壁の向こうの君

壁の向こうの君

作者 友川創希

https://kakuyomu.jp/works/16818093075504716243


 高校二年生の瑠夏は、夢と現実の狭間で不思議な体験をする。トンネルの壁に描かれた自分そっくりの絵が日々変わり、その絵を通じて自身の感情と向き合うことを決意する。友情や恋愛の葛藤を抱えながら、彼女は青くんへの想いを伝えるため奮闘し、成長していく。物語では、四つ葉のクローバーが幸運や希望の象徴として重要な役割を果たし、瑠夏の願いが叶うきっかけとなる。最終的に彼女は実体験を基にした小説を完成させ、未来への希望を抱く話。


 現代ファンタジー。

 恋愛、SF要素あり。

 若干ホラー。

 青春特有のドキドキ感と不思議なミステリー。

 日常と非日常が交錯するストーリー展開に引き込まれた。

 友情や恋愛への葛藤がリアル。四つ葉のクローバーに込められた思いなど、興味をそそられる部分が盛り沢山あって、非常に楽しめた。


 主人公は瑠夏。一人称、私で書かれた文体。「著者より編集者さんへ」の部分は青くん、一人称、僕で書かれた文体。自分語りの実況中継で綴られている。

 プロローグと壁の内側は女子高生の瑠夏、壁の外側とエピローグは六年後の瑠夏が書かれている。

 また小説を書いた人は、「壁の内側」は高校二年生の、「壁の外側」は六年後の青くん。


 女性神話とメロドラマと同じ中心軌道に沿って書かれている。

 プロローグ

 夢と現実の狭間で揺れる高校二年生の主人公は、ある夏に起こった不思議な体験をする。トンネルの壁に描かれた自分そっくりの絵を見つけ、日によって変わることに気づく。そんな出来事を小説にしてくれる人と出会うが、完成には数年を要するかもしれず、歴史を変えるほどの作品になる可能性を秘めているが今回はできているところま見せたいという。

『第1章 夏といえば(side 壁の内側)』

 夏の風物詩や思い出を語る瑠夏が、恋愛や友情についての葛藤を抱えながら進展する。彼女は、友人たちが次々と彼氏を作る中で、自分には特別な人がいないことに焦りを感じている。ある日、友人の結芽と一緒に帰る途中、彼女は自分の好きな人、青くんのことを打ち明けるが、その反応に動揺し、思わず逃げ出してしまう。逃げた先で迷子になり、自動販売機で水を買った彼女は、トンネルの壁に描かれた自分そっくりの絵に出会う。この絵は、彼女自身の心情を映し出しているようで、彼女はその絵に惹かれつつも、自分の感情と向き合うことを決意する。

『第2章 喧嘩(side 壁の外側)』

 瑠夏は、初めての喧嘩を経験し、相手と信じ合っているからこそ謝りたいと思うが、どう謝れば良いのか迷っている。外に出ると、異常な暑さの中で保育園の園児・氷織ちゃんと出会う。彼女の家のエアコンが壊れたため、涼しい場所に行こうと提案する。涼しさを求めてトンネルへ向かう途中、主人公は自分の住む場所の景色を思い出し、氷織ちゃんとの会話から心の安らぎを得る。トンネルに着くと、氷織ちゃんはその涼しさに感動し、アイスを食べながら楽しむ。彼女が瑠夏の元気のなさを指摘すると、瑠夏は価値観の違いについて話し、大人が謝れないことに疑問を感じる。氷織ちゃんから元気をもらった瑠夏は、彼女との楽しい時間を通じて自分自身を見つめ直す。

『第3章 距離(side 壁の内側)』

 瑠夏は結芽との喧嘩を謝るために電話をかけ、無事に仲直りする。彼女は、トンネルの壁に描かれた自分そっくりの絵について結芽と話し合い、翌日一緒にその絵を見に行くことを約束する。トンネルに着くと、瑠夏は壁画が昨日とは異なっていることに気づく。絵が笑顔になり、描かれている人物も変わっていたことに驚愕する。結芽は冷静に対応し、瑠夏の恐怖を和らげる。瑠夏は青くんの誕生日に気持ちを伝えるため、ミサンガを作ることを決意する。

『第4章 名前(side 壁の外側)』

 瑠夏は、夫との喧嘩を経て、自分が保育園児のように情けなく感じる。夫が帰宅した際、二人同時に謝罪するという奇妙なシンクロニシティが生まれる。夫は、仲直りのしるしとして、彼女の好きなマカロンを持参し、彼女も豪華な夕食を用意する。食事中、主人公は、自身に似た絵が描かれたトンネルと、その近くで見つけた四葉のクローバーについて話し始める。夫はそのクローバーから赤ちゃんの名前を提案し、二人は「白幸(しらゆき)」という名前を決定する。この名前には、お互いが大切にしたい漢字が込められており、幸せを運ぶ象徴としての意味がある。物語は、四葉のクローバーがもたらした幸せな結末を描きつつ、未知の世界への期待感で締めくくられる。

『第5章 気持ちを届ける階段(side 壁の内側)』

 瑠夏は、青くんへの誕生日プレゼントとしてミサンガを作ることに夢中になり、塾の宿題を忘れてしまう。青くんに気持ちを伝えるため、ミサンガを渡す決意をするが、緊張からなかなか行動に移せずにいる。友人の結芽が応援する中、青くんが近づいてきたことで絶好のチャンスが訪れる。瑠夏は勇気を振り絞り、廊下を走って青くんに向かい、ミサンガを渡す。青くんはそのプレゼントを嬉しそうに受け取り、瑠夏の気持ちを理解してくれる。最終的に瑠夏は、自分の想いを告白し、青くんもそれに応じる。二人の関係が新たなスタートを切る瞬間が描かれる。

