叔父の畑
叔父の畑
作者 楠 夏目
https://kakuyomu.jp/works/16818093081381958234
高校三年生の少年・かいとは、都会の喧騒から逃れ、夏休みの間だけ農業を営む叔父の家に滞在。都会に憧れるみさきと三人で過ごす夏。再会の約束をして別れ、志望大学に合格したかいとは、大学構内でみさきと再会する話。
書き出しはひとマス下げる等は気にしない。
現代ドラマ。
温かみのある物語。
登場人物の関係性が魅力的に描かれている。
五感描写が豊富。リアルに感じさせてくれるところが素晴らしい。
三人称、高校三年生の少年・かいと視点、神視点で書かれた文体。みさきとは恋愛ものとして書かれているので、出会い→深め合い→不安→トラブル→ライバル→別れ→結末の流れに準じている。
叔父は、それぞれの人物の想いを知りながら結ばれない状況にもどかしさを感じることで共感するタイプの、かいとは女性神話とメロドラマと同じ中心軌道に沿って書かれている。
高校三年生の少年・かいとは、都会の喧騒から逃れ、夏休みの間だけ農業を営む叔父の家に滞在することに。叔父の畑での生活を通じて、かいとは自分の将来や夢について考え始める。
ある日、叔父のトマトが道路に転がり出てしまい、それを避けようとした少女が自転車で転倒。かいとは少女の怪我を手当てし、二人は友達になる。
名前はみさき、彼女も同じ高校三年生。受験のため夏期講習に通っており、家から塾までの道中に叔父の家を通りかかる。時間がある日は、必ず家に遊びに来るようになった。みさきは都会に憧れを抱き、受験勉強に励んでいる。
三人で過ごす楽しい時間は、スイカを食べたり、畑を手伝ったりと、様々な思い出を作る。しかし、夏休みの終わりが近づくにつれ、少年はこの楽しい時間が永遠ではないことを痛感し、心中に複雑な感情を抱える。
ある朝、叔父が急な仕事で出かけてしまい、少年は一人で朝食を取ることになる。昨日の出来事で叔父に八つ当たりしてしまったことを後悔し、謝罪の機会を待っていた。
そんな中、友人の少女みさきがシュークリームを持って訪ねてきた。少年は彼女に翌日この場所を去ることを告げる。
「さ、ざびじいぃ……」涙を流すみさき。「だってせっかくなかよくなれたのに……もうお別れなの……?」
二人は再会を約束する。帰宅した叔父はケーキ買ってきていた。
シュークリームケーキも一緒に三人で食べようと、叔父はさらに盛り付ける。少年は八つ当たりしたことを詫びると、
「なあ、かいと。知ってるか? 世界ってのは物凄く広いんだぜ。お前の考えを否定したり、嘲るやつも居るだろう。熱苦しいと呆れたり、目を逸らすやつも居るかもしれねえ。でもな。それはあくまで一部の声でしかないってことを忘れるな。深呼吸して、もっと周りを見渡してみろ。一部の声に囚われるな。自分の考えの是非を問うのは、周りを見渡して、少し考えてみてからでも遅くねえだろ」
そういって、どうしようもないときは自分を呼べと、叔父はいう。
「俺の激強パワーが、お前の不安をひとつ残らず吹き飛ばしてやる。だから、お前はお前のままでいい」
翌朝、みさきからおそろいのトマトのネックレスを贈られ、少年は叔父と共に駅へ向かう。
数か月後、志望大学に合格した少年は、構内でみさきと再会する。
三幕八場の構成になっている。
一幕一場の状況の説明、はじまり
かいとと叔父の紹介、かいとの都会からの逃避
二場の目的の説明
叔父の畑での生活、かいとの内面の葛藤
二幕三場の最初の課題
トマト事件と少女との出会い
四場の重い課題
少女との交流を通じて、かいとの心の変化
五場の状況の再整備、転換点
少年の心情描写と朝の風景。
六場の最大の課題
昨日の出来事で叔父に八つ当たりしたことへの後悔。
三幕七場の最後の課題、ドンデン返し
叔父の不在の中、みさき訪問。少年が彼女に別れを告げる。叔父との和解と再会の約束。
八場の結末、エピローグ
少年の成長と、志望大学でみさきとの再会。
トマトの謎と、主人公に起こる様々な出来事の謎が、どう関わり、どのような結末に至るのか気になる。
台詞ではじまる書き出し。
遠景で聴覚、声が聞こえて、近景で「少年の名を呼んだのは、ダミ声の男だった」と説明しつつ、かいとが少年であることも伝え、心情ではダミ声の男の見た目、様子がくわしく書かれていく。
「その人物は倒れ込む勢いで玄関に座り込んだ末、訳の分からぬ叫びを上げている」がいい。
肉体労働をしたあとの感じがよく出ている。家についてホッとしