第4話

屋敷の中に入ると


「うわぁ…」


「どういう表情だそれ」


まず見えたのが赤いカーペット。周囲を見渡してみると高そうな絵画やら彫像やら鎧やらがある。周囲を煌々と照らすのは頭上にあるシャンデリア。入ってすぐに階段があり、2階へと続いている。階段にもカーペットが敷いてあり、高級な感じだ。今更ながらこんな屋敷に入ったことがないため語彙力は皆無である。


THE 貴族って感じだ。そして


「アルバート様。周囲をふわふわ飛んでいるのは…」


「使い魔の一種だ。ユウカを歓迎しているようだぞ」


「はぇ~」


俺の周囲を人魂みたいなのがくるくると回る。赤、青、黃、紫、緑、他にも様々な色の使い魔達が動き回っているのが見えた。


「アルバート様、あれは?」


「あれはゴーレムだな。雑用係として作ったものだ」


「ゴーレム」


マジでRPGじゃん。すげー。2m位の金属の全身鎧を被ったような姿。目に当たる箇所に瞳は見えず代わりにガン○ムのザ○みたいなモノアイだった。手にはモップやハタキを持っており、掃除しているようだ。忙しなく移動しているのに、物音が少ないのは魔法だからなんだろうか?


「ボクの部屋は2階だ。行くぞ」


「あ、ハイ」


「そうだ。言い忘れる所だった。おいユウカ。お前はボクの眷属になった。種族はアークデーモンだ。まぁ大して今までと変わらんだろ」


「はい?」


とんでもない事実が聞こえたんだが?眷属?アークデーモン?


「あの、待ってください。私は人間では?」


「人間がそのままこの世界に来ると、膨大な魔力に潰されるからな。種族を変えた。いわゆる転生というやつだ」


「ファ!?」


「うるさい!いきなり叫ぶな!」


おい、嘘だろ。さらっと転生したんだけど。こんな簡単に種族変わるの!?あっさりしすぎだろ!!というか、身体的になんの変化も感じないんだけど!?


「あの、何も変化を感じないんですが」


「転生したばかりだからな。そのうち変化に気づくだろ」


アルバート様は事も無げに告げる。ていうか、先に言ってよ!いや、先に言った所で変わらんか。ほぼ無理矢理だしなぁ。なってしまったものは仕方ない。諦めが肝心だ。どう見てもクソハゲ上司が悪いのに、俺の責任だと押し付けられ、社内で土下座した俺だ。抜かりはない。それよりも気になることは


「魔法か何か使えたりします?」


「ボクの魔力を受け継いでいるから雷系の魔法が使える筈だ。そのうち教えてやる。屋敷を燃やされては敵わんからな」


雷系の魔法かぁ。めっちゃカッコイイじゃん。昔読んだ金○のガッ○ュすげーよかったんだよな。とある○術の○書目録の電気を操るヒロインも最高だったし、中々アタリの属性では?


「よろしくお願いします!!」


「よくわからんが、喜んでもらえて何よりだ」


そうして階段を登りきり、突き当りの部屋の前にたどり着く。


「ここがボクの部屋だ。入れ」


「はい」


「一つ大事な事を言う。よく聞け」


「は、はい…」


アルバート様が真剣な表情で俺を見つめる。なんだろうか?屋敷の規則か何か?


「1日に1回はボクを抱きしめろ」


「はい?」


一体どういうことなんだ?







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