エピローグ

 編集者の瑠夏が著者の青と共に、彼女の実体験を基にした小説を執筆するところから始まる。瑠夏は、青にその作品について尋ねられ、赤ちゃんの白幸を抱えながら、彼の才能を称賛する。彼らは、過去と現在が交錯する不思議なトンネルを通じて、六年前の出来事を振り返る。夏祭りの日、彼らは白幸と共に花火を見に行く。花火が夜空を彩る中、白幸の名前の由来である四葉のクローバー型の花火が打ち上げられ、瑠夏は感慨深く思い出に浸る。最後には、トンネルの壁に描かれた六年前の自分たちの姿を見つけ、未来への希望を感じる。


 三幕八場の構成になっている。

 一幕一場の状況の説明、はじまり

 高校二年生の主人公が夢と現実の狭間で揺れ動く夏の日から始まる。トンネルの壁に描かれた自分そっくりの絵を見つけ、その絵が日によって変わることに気づく。

 二場の目的の説明

 主人公は、友人たちが恋愛を進める中、自分だけが特別な人を持たないことに焦りを感じ、自分の感情と向き合う。

 二幕三場の最初の課題

 友人との帰り道、自分の好きな青くんについて打ち明けるが、彼女はその反応に動揺し逃げ出してしまう。

 四場の重い課題

 初めての喧嘩を経験し、相手との信頼関係を修復したいと思うものの、どう謝ればよいかわからずに悩む。

 五場の状況の再整備、転換点

 氷織ちゃんとの出会いを通じて心の安らぎを得る。トンネルに向かう途中で過去を思い出し、自身の感情が整理される。

 六場の最大の課題

 トンネルに着いた主人公は、壁画が昨日とは異なっていることに驚く。絵が笑顔になり、描かれている人物も変わっている。

 三幕七場の最後の課題、ドンデン返し

 瑠夏は青くんへの気持ちを伝えるためミサンガを作る決意をする。しかし緊張から行動に移せず、友人から勇気づけられた結果、青くんにミサンガを渡すことに成功する。

 八場の結末、エピローグ

 瑠夏が編集者として成長し、青と共に小説を書いている。赤ちゃん「白幸」を抱えながら過去を振り返り、未来への希望を感じる。四葉のクローバー型の花火が打ち上げられ、幸福感と未知への期待感が交錯する。


 トンネルの壁の絵の謎と、主人公に起こる様々な出来事の謎が、どう関わり、どのような結末に至るのか気になる。

 本作は、壁の内側と外側で、六年の時間差がある。それぞれが独立した話で描かれながら、トンネルの壁に書かれた絵によって、影響し合い、そんな不思議な出来事を小説にする形で物語が作られている。

 ミステリーとファンタジーと恋愛を融合させたところに、本作の良さがあるのだろう。


 遠景で「――世の中は夢かうつつかうつつとも夢とも知らずありてなければ」と示し、近景で「夢。現実。幻。光。影。道。時に私の心と体は、現実と夢の狭間で交錯しているのではないかと感じる。心は確かに現実に存在しているはずなのに、体は夢の中を彷徨っている。逆に、心が夢の世界にいるはずなのに、体だけが現実に存在していることもある」と説明。心情で「今、私が目の前にしている柔らかな光は夢だろうか、それとも現実だろうか。一体、どちらの世界なのだろう」と問いかける。


 情緒不安定な印象をおぼえる。

 そんな主人公が気になり、興味をもっていく。

 詩的な書き方をされているので、読みやすさもある。

 

 主人公は不思議な体験をする。

「トンネルにあった壁の絵が、日が変わると違うものになっていた。それも、描かれていたのは私そっくりの絵。壁に描かれた私とでも言うべきだろうか。私と、壁の向こうに描かれる私のようなものの物語。そんな出来事があったのだ」

 なんだろうと思わせ、稀有な体験に興味を持ち、共感を抱く。

 トンネルに描かれている絵が日毎に変わる。まさにミステリーである。そしてその出来事を小説にしたとある。

 ワクワクして読み進めていく。

 

『第1章 夏といえば(side 壁の内側)』

 内側なので、プロローグと同じ、女子高校二年生の主人公視点で書かれている。

 まわりの子達は恋人がいるのに、主人公には彼氏がいないという。かわいそうだなと思えるところに共感する。

 でも好きな人はいる。友達の結芽に聞かれたときの恥ずかしさを、「きっと私の顔が今、りんごのように赤くなっているのは砂漠世界かと思うほど容赦ない太陽のせいではないんだろう」という表現は興味深い。

 リンゴのように赤い表現は凡庸なのだけれども、その後に続く四十一度を超えるような暑さを感じさせる日差しについては独創的なので、主人公の性格も感じられていていい。

 主人公の内面的成長をさらに深めるために、他者との関係性や過去の経験、恋愛以外の日常生活や趣味について触れることで、多面的なキャラクターとして魅力を出すと、より共感を得やすいのではと考える。


 青くんの良さが語られている。気になったのは、全員の誕生日を覚えているところ。彼は覚えているだけなのかしらん。お祝いをしてあげるとか、なにかしらの行動を取っているのだろうか。


