声変わり

「あおくん、声変わりだね」

 話の途中でこんこん咳込んでしまった僕に、みちるさんがそう言う。

「やっぱりそうなのかなぁ」

 家族もそう言うし、よし子さんにもそう言われた。ついにか。なんて言われることもあって、少しだけ恥ずかしいような、そんな気分だった。

「大人になっていくんだ。ぬふふ。成長だね」

 みちるさんは嬉しいのか面白いのか、ぬふふ、むふふ。と謎の笑い声をあげている。

「声も変わっちゃうし、多分背も伸びてくるんだよね」

「ふへへ。おっきいあおくん、楽しみだね」

「楽しみ?」

「男の子はねー、色々変わっちゃうから面白いよ。あおくんはあおくんだけど、ちょっと違うあおくんになるの」

 ちょっと違う僕か。

 みちるさんがにこにこ嬉しそうなので、僕も何となく、成長した自分がどうなるか、楽しみになった。

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