オタクな彼女と
第37話
後日。復讐が終わって二日後の事。
「そんな感じで鍛えてもらうことになりました」
アルバート様に報告する。呆れているような何かを考えているような表情だ。
「ユウカは何と言うか不思議な縁に恵まれているな。ミナとそういう所は似ている」
「ミナ?」
「ミナト・ライカ・ベルガンド。姉上である、セシリア・ローズ・ベルガンドの夫でボクの義理の兄に当たる男だ。ぶっきらぼうだが、身内には優しい奴だよ」
「ミナト…もしかして日本人だったりします?」
「そうだ。ユウカと同じ国の元人間だった。かつての名前はシオミミナト。今は魔人に転生している」
「まさかそんな身近に似たような境遇があるとはびっくりです」
「姉上と結婚するために人間を辞めたそうだ。全てを捨ててな」
「凄く男気ありますね」
「ああ。昔姉上はボクと同じようにとある呪いがかかっていた。その解呪の為に奔走していたのはボクも知っている。あれだな、ミナは姉上にベタ惚れで、姉上もミナにベタ惚れなんだよ。昔からずっとな」
「相思相愛で結構付き合いが長いんですね」
「人目がある所では流石に自重しているみたいだがな。逆に人目が無い場所ではいつまでもイチャついている。…流石にボクの屋敷でイチャついているのを見た時は本気で追い出そうと考えたよ…」
「…アルバート様も大変ですね」
「分かるか?身内が甘えている姿を見たボクの気持ちが。ニャンニャン言いながら夫にすり寄ってるんだぞ?二児の母親がだぞ?…軽く地獄だったよ…」
アルバート様は苦虫を噛み潰した様な表情になる。アルバート様はアルバート様で苦労しているんだな。
「…あーうん。身内だと考えると中々辛いですね。お姉様はどんな方なんです?」
「普段は穏やかな淑女といった感じだが、ミナのことになると暴走するな」
「暴走」
「ミナに色目を使った女達を焼き尽くそうとして魔界のとある街が全焼したと言えば伝わるか?」
「わぁ…過激」
「いいかユウカ。ミナに会う機会があったとして、絶対に二人きりで話すなよ。話すとしても一分以内に話を終わらせろ。それ以上は浮気と判断されるからな。ユウカが燃やされるのは溜まったものではないぞ」
「分かりました。気を付けます…」
『あら、何故かしら。アルバート様の姉君にとても親近感が湧きますわ。仲良くなれそうね。うふふ…』
ルミエールさんの声が聞こえる。止めてください。(胃が)死んでしまいます。
どうして、どうしてこんなにヤンデレが近くにいるんだ。俺のスローライフは何処に行ってしまったんだ。
「おっと、そろそろ時間だな。出掛ける準備は出来ているか?」
「はい。準備はバッチリです」
「よし、それじゃあ行くか」
「はい。行きましょう」
今日出掛けるのは人間界にいるとある人物に合う為だ。その人物は
「しかし、本当に良いのか?」
「まぁ、そうですね。ちょっと怖いですが」
「別に無理する必要はないぞ」
「無理はしていませんよ。ただ、彼女と話したいなって思ったんです」
「分かった。これ以上は言わない。二人で謝りに行こうか」
「ええ、行きましょうアルバート様。柳さんの元へ」
柳 美優
俺がかつて勤めていた会社の同僚の女性である。
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