すてられない
綺麗にラッピングされた小包を彼女が苦い顔で手渡して来た。
「またどっかの女にプレゼント?」
「まあな」
「あきれた……何回目?」
「さあな」
彼女はベッドに腰掛けた。それから心底不思議だといった目で呟く。
「どうしてあなたは私といるのかしらね」
「俺もわかんねーや」
「そこはうそでも愛してるっていうべきだと私は思うけど」
何も返さずにいると、彼女はあきらめたように息を吐いた。
「寝るわ。電気は消しといて」
「なあ……」
ベッドに入った彼女を追って寝そべる。彼女を背中から抱える。
「俺のしに場所はここだよ」
彼女の腹に回した腕に力をこめる。この子と付き合いはじめてからも昔からつながっていた女との関係を絶たなかった。それに文句をいいつつ受け入れる彼女にあまえて、何も捨てずにいる。彼女と違って。ずるいふるまいだとわかっているけれど、まだこうして甘えてしまう。それを受け入れる彼女も悪いんじゃないだろうか。そう思っても口にしたことはない。
「そのときまでここが空いてるといいわね」
「おやすみ」
つれないことを言う彼女に眠ってくれと伝える。明日はこの子に似合う指輪を探しに行くつもりだ。起きて覚えていたらだけど。
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