第3話 魔人が再び現れる
私の年齢が10になるころ―――妹が生まれた。
やはり私のようなまがい物が生まれたことで、疑いがあったのか、生まれて間もなくは妹の面倒は俺が見ていた。とはいっても、農業の間や家事の合間など相手にできない大部分を私が見ることになっていた。
本来なら家事をするときにおんぶ紐でもつければよいものだが、やはり自分の子供以外の記憶があるのかもしれないと思ったら怖かったのだろう。
だが、その疑いは私の報告によって消え去った。
明らかに赤ん坊らしい行動が多く、むしろ記憶を持ったままそれを演じていられるのなら素晴らしいものと言えてしまうほど。むしろこれで生まれ変わりを示唆するには無理がある。
そのためか、父は私以上に妹を溺愛しているし、母も私より妹を気にかけているようだった。別に育児放棄をされたりしてるわけではないし、10歳にもなれば自分でできるだろうという判断だ。
私が生まれ変わりということも考えれば適切な距離感だ。
ちなみに数年経っても私は魔術がろくに扱えない。
火はともせるし、水も作れる。ただ、あまりにも発動までの平均時間に比べてあまりにも劣る。
E級ごときに強いも弱いもないし、実用性もくそも発動さえすればいい。しかし、ここまで遅いと気になってしまう。
「アッシュー!ちょっと降りてきてちょうだい!」
「はい、わかりました!」
突然、下の階から多いな声で呼ばれて私は下に顔を出す。
向かった先―――リビングには少し神妙な面持ちの父がいた。
「どうかしたんですか?」
「ああ、アシュレイ―――近々、魔物災害が起こるかもしれない」
「……本当なのですか?」
「ああ、村の騎士がそう言っている。魔物自体はそこまで強いものではないが、群れで襲ってくる習性である以上、アシュレイには家でミーシアと一緒におとなしくしていてほしい」
「その時のミーシアの面倒もということですね?」
「ああ―――魔物と村の衝突予測時間には、村の18以上の男が騎士のうち漏らした魔物の討滅。母さんたち18以上の女は、救護班で担当を持つことになってるんだ。だから、悪いが―――」
「わかりました。頼まれましょう。私が行ったところで邪魔なだけでしょう?」
私の言葉に、二人はひとまず一安心といった様子だった。
「あと一つだけいいか?」
「はい、なんでしょう?」
「上でいかがわしいものを作るのはやめてくれ」
「いかがわしいもの……?」
「あれだ―――あの、ゼロとかいうものだ」
「いや、あれは第1世代のもので、人一人殺すのが簡単になる程度のものですよ?」
「それをやめてくれと言っているんだ。お前はあと2年でこの村を出て学園に行くことになる。お前が留守の間にあれが取られたら―――」
「大丈夫ですよ。設計図は理解できないでしょうし、そもそも現物は破壊してから行きます」
私の言葉に父はあきれたようにため息をつく。
「アシュレイ、お前が何におびえているのかはわからない。生まれ変わっている以上のことはこちらも聞くつもりはなかったから、辛い目に遭ったのかもしれないと思うことしかできない。だが、この世界では人殺しをしてはならないんだ。そんなものを作るのはやめてくれないか?」
「あくまであれは自衛手段のために―――」
「お母さんはね、あれを使ってアッシュが魔物災害に対抗するとか言い出すんじゃないかと思って心配だったのよ。わけのわからないものをまとって我が子を戦場に向かわせるのは嫌なのよ」
二人の言いたいことはわかる。だが、戦わないと力を持たないはイコールにはならない。
強者に対して意見を持ちたいのなら力が必要だ。
「私は―――」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
あれから数日後、魔物災害の警鐘が鳴った。
カンカンと村に響き渡る高い音で、外にいた子供たちは中へと入っていく。
父と母もこれによって不在になり、私と妹のミーシアだけが家に残されてしまった。
「にぃ……パパとママは?」
「待ってるんだ。すぐに帰ってくるよ」
俺はそう言言いながら頭をなでて、できるだえ現実を見ないように仕向けた。
おそらく、父と母が長いこと帰らないとなれば、泣きわめいてしまう。それは避けないといけない。
疲れて帰ってきた二人に見せるものがそれなど、私自身としてではなく、兄として見せる顔がない。
しかし、魔物災害か。
原因はいまだ不明だが、魔物たちが急に活性化し、己のリスクすら忘れて人間に襲い掛かるようになる現象。モンスターパニックともいえるが、それはもう古い呼び方らしい。
一応ドラゴンとか一般人が太刀打ちでいないレベルであれば、王都などの政治屋が動くのだが、オオカミ程度などどうとでもなるよう災害は、村単位でのトラブルとしてしか扱われない。
だから今回は成人済みの村人が出ていっている。
ちなみにこの世界の成人は20になっているが、結婚などの適齢期は学生を卒業する18歳だ。在学中に婚姻関係になる者が多く、学園に通わないものも大体そのくらいに婚約する。
20はあくまでも親元を離れなければならない年齢になっている。
いうなれば、実質の成人は18くらいと考えていたほうがいい。
と、私が思案を広げていったことによる失態に気づいた。
「あれ……ミーシアは?」
いつの間にか妹が姿を消していた。
それだけならよかったのだが、私はさらなる事実に気づいて顔が青ざめていく。
キッチン奥にある裏口が半開きになっている。
「まずい!?」
私はすぐさま自身の部屋飛び込み、ゼロを手動で身に纏う。
「クソ……転送装着は第5世代以降の技術なんだよ!手動でやらなければならないのは、いつ振りのことだったけか?」
まだ不完全な再現性ではあるが、戦えないことはないはず。
そして、そのまま部屋の窓から妹を探すのだが、すぐに見つける。裏手の庭を抜けて、両親がいるであろう王都側の村の入り口に向かって進んでいた。
「馬鹿!ミーシア!」
私は妹と一緒に視界の端にとらえたものを見て、思わず叫んでしまう。
今視界の端に映りこんでいる黒い影は、とてつもないスピードで私の視界の真ん中に―――妹に一直線に向かっていた。
「まだ試用テストも十分じゃない。必要魔力量もわからない。行き当たりばったりだが……これも科学だ!『魔力装填―――ブースター起動!』」
魔物はすでに妹の目と鼻の先に到達している。
「ガアアアアアアアア!!!」
「ひっ!?」
ズガッ!!
妹が迫ってくる魔物におびえた瞬間、私はの全力のブーストを使い、その加速力を使いながら魔物を蹴り飛ばした。
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