5話 彼女は

「なな、いるんでしょ?」

ひなたは優しい声で私に話しかけた。

「え、なんで扉の前にいてたことが分かったの?」

「そんなの分かるよ、足音聞こえてたから」

というか、あの話聞いてた?」

「ああ、ごめん。聞いちゃった。

でも別になんとも思わないよ。」

「なんで?」

ひなたは困惑した目で、こっちを見ている。


「人の好き嫌いって必ずあるし、

最初聞いた時は驚いたけど仕方ないよ。」

「ねぇ、もしかしてそれだけ?

他になにも聞いてない?」

「ああ、うん。

ひなたがりあのことを嫌いってことは聞いたけど?」

私がそう言うと、ひなたは安心したようだ。

何を安心したのだろうか?

もしかして……………………………

いや、そんなことない。


「なな、明日さ、休みじゃん?」

「うん、そうだね。」

「一緒に出かけない?

ヒマワリが咲いてて綺麗なところがあるんだけど!」

「いいよ、花好きだし。」

「やった〜!

じゃあ、駅で待ち合わせで!」

ひなたはそう言うとニコニコしながら、

私を置いて廊下を歩いて教室に帰っていった。


次の授業の用意をするために、

私は急ぎ足で教室へ向かった。






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