みちるさん 万事(よろずごと)

須堂さくら

「みちるさん」その後の話

お正月

 ころんと転がった首に、ゆっくりと近づく。音を立てないように、立てないようにそっと足を進めて、僕はゆっくり息を吸い込む。

「みちるさん、あけましておめでとう!」

「わぁっ!」

 びょんと飛び跳ねた首がそのまま前に一回転して、転がったみちるさんが僕を見た。

「あおくん!」

 ぴょんとまた飛び跳ねたみちるさんが、そのままぴょんぴょん飛び跳ねて僕の方に向かってくる。

「あおくん、あおくんだ!あおくんお正月はこっちにいないんじゃなかったの?」

「ちょっと早く帰ってくることになったんだ。だから挨拶に来たの。みちるさん、驚いた?」

「驚いたよー。あおくんあけましておめでとう。今年もよろしくね」

「うん。今年もよろしく」

 ぴょんぴょん飛び跳ねているみちるさんの髪の毛が、よく見るといつもよりふわっとしている気がして、僕はみちるさんを抱え上げた。

「みちるさん、髪の毛可愛くなってるね」

「ぬへへー。そうなんだ。よっちゃんがくるくるしてくれたの」

「そっか。うん、すごく似合ってる」

「ふへへ。だよね。わたしもお気に入りになったよ」

 にこにこ笑うみちるさんを抱えなおす。さぁ今日はどこに行こうか。

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