい・・・・・・でも、やつらに殺される。無理だ」

「北山さん、お別れのキスしよう」

米子は男とキスをした事は無かったが、任務なので抵抗は無かった。米子の唇が北山の唇を塞いだ。

「スゲエ! うおーーーーーーーー!!」 「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーー!!! 痛てええええ!!!」

「キャア、痛いっ! ちょとミントちゃん、私も痛いよ!」

「電気だから体を接触すると流れるよ。私もさっき凄く痛かったよ。しかし北山さん元気だね、職業間違えたね、AV男優になればよかったんだよ」

北山はうな垂れてぐったりしている。

「もうやめて下さい。『桜』系です。『夜桜』・・・・・・」

北山がか細い声で言った。

「なるほど。そんなものが飛び出したか」

木崎は納得したようだ。

「木崎さん、夜桜ってなんですか?」

米子が訊く。

「公安警察配下の最高機密の組織だ。俺も詳しい実態は知らない」

「許して下さい。あいつらが接触してきたのは3ヵ月前です。その頃から情報を漏らしてました。でもあいつらには逆らえない!」

北山が観念したように言った。

「桜系だろ。名目上は俺達より下部の組織だ」

「あいつらを舐めない方がいい、あいつらはあんた達が邪魔なんだ! 内閣情報統括室よりもっと強力で『新しい力』がバックについてる、目指しているのは新秩序だ!」

「新秩序? なんだそれは。新しい力?」

「俺もよくわからない。でも日本を真の資本主義国家にするみたいだ」

「日本は今でも資本主義だ」

「もっとだ。もっと強力な資本主義だ。0.1%の富裕層と99.9%の働きアリの世界だ」

「0.1%は層とは言わない。そんなの超独裁国家だ。力で支配する国家はいずれ破綻する」

「力じゃない。法と経済システムで支配するんだ」

「お前も99.9%だぞ」

「俺はやつらに見込まれた。0.1%に入るんだ。そうすれば金も女も自由にできる!」

「北山、気が付くんだ、今のお前はそいつらの駒の駒の駒だ」

「違う! あんた達もこっちに来るんだ! 俺が取りなしてやる! 俺に感謝しろ!! 俺に跪け!!」

北山が叫ぶ。

「北山さん、今までいろいろありがとう。腕のいいハッカーだったが残念だ。米子、やれ」

木崎が低い声で言った。

米子はS&W(スミスアンドウェソン)のタクティカルボールペンを北山の首に深く突き刺した。北山は椅子に座ったままこの世から旅立った。


 「やっぱこの人、キモかったね。でもちょっと可哀想だよ」

ミントが言った。

「北山さんも利用されただけだよ。夜桜に新秩序、なんか怖いね」

米子は何故か嫌悪感を抱いた。

「それにしても、米子もミントもシナリオ通りによくやってくれた。いい感じだったぞ。お前らお色気演技上手いな、女アサシンとして見込みがある」

「木崎さん、最初から殺すって言って脅せばよかったんだよ。恐怖と痛みを与えればいいんだよ。訓練所ではそう習ったよ。それか『マッサージ屋』(拷問専門のチーム)を使えばよかったんだよ。何で私達にこんなエロい拷問をさせたの!? ご丁寧にポーズの絵やセリフまで準備してさ、あんなの恥ずかしいよ! お嫁に行けないよ!! そもそもこんな変な機材どこから借りたの!? セットする時キモかったよ! いろいろおかしいよ!!」

ミントが抗議した。

「ポーズやセリフは劇団(劇団とは工作の支援の部署で、作戦に応じて武器以外の必要な道具やエキストラのような人材を提供してくれるので組織内で劇団と呼ばれている)に頼んだ。おかげで演技しやすかっただろ。機材も劇団に頼んだんだ。マッサージ屋が吐かせても、『夜桜』の名前が出たらビビって拷問は中止するだろう。結果も教えてくれない。それくらい夜桜は恐ろしくて危険なんだ。俺達でやって正解だった。それに、いきなり恐怖と苦痛を与えたら精神が崩壊したりする。こういうタイプには『アメとムチ』のセットの拷問が一番効果がある。一番嬉しい事と一番の苦痛を同時に与えるんだ。そうすると脳が混乱して理性が吹っ飛んで何でも話す。北山の場合は性的な報酬と、電気による苦痛だ。北山は女を知らないが故に性への興味と期待が異常に強い。中学生男子以上だ。冬は静電気防止グッズを何個も身に着けていた。ドアノブを触る時もグッズで除電してた。電気による痛みが嫌いなんだ。電気恐怖症と言うらしい。お前らが訓練所で習った拷問はごくごく基本にしかすぎない。拷問は相手の特性に合わせる事で最大の効果を発揮する。今回の拷問はお前らの教育の一環でもあるんだ」

「なるほど、合理的ですね。納得です。勉強になりました」

米子は木崎の話に感心していた。

「米子違うよ! 木崎さんの詭弁だよ。あーあ、米子が変な拷問覚えちゃたよ。でも米子が考えたら効果ありそうだね」


「木崎さん、恐らく『夜桜』は『オットー』と関係しています。仲間だと思います。北山さんが漏らした情報を元にオットーの暗殺を阻止したのは夜桜です。暗殺の実行役の私の事も狙っていました。青木翔太を使ったのは三輝会じゃありません。それも夜桜です。夜桜は三輝会の仕業に見せ掛けようとしています。私への恨みを利用して」

「だが、北山が正体を明かした以上やつらは青木翔太を使えないぞ。なんで正体を明かしたか『謎』だがな」

「謎じゃありません。北山さんは青木翔太がアサシンで、私を狙っている事を敢えて明かすように夜桜に指示されてたんだと思います。青木翔太はやつらにとって捨て駒です。やつらは使ってきます。来週、青木翔太とデートをする約束なんです。そこで私に青木翔太を始末させる目論見です。青木翔太を始末して安心した私を同時に殺るつもりです。デートの場所はディズニーランドです。カウンターを仕掛けましょう」

「米子、お前は恐ろしいほど勘がいいな。さすがIQ160だ。カウンターか」

「勘じゃありません、推察です」

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