「確かに、青くん、私たちの部活にラムネやアイスの差し入れをしてくれた事もあったし、気が利く人だから、瑠夏が好きになるのもわかるなー。話すのが苦手なのも分かるけど、それのせいにして逃げないの!」

 誕生日関係なしに、行動しているらしい。

 部活に差し入れとは、何人におごっているのだろう。


 友達に指摘されて「その瞬間、セミの鳴き声も静まり、私の足元に落下する」なにが落下したのだろう。

「いつもなら動揺する私だけれども、そんなことは石ころのように気にもせず、自転車を漕いで誰もいない道を全速力で進んでいったのだ」

 動揺したらから逃げるように自転車を漕いでいったのではないのだろうか。

 ここでの動揺とは、自分が泣いたことだと推測。でもその涙を気にせず、青くんを馬鹿にされたから逃げた、ということかしらん。モヤッとする。


「自転車を全力で漕ぐたびに、汗が吹き出してくる。その汗が足首に滴り落ち、不快感を生む」

 流れる汗もそのままに走っていき、その汗に不快感を生んだ。

 全身に汗をかいて、それが「足首までに」滴ってきたのだろう。

 足首にだけではそこだけしか汗をかいていないのかなと思ってしまう。


 知らない道を走ると、民家すらない。でも周りにはなにがあるのだろう。「無の世界」といっても、草むらとか木々が茂っていたり、何かあるだろう。「あったとしても、ボロボロと屋根が崩れ落ちた空き家と思われる寂しい景色が広がるだけだ」場面が想像しにくいが、寂しい感じを漂わせている。喉も乾いている。「持久走の残り2周……そんな感じ」は読者が想像しやすい辛さが書かれているところはいい。


 自販機を前にして、「……高い」は、昨今の事情をよく表している。かつて自販機は百円で飲み物が買えたというのに。

「一番安い、聞いたこともないメーカーの水でさえ、500円するのだ」

 自販機の中で一番安いのが水だというのに。

 主人公の住んでいる地域は本土ではないかもしれない。離島か船上かしらん。本土であったとしても、山奥か。


 トンネルに入ったときの表現が良い。「そのトンネルは異常なほど涼しく、まるで洞窟のようであった。今さっき買った水で口の中を潤すと、呼吸数も徐々に安定していく」同じ体験をしたことがある人は、思い出しては追体験できる。

 暑い中のトンネルは涼しい。

 魔法と思ってしまうのも仕方ない。


 トンネルに、自分そっくりな絵を見つける。

 写実的でりあるな感じなのかしらん。

「それもかなり緻密に表現されている。瞳の大きさ、顎のあたりの滑らかな輪郭、唇の形までも」

 画材はなんだろう。

 チョークかクレヨンか、スプレーアートかしらん。モノクロなのかカラーなのか。 

「私はその絵に近づき、探偵かのように観察していく。よく見ると、私に似ているけれど、少し大人のような気がする。ロングの髪型も、目の大きさも私と同じようだけれども、顔つきが今よりも若干大人っぽいのだ。ちなみに、私のような人の隣には、幼稚園生ぐらいの子供も描かれていた」

 そんなに近づいてみているのに書かれていない。

 大人のような気がするとあるので、顔つきは違っていただろう。それをみて、どうして自分だと思えたのか。

「ただ、壁の向こうの私は、なんだか落ち込んでいるようなそんな顔のように思えた。まるで、友達と喧嘩してしまった、今の私と同じように」

 親近感が湧いたから、自分だと思えたのかもしれない。

 そのあと、見つけた四葉のクローバーを置いて去っていく。


 自販機は賽銭箱のような役割をしていたのだろう。五百円を入れたので、トンネルが未来の主人公を見せてくれたのではと邪推する。


 著者と編集のやり取りを読むと、大人視点で書かれている。

 つまり、六年後の編集と青とのやりとり。大人になってから、こういう不思議なことがあったと話して、小説にしてもらったということだろう。


『第2章 喧嘩(side 壁の外側)』

 主人公は、はじめて喧嘩してしまったと、悩んでいる。「私たちはどこかで信じ合っていると思う。だからきっと、謝ればあの人も許してくれると信じている。でも、どうやって謝ればいいのか、あの人と初めての喧嘩だからこそ、余計に迷う。迷路で迷子になってしまったかのよう」

 先ほどと、文章の書き方が違う。大人らしい感じがする。

 

「体感温度は確実に35度を超えている。ゼミはどんな気温でも必死に生きているのに、私は情けない」

 蝉は三十五度を超えると鳴かなくなる。必死には生きているけれど、暑さで生き延びることはできないものもいるかもしれない。そんなに情けないと思わなくていい。


「その暑さを少し和らげてくれたのは、私が先生をする保育園の園児だった」

 保育園の先生をしているようだ。


「涼しいところ。このあたりには謎とも言えるトンネルがあり、そこだけ別世界のように涼しいのだ。体感温度でいうと、十度は違うのではないだろうか」

 第一章で出てきたトンネルを彷彿させる。

「ちなみに私が、絵に描くのにも時間がかからないほどの殺風景な所に住んだのは、ただ単に家賃が安かったという理由もあるけれど、それ以上にこの景色が好きだったからだろう」

 絵も描くらしい。

 

