第2話 うちの子はそんなセリフを言わない

(主人公は冒険へ進むボタンをタップし、クリアしたエリアを選択する)


「自分の成長がはっきり分かるのは、前に戦ったことのある相手とのバトルだよねぇ~。前回の借りを返してあげる!」(再戦にやる気を燃やす)


(主人公が決定ボタンをタップする)


「最速記録、更新しちゃうよぉ~! それじゃあ、いこっ!」


(ローディング画面に変わる)


「ローディング中だよ。しばらく待っててねぇ~」


(ローディングに時間がかかるため、豆知識が流れる)


「豆知識その一。精霊を操るソルシエールは、ほとんどが女の子。まれに男の子が能力に目覚めることもあるよ。男の子のソルシエールは悪霊も引き寄せてしまうから、どの精霊と契約するかが重要になるの」


(バトル画面が表示される)


「精霊召喚!」


(編成した精霊が召喚され、武器を構える)


「戦闘開始!」


(フェールが先陣を切る)


「せっかく出てきてくれたところ悪いけど、すぐに退場させてあげる!」


(ハンマーを振るう音。すぐに敵が倒れる)


「すごいよ、マスター。最速記録、いけたかも」


「戦闘終了!」


(戦いを終えた効果音が鳴る)


「ふ~! いい汗かいたねぇ~」(汗を拭う)


「新しい装備が手に馴染んでくれたから、たくさん動いちゃったなぁ~」(戦いの興奮がまだ残っている)


「クエストクリア! 報酬一覧だよっ!」


(獲得したアイテムが一覧に表示される)


「滅多にお目にかかれない素材も、ドロップしたみたいだよぉ~」(見せびらかそうと大きく手を広げる)


(主人公が次へ進むボタンをタップする)


「ベストスコア、更新だねっ! ブイっ!」(ブイサインを作る)


「三秒以内に倒せたから、ランキングに載るんじゃない? マスターの名前!」(誇らしそう)


(褒めてもらうことを期待して、主人公に駆け寄る)


「あ~~っ! マスターったら、フェールのこと全然見てないじゃんかぁ~!」(むむぅっと唸り声を上げる)


「ほかの精霊に目移りしちゃうの、マスターの悪い癖だよぉ?」(溜息をつく)


「そりゃあ、フェールより可愛い美少女が勢揃いしてるけどさぁ~」(構ってほしい気持ちを前面に出し、チラチラと見つめる)


(主人公が謝罪の意を込めて、フェールの頭を撫でる)


「もおぉ~。マスターが触るまでは、完璧なヘアスタイルだったのにぃ~」(むくれる)


「前髪がぐしゃぐしゃだよぉ~。頭を撫でてほしい訳じゃなかったんだからね?」(まんざらでもなさそうに目を細める)


「そ~だ!」(いいことを思いついて、しめしめと笑みを浮かべる)


「しょ~がないから、マスターの頭も撫で撫でし~よおっと!」


(主人公に近づき、そっと手を伸ばす)


「マスターの、思ったより硬いんだねぇ」(未知の感触に興奮する声)


「ここも、フェールにはない感触だぁ。フェールのとは違うから、ずっとにぎにぎしたくなる……かも」(自分で言っていて恥ずかしくなる)


「耳たぶなんて、触り心地が同じような気がするのにねぇ~。不思議~」(主人公の耳元でささやく)


「ふふっ。マスター、気持ちよさそ~」(満足げに笑う)


「じゃあ、これは? 耳の後ろも同時に触るの」


(触られた場所より、耳元の声の方が全身をぞくぞくさせられる主人公)


「おやおや~? そんなにくすぐったいのぉ~? わざとらしいなぁ~」

(やめてと懇願する主人公だが、フェールは納得しない)


「えぇっ? やめちゃっていいのぉ~?」(半信半疑な様子)


「正直になったらいいのになぁ~」(フェールの声がより近くで、蠱惑的に響く)


「本当はも~~っと、触られたいくせに」


(主人公が図星をつかれ、背筋を震わせる)


「口じゃ、強気に言ってるけど」(主人公の耳たぶをくにくにと揉む)


「説得力ないよぉ~? 好き勝手に触られているのに、全然逃げようとしないんだから~。一回もフェールのこと、拒絶してないでしょ?」(笑いながら、なおも触り続ける)


「気づかないと思った? 手を止められたら、物欲しそうにフェールを見てること」(にやにやする)


「やじゃ、ないもんね? くりくりされるの。もっと触ってほしいんだもんねぇ~? でも、耳たぶと耳の後ろの刺激だけじゃ、そろそろ物足りなく感じちゃうかな~」(主人公の反応を楽しむ)


(耳の中に人差し指を入れる)


「耳の中はだめ? あまり綺麗に洗えていないから?」(きょとんとする)


「そんなこと気にしないよぉ~。フェールが綺麗にしてあげる~」(張り切って触るのをやめない)


「髪も耳も気持ち~よねぇ? ふふっ。マスター、赤ちゃんみたいにすぐ眠っちゃいそうだよ」(くすくす笑う度、吐息が主人公の耳をくすぐる)


「それじゃ、かわいそ~なマスターを解放してあげる~」(主人公の耳元から離れる)


「フェールの髪をぐしゃぐしゃにした罰だから、ご褒美になったらだめなんだぁ~」(舌を出して笑う)


「うちの子はそんなセリフ言わない?」(焦る)


「やだやだっ! フェールのこと、嫌いにならないでぇ~~! さみしいぃ~~~!」(余裕を失った声)


「あんまりマスターを困らせるのもやだし、マスターと遊ぶのはここまでにしとこうかなぁ~」(少し残念そう)


「マイページに戻る? それとも、このまま冒険を続ける?」


(続けるを選択した主人公が、別のマップを選ぶ)


「うんうん。高難易度ステージ、まだ攻略できていなかったとこがあったっけ。今度こそボスを倒そうね~! 二時間超えの持久戦はしんどいから、早々にケリをつけてあげる!」(手を高く突き上げながら言う)


「編成を選んでねぇ~」


(主人公が挑むパーティを選択する)


「ちょーっと、待ったぁ!」(総合戦力が奨励戦力より下の編成だったため、警告する)


「この編成で戦うのぉ~? そーびの見直ししなくてへーきぃ?」(心配する声)


(主人公が肯定のボタンをタップする)


「りょーかいっ! それがマスターの望みなら。火力が足りない分は、ハンマーいっぱい振るって補うよ!」(元気よく敬礼する)

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