2話 2人の噂

席につくと、隣の席に座っているあゆかちゃんが話しかけてきた。

「今日も席につくのギリギリだったねw」

「あゆかちゃんも結構ギリギリじゃない?

授業始まる5秒前ぐらいについてたじゃんw」

私がそう言うと、あゆかちゃんは笑いながら言う。

「ななちゃんさ、あの噂って知ってる?」

「噂?」

私が神妙な顔で言うと、

真剣な顔であゆかちゃんは言う。

「あ〜やっぱり知らないか〜!

隣のクラスにさ、ひなたちゃんとりあちゃんって子いるじゃん?ななちゃんと仲いい子。」

「それがどうしたの?」

「ひなたちゃんとりあちゃんって仲悪いらしいよ。

ひなたちゃんが…」

あゆかちゃんがそう言った瞬間、

先生がドアを開け、教室に入った。

「起立、礼、着席」

今日の日直の新田くんが言った。

「ごめん、あゆかちゃん。

何も聞こえなかった。ひなたとりあがなんだって?」

「やっぱり何も知らないほうが良いよ。

もし、そのことを知りたければ本人達に直接聞いてみればどう?」

そう、あゆかちゃんは言う。

「え、待ってよ、気になるじゃ〜ん!

教えてよその噂。」

「だから、本人達に聞きなよって。

どうせ言ったってななは信じないでしょ。」

「信じるよ!」

「信じないよ、ななは。」

「なんでそう言い切れるの?教えてよ」

「だって明らかに信じなさそうじゃん…」

「まぁ、そうかもしれないけど!

教えて!全てのこと」

「言わないよ、はい授業に集中して!!」

私が頑固に聞きたがっていると、あやかちゃんはそれだけ言って話を強制的に終わらせた。


授業が終わり、休み時間になり、私は隣の教室に行った。

だけど、りあとひなたは居なかった。

「りあちゃんとひなたちゃんはここには居ないよ。ななちゃん。」

りあとひなたと同じクラスの男子、川原くんがニコニコしながら言った。

「じゃあ、どこにいるか分かる?」

「まだ理科室にいると思うよ。

あの2人は授業終わっても片付けしてたし。」

「そうなんだね、教えてくれてありがとう

川原くん。」

「あのさ、川原くん。」

「どうしたの?ななちゃん。」

「りあとひなたのその、噂って知ってるかな?」

私が知りたそうな顔をして聞くと、

川原くんは困った顔をしながら言う。

「知ってるよ。けど、ななちゃん。

もし、それを知ったら後悔してしまうと思うよ」

「後悔しないよ!

内容は言わなくていいからさ、どんなかんじのか教えてよ。」

「ひなたちゃんがりあちゃんを階段から突き落としたんだよ。」

「え?」

「思ったより、何も思ってなさそうだね

ななちゃん。

むしろ、笑ってる?」

「いや、笑ってないよ。

ちょっと、思ったより違うなって。」

「まぁ、早くりあちゃんとひなたちゃんを探しに行きなよ。」

「あ、そうだね。教えてくれてありがとう。」







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