「氷織ちゃんがお母さんの許可を得て戻ってくると、そのトンネルの中で食べる用のアイスを家から持ち出す。そして、トンネルの方に向かって、一緒に歩いた。そのトンネルまでは徒歩三分ほど。その間の光は、身体を貫通するように痛いが、その先にご褒美が待っているとなんだか頑張れる」

 園児は身長が低いので、アスファルトからの照り返しの熱を、大人以上に浴びる。三十五度以上ある中を歩くのは危険。

 歩いて三分ほどとある。八百メートルくらいかしらん。

 このとき、帽子や日傘を指しているのだろうか。そんな描写はない。アイスも溶けてないかしらん。


「氷織ちゃんは、丁寧にいただきますをしてから袋を開けると、その小さな口でかぶりついた。美味しさを表情で表現していてなんだか面白かった」

 どんな表情だったのだろう。ここは読者の想像に委ねられている。


「豪快にかぶりついた。ただ、食べ方を失敗したのか、少しこぼしてしまい、氷織ちゃんに大爆笑された。大人げない」

 主人公のほうが食べ方が面白い。おいしさが伝わるよう。


 子供に元気がない理由を説明するときの

「まあ、価値観の違いっていうのかな。ちょっとあってね」

「かちかん?」

「うん、考え方っていうこと。例えば、保育園の皆も好きな食べ物とか人によって違うでしょ?」

「うん、私はアイスが好きだけど、お寿司が好きな子がいたり、焼き肉が好きな子もいるし、オムレツが好きな人もいるね! ……そういうこと?」

「うん、そういうこと」

 ここのやり取りが凄くいい。

 わかりやすく噛み砕いた表現を使っている。

 

「保育園児とは思えない回答だと反面思っているが、要はそういうことだ」

 たしかに。でも最近の小さい子は、しっかりしている子もいるので、氷織ちゃんもそういう子なのだろうと思える行動を、トンネルに来るまでに描かれているので問題ない。


「えっ、先生喧嘩しちゃったの? じゃあ、ごめんなさいしなきゃ! 私たちも喧嘩しちゃった時はごめんなさいするよ?」

 親にも言われているのかもしれない、と思えてくる。

 彼女のしっかりしたところは、年の離れた兄姉がいるのかもしれない。


「この子も昨日、ぶつかってしまった子にごめんなさいをして、それからその子と積み木で仲良く遊んでいた。なのに、大人ができないのはおかしい。見本にならないといけない大人が、ちゃんとしていないなんて」

 大人になると、恥をかきたくないから謝れない人は多い。しかも肝心なことでは謝らず、どうでもいいことでは気軽にごめんなさいという。年を取ればとるほどに。


 二人してアイスが当たり、四つ葉のクローバーを見つけ、トンネルの壁に絵が書かれているのを見つける。

「ただ、私より少し幼い顔立ちだった。どこかその子は、感情の対立により葛藤しているようにも思えた。そういう年頃の子なのだろうか。私は少し遅れてなんで? という気持ちが浮き出てくる」どんな絵なのかが見て取れる表現がいい。

 

「私はクローバーをポケットの中にいれると、この壁の向こうの私のような人が笑ってほしいなという、そんな思いから、私の足につけていたミサンガを置いた」

 願いが叶うと切れるはず。なにかしら願掛けをしていたのではないだろうか。


 目玉焼きにオイスターソースとは。はじめて聞いたかもしれない。マヨネーズもなかなか稀有な。これがオタフクソースとマヨネーズのミックスなら、お好み焼きみたいになるかもしれないと考えてしまう。


『第3章 距離(side 壁の内側)』

 高校生の主人公が、トンネルで不思議な絵を見たあとからはじまっている。

「結芽と喧嘩のようなものをしてしまった日、謝るのならなるべく早い方がいいと思い、電話で謝ることにした。相手が電話に出ないことも危惧していたが、その心配は無用だった」

 子供のときは、素直に行動できている。


 お風呂の中で、青くんのことを考えている。

「お風呂では青くんの誕生日、一週間後だなと、彼のことが本当に好きなんだと自覚してしまうことを呟やいてしまった。そして、お風呂の鏡に青くんと指で書いてしまい、慌てて消した」

 自分だけしかいないし、リラックスできる場所だからだろう。

 初々しさも感じる。


 友人とトンネルに行くと、絵が変わっている。

「き、き、昨日と絵が変わってる……。昨日の絵は笑ってなかったのに、今日は笑ってる……。その絵が……」

 しかも、「隣にいたはずの幼稚園生ぐらいの女の子は消え、その代わりに大人の男性が描かれていた。どちらも朗らかに笑っていた」となっている。

 ホラーである。


「誰かが描き変えたとか……? でも一日でこんなに緻密な絵を描くって相当な力がないと無理か」

 画材が気になる。カラーなのかも。


「友達はホラー系の小説を読むのが趣味だと言っていて、普段から怖いものに触れ続けてきたせいもあってか、全く怖いという素振りを見せず、とても冷静だった」

 ホラー系の小説を読むのが好きなのと、怖いものが好きなのは別だと思う。フィクションだと思って楽しんでいる人でも、眼の前に不思議なことが起きれば、まず驚くだろう。驚いた自分をお突かせるために、理性的な考えを持って打ち消そうとしていく。

 この辺りの人間らしさは非常に上手く描けていて、現実味を感じる。


 結芽はいい子である。不安を掻き立てるのではなく、主人公を落ち着かせている。


 トンネルの絵は、アニメやドラマなどの予告だと思えばいいのだろう。それぞれの世界の、ちょっとした先の未来が見える。主人公は同じなので本人には見えているのだが、時間軸がズレているので、その時代の本人には未来が見えないという。もどかしい現象が起きているのだろう。


 四つ葉のクローバーの代わりにミサンガが現れている。

 ここで、読み手としてはつながっているのだと実感する。


 青くんに、ミサンガを誕生日に送ろうと友人に話す。

 このとき、「ミサンガと同じようにピンク、赤、白の三色」といっている。同じ色にする理由はなぜなのだろう。

 彼女の好きな色なのかしらん。拾ったミサンガと同じにすることで、縁を感じたいのか。どんな意味があるのだろう。


 友人におまじないをかけてもらう。

 どんなおまじないかしらん。頭を撫でられるとか、何かしら呪文を唱えるとか。言葉が大きいのでわからない。

 

 著者は女子高生トークのブランド云々に反応している。「自分が高校生の時はゲームの話してるやつが多かったですね。男の子で服の話は一回もしてない……」リアリティーがある。編集の主人公の「めちゃくちゃかわいいキャラクターのグッツには目を光らせてました」も同様に。

 二人のやり取りが楽しい。


『第4章 名前(side 壁の外側)』 

 大人の主人公が、ケンカ相手、夫に謝るところから始まる。

 互いに謝るのはいいと思うけど、

「ほら、お詫びのしるし。マカロン買ってきたぞ。マカロン好きだろ。昼を取る時間を、あの暑い中、全部これに当てたんだから感謝しろよ」

 なぜ上から目線。

 しかも暑いのならば、マカロンより冷たいスイーツのほうがいいのではと考える。きっと妻である主人公が、マカロンを食べたがっていたのを覚えていたからだ買ったのだろう。


「早速食卓を二人で囲む。私もお詫びのしるしにいつもより豪華に夕飯を作ったのだ。夫は子供みたいに喜んでくれて、もう一生喧嘩なんてしないぞと心から誓った」

 大概のいざこざは、満たされれば喜ぶもの。

 初々しくていい。


「ただ、私のチャームポイントと言うのは少し違うのかもしれないけれど、この絵には右のほっぺにほくろがない。私に似せるもであれば、ほくろ、描いてほしかったな……なんて内心思ってしまう」

 絵にはほくろがないらしい。読者には、どういう絵を見ているのか、主人公の目を通してでしかわからない。また、大人の主人公にほくろがあることも、はじめて知る。


 喧嘩の理由が書かれている。

「夫があっさり言ってしまったけれど、私たちの喧嘩の原因は、まもなく生まれる赤ちゃんの名前についてだった。それぞれ考えた名前にこだわり、譲れなくなった結果として喧嘩が起きてしまったのだ」

 むずかしい漢字とか、当て字とか、突飛過ぎるネーミングだったりしたのかもしれない。


「四葉のクローバーって、幸せを運ぶでしょ? だから、お互いが入れたい漢字である❝白❞と❝幸❞が入る。つまり、❝白幸❞とかどうかな。読み方はしらゆき」

 ミサンガの色から考えて、主人公が「白」にこだわったのかもしれない。だとすると夫の青は「幸」となる。

 

「世界で一番の名前だと思った。この名前が決まったのは、あそこに幸せを運ぶ四葉のクローバーがあったからだ。その四葉のクローバーがあった壁。私が描かれたトンネルの壁の向こうには、何が広がっているのだろうか。私の知らない世界が広がっているのだろうか。うん、きっとそうだ」

 二人の思いや、きっかけが詰まっていて、いい名前だとは思う。

 小さい頃はいいけれども、名付けられた子が大きくなったとき、名前に悩んでしまうのではと危惧してしまう。


 著者と編集のやり取りは、わかった上でわざといっているのだろう。初見で読んでいるときは、ふふっと笑っていたけれども、マカロンを買ってきた自分を褒めているだけなのだ。

 遠回しに、もっと喜んでくれたらいいのに、と思っているのかもしれない。それに対して、そんなことはないですよと答えているのだろう。

 二人の関係が透けて見えて面白い。


 長い文は数行で改行。句読点を用いた一文は長過ぎることはない。短文と長文を組み合わせてテンポよくし、感情を揺さぶってくるところもある。

 トンネルの内側と外側で六年の時間のズレがあることを、交互に描いている。書いている著者と、書かせている編集は同じ。

 ときに口語的。登場人物の性格のわかる会話文。

 高校生のときは、カジュアルな言葉遣いと繊細な表現が特徴的。会話部分と内面描写のバランスが良く、読者は主人公の緊張感や期待感を共感しやすい。一人称視点で描かれており、内面的な葛藤や感情描写が豊かであり、特に主人公の心情が詳細に描かれている。詩的であり、夢と現実を交錯させる表現が特徴的。また、幻想的な描写とリアルな感情が融合している。会話形式が多用され、キャラクターの性格や関係性が自然に浮かび上がり、リアルな人間関係が描かれている。夏の情景や感覚的な描写が多く、五感を刺激する表現が使われている。主人公の内面の成長がテーマになっている。

 大人のときは、叙情的で感情豊か。内面的な葛藤や思考、喜びが丁寧に描写される。一人称視点で感情豊かに描写されており、子どもの視点や無邪気さが大人に影響を与える様子が強調されている。自然描写や感覚的な表現が多用され、情景が生き生きと描かれている。日常的な会話と心情描写が交互に展開され、リアリティを持たせている。時間の流れや記憶の交錯が巧みに表現されており、幻想的な要素が含まれるのも特徴。


 夢と現実というテーマを巧みに扱い、読者に深い思索を促している。特に、自己探求やアイデンティティに関する問いかけが印象的であり、多くの人々に共感を呼ぶだろう。

 恋愛や友情に対する悩みや葛藤、夏の情景や主人公の心情が巧みに描かれており、読者を物語に引き込む力がある。キャラクター同士の対話がリアル。特に友情や成長がテーマとして際立つ。また、不思議な現象と日常生活がうまく融合しており、読者の興味を引き続ける。物語全体を通して、青春特有の不安や期待感がリアルに描写されており、読者は主人公と共に成長していく過程を感じることができる。また、友情や初恋というテーマが巧みに織り込まれており、多くの読者に共感を呼ぶ要素となっているところが良い。

 主人公と氷織ちゃんとの対話を通じて、大人と子どもの価値観の違いが浮き彫りになる点。トンネルという特異な場所が象徴的に使われ、涼しさや安らぎを提供する場として機能し、SF要素が日常と工作する様子が描かれているのが実に興味深い。夫婦間のコミュニケーションと愛情が丁寧に描かれており、四葉のクローバーという象徴的な要素が物語全体に幸運や希望を与えているのもよかった。人物間の絆や愛情が温かく描かれていて感動を与えてくれるし、、花火やトンネルなどの象徴的描写が印象的で、視覚的な美しさを感じられるのも物語の良さである。


 五感描写について。

 視覚は、柔らかな光、壁に描かれた絵の色彩、暗い夜空に咲く花火、暑さで歪む空気、壁画の色彩や表情の変化、青くんとの距離感、花火が夜空を彩る様子。

 聴覚は、トンネル内で響く微かな音、セミの鳴き声、子どもの声、花火の轟音、友人からの励まし、電話越しの声。

 触覚は、壁に触れた時の冷たさ、暑さによる不快感、自転車を漕ぐ際の身体的な感覚、落ちた箸を拾う際の手の感触、瑠夏が赤ちゃんを抱きしめる温かさ。

 嗅覚は、トンネル特有の湿った空気の匂い、夏祭り特有の食べ物や花火による煙の匂い、教室内や廊下で感じる微かな汗の匂い。

 味覚は、夢の中で感じる甘美な記憶、りんご飴やたこ焼きなど夏祭りで味わう食べ物への想像、アイスクリームの甘さ、お弁当を食べるシーンで感じる食べ物の味。


 主人公の弱みとして、高校生の主人公は、自身のアイデンティティに対する不安を抱えており、夢と現実の狭間で迷っている。このため、決断力に欠ける一面も見受けられる。コミュニケーションが苦手であり、自分の気持ちを素直に表現できないところ。特に恋愛については臆病であるため、自分から積極的にアプローチできない。自分自身を情けなく感じる瞬間があり、特に喧嘩によって自信を失うことがある。

 大人になっても、初めての喧嘩による不安や迷いがあり、自分から謝ることに対して躊躇している。自己肯定感が低く、自分自身を他者と比較してしまう傾向がある。また、感情的な動揺に対して脆弱である。自信のなさが、青くんとの関係に強い不安感を抱えている。自分の気持ちを素直に表現することに対する恐れがあり、そのため行動に移せないことが多い。瑠夏は過去への未練や不安を抱えており、自身と家族との関係について深く考え込む一面がある。


『第5章 気持ちを届ける階段(side 壁の内側)』

 夢中でミサンガを作るところの「おそらく塾の宿題をしなかったら先生にやりを刺されるように怒られるだろうけれど、私は青くんに気持ちを伝えられるのであれば、そんなものはかすり傷よりも痛くない。堂々と怒られようと思う」表現が面白い。

 

 好きな人に贈り物をする。それだけで暑さも気にならない様子から、主人公の意気込みを感じていい。

「私の視線はいつも以上に青くんの方に向いてしまう。今も数十メートル先で仲の良い部活の友達の子とお弁当を食べている青くんのことを目で追っている」

 ただ、どこで友だちと話しているのか、心情描写が強くて、そうなんだという感じで読み進めていく。


 比喩が面白い。「本当に自然な動きで、まるでハヤブサが目の前を通りすぎたかのように一瞬だった。青くんは私の落ちた箸を私に渡した」トンネルの場所といい、都市部から離れた自然が豊かな場所に主人公が住んでいるからこそだと思われる。であるなら、冒頭あたりから、主人公がどういうところに住んでいるのかがわかる風景描写があっても良かったのではと考えてしまう。


 緊張から硬直していると、友人が指摘する場面が面白い。

「私が気づいていないほど、私の身体は固まっているのだろうか。結芽は、私の身体を手でつついてきて、再度固まってると言う。確かに硬そうだ。カチンカチン」

 笑ってしまった。


「その時、どこからともなく、私にだけ聞こえる声がしたような気がする。その音は、空からか、地面からか、水中からなのか、どこからかは分からない。ただ、はっきりと――白幸しらゆきは、お母さんを待ってるよ。さあ、行ってきて。と聞こえた」

 この展開は予想外で、ゾクゾクした。

 壁の外側の夫婦にこれから生まれる子供の名前である。

 その子供が、お母さんを待っていると声をかけ、主人公の背中を押すのだ。この声の主は一体誰なのかしらん。


 残り一パーセントの勇気と、アイスのおみくじが大吉の一パーセントが、ふと重なって思えてきた。


「でも、ここからが本番だ。――白幸は知ってるよ。ここからがスタートなこと。2人の物語が始まることを。また、白幸という人が私に対してそう語りかけてきた。さっきよりも、近くで語りかけてきたように思えた」

 声の主は、白幸だという。

 つまり、二人のキューピッド役は未来の子供、白幸。

 我が子のお陰で結ばれるとは、なんとも不思議な展開だ。


 主人公は青くんに告白する。

「あの、誕生日にこんな事言うの、あれかもしれないんですけど、私、実は青くんのこと、好きなんです」

 これに対しての彼の返答が長い。

 もう少しまとまらないかしらん。

 でも、「自分、あまり表情に出すのが上手くないけど、心の中ではすごく嬉しいんだ。だから、僕も瑠夏さんのこと、もっと知りたいと思う。今の答えはそれでもいいかな……?」個々の部分が素敵。

 相手を知るために、付き合うのだ。


「もしかしたら、瑠夏さんと深い関係になってるかもな。それは、未来で答え合わせしようか」

「うん」

 つまり、主人公は青くんに自分が体験した事を話したのだろうか。それとも、このお話を書いた後のことなのか。

 このあと、「未来への期待と夢を乗せて、私たちの物語はここから動き出すのかもしれない。これからの毎日が、ちょっと特別な日々になるように願いながら私は、青くんの手をそっと握った」とあるので、前者だろう。そのへんをもう少しわかるようにかいてくれると、読者は混乱しないのではと思う。


「答え合わせはいつになるんでしょうね。一年後、五年後、十年後……!?」でモヤッとする。

 その前は、子供の名前で揉めていた。

 でも、ここでの著者の書き方からすると、結婚や子供が生まれるなどということはまだ体験していないのかもしれない。

 編集側も同様。


 エピローグは、子供が生まれて一ヶ月後。「この小説の著者が尋ねてくる。私はそう、編集の仕事をしているのだ。そしてこの著者からは下の名前、それも呼び捨てで呼ばれるほどの関係なのだ」と答え合わせのように二人の関係が枯れている。

「もう、今のやり取りでバレてしまったかもしれないけれど、この小説の中にいる私、瑠夏と青は私たちのこと。私の話したあの出来事を小説家の青に書いてもらったのだ」


 できた原稿を子供に見せると、「もちろん文字なんて読めるはずもないのだけれど、小さく微笑んだ」とある。

 不思議なことは起きるものなので、わかっているのかもしれない。


「小説の壁の内側にいたのは、今から六年前の私が実際に体験したものを夫に伝え、書いてもらったのだ。そして、壁の外側にいたのは、ほんの数ヶ月前、私たちが実際に体験したものだ。あの壁は、どうやら6年間時間がずれており、私たちを繋いでいたのだ。ちなみに今の私には、あのときにはないほくろができている。大人になったという証拠と捉えよう」


 日付が書かれているけれども、年号が書かれていない。女子高生だったときの物語は、妊娠前に書かれたものかしらん。


 六年前の女子高生時の出来事。

 第1章(7月15日午後7時記入)

 第3章(7月17日午後7時記入)

 第5章(7月19日午後7時記入)  


 数か月前の出来事。

 第2章(7月16日午後7時記入) 

 第4章(7月18日午後7時記入)


 編集は、子供が生まれる前に一時間毎に読んで書いたのだろう。出産していたら、「編集者から著者さんへ:確かに、いつまでまてばいいんでしょうね。でも、いつかは分かる気がする。それが今日かもしれないし、明日かもしれないし……。楽しみです」と書かないはず。

    (7月20日午後3時記入)

    (7月20日午後4時記入)

    (7月20日午後5時記入)

    (7月20日午後6時記入)  

    (7月20日午後7時記入)

 白幸は七月二十日の夜か、それ以降に生まれたと推測。


 生後一か月で、人混みのある夏祭りに行こうとしている。

 せめて首が座る二か月が過ぎるまでは控えて欲しい。最近の親はそういうことを考えずに外に連れ出すことは多いけれども。

「あのトンネルに向かって夏の夜道を歩く。あそこの近くから一番花火がきれいに見えることを、六年前に知ったのだ」 

 人通りはなさそうなので、良しとしよう。


「トンネルの壁には、六年前のわたしたちが浴衣姿で花火を見ている様子が絵として描かれていた」

 主人公は結果を知っているけれども、在りし日の自分を思い出せていい。しかも「おそらく、六年前の私たち側から白幸の姿も見てているんだろう」とある。

 ということは、壁の内側と外側とでは、別の時間が流れているのかもしれない。だから、六年後の主人公には、女子高生のときにトンネルで絵を見た体験はないのだろう。

 

「このトンネルがどうしてこのように繋がってしまったのかは未だにわからない。でも、いつか彼の書いてくれる小説で答えが出るのかもしれない」

 不思議なトンネルである。

 それとも、白幸が不思議なのか。

 その辺りは、読者の想像に委ねられているのかもしれない。


 読後。

 タイトルの君とは、もう一人の主人公のことだったのだ。過去と未来を描いているが、同じ時間軸上での出来事ではなく、パラレル的な感じに思えた。そんな二つの世界を繋いでいたのが不思議なトンネルと白幸。ひょっとすると、さらに未来で、白幸が両親のために働きかけをしていたのかもしれない。

 その辺は読者があれこれと想像して楽しめばいいかもしれないけれども、全体として非常によく構成された物語で、夏という季節背景と主人公の内面的成長が見事に絡み合っていた。

 感情豊かな描写と共感性も高く、恋愛や友情、愛情や絆が感じられ、十代の若者にはもちろん多くの読者にも響く作品だろう。

 










## 編集視点の感想

全体として幻想的な雰囲気が漂う作品であり、テーマ性も豊かだ。ただし、一部展開が緩慢であるため、もう少し緊迫感を持たせる必要があると感じた。

編集視点の感想

物語は非常に共感しやすく、主人公の内面的な葛藤が丁寧に描かれている。特に夏という季節設定は効果的であり、情景描写も豊富だ。ただし、一部キャラクター間の対話が冗長になる傾向があり、もう少し簡潔にすることでテンポよく進行できそうだ。

編集視点の感想

この作品は大人と子どもとの対話を通じて成長する姿が描かれており、特に子どもの純粋さが大人に与える影響が印象的である。ただし、喧嘩の背景についてもう少し掘り下げることで、物語全体に厚みが増すだろう。

編集視点の感想

物語は青春と不思議な要素をうまく組み合わせており、読者を引き込む力がある。しかし、一部説明不足な点も見受けられるため、さらなる深堀りが望ましい。

編集視点の感想

物語全体が温かい雰囲気で包まれており、読者に安心感を与える。特に夫婦間の愛情表現は素晴らしい。ただし、喧嘩の原因についてもう少し具体的な説明があれば、更に良い作品になるだろう。

編集視点の感想:

物語は非常によく構成されており、登場人物たちの心情描写も丁寧である。特に主人公の成長過程は魅力的で、多くの読者に共鳴する内容だと思う。しかし、一部展開についてもう少し緊張感やドラマ性を加えることで、更なる深みを持たせられる余地があると感じる。

編集視点と読者視点

編集視点: 物語全体として非常に魅力的だが、構造的な明確さとキャラクター開発においてさらなる工夫が必要。






## 読者視点の感想

夢と現実というテーマに引き込まれ、自身の経験とも重ね合わせながら読み進められた。特に五感を通じた描写が印象的であり、物語世界への没入感が強かった。

読者視点の感想

主人公に非常に親近感を覚え、自分自身と重ね合わせながら読むことができた。特に恋愛について悩む姿勢には多くの読者が共感するだろう。しかし、一部場面ではもう少しスリリングな展開があってもよかったと感じた。

読者視点の感想

主人公と氷織ちゃんとの交流は心温まるものであり、特に子どもの視点から見た大人へのメッセージには深く共感できた。喧嘩というテーマも身近であり、多くの人が経験することなので親近感を感じた。

読者視点の感想

主人公たちの日常と非日常が交錯するストーリー展開に引き込まれた。特に友情や恋愛への葛藤がリアルで共感できた。ただし、一部展開が唐突に感じられる部分もあった。

読者視点の感想

共感できる日常的な出来事と心温まる結末が印象的であった。特に赤ちゃんの名前に込められた意味には心打たれた。四葉のクローバーという象徴も素敵で、幸せな気持ちになれた。

読者視点の感想:

青春特有のドキドキ感と葛藤がリアルに描かれており、とても楽しめた。特に告白シーンでは思わず心臓が高鳴った。瑠夏と青くんの関係性には期待感しかないので、この先どうなるか非常に楽しみだ。

読者視点: 感情移入しやすく、美しい描写に引き込まれる。ただし、一部内容について理解しづらい部分もある。






## 総評

この作品は、夢と現実という普遍的なテーマを扱いながらも独自性を持ち、多くの読者に深い印象を与える可能性を秘めている。今後の展開に期待したい。


総評

全体として非常によく構成された物語であり、夏という季節背景と主人公の内面的成長が見事に絡み合っている。感情豊かな描写と共感性は高く、多くの読者に響く作品となっている。改善点としてはキャラクター間の対話を整理し、更なる深みを持たせることでさらに魅力的になるだろう。


総評

全体として、温かみのあるストーリーであり、大人と子どもの関係性や価値観について考えさせられる内容となっている。主人公が成長する過程や心情描写が丁寧であり、多くの読者に共鳴する要素を持っている。ただし、一部背景説明が不足しているため、その点を改善することで更なる魅力を引き出せる作品となるだろう。

総評

全体として魅力的なストーリーであり、キャラクター同士の関係性や成長が丁寧に描かれている。特に若者特有の悩みや友情がリアルに表現されており、多くの読者に響く内容となっている。改善点もあるものの、全体的には高い完成度を誇る作品である。

総評

この作品は、日常生活における小さな喧嘩から生まれる愛情と理解を描いた心温まる物語である。登場人物たちの成長と絆が感じられ、多くの読者に共感される内容となっている。

総評:

この作品は青春小説として非常に魅力的であり、主人公の心情描写や成長過程が丁寧に描かれている。恋愛や友情といったテーマもバランスよく盛り込まれ、多くの読者に共感される要素となっている。今後の展開にも期待したい作品である。

総評

この作品は、人間関係や時間について深く考察する内容であり、特に愛情や絆が強調されている。幻想的な要素とリアルな感情描写が融合しており、多くの読者に感動を与える可能性を秘めている。全体として高い完成度だが、さらなる緻密さとキャラクター描写によって一層引き立つ作品となるだろう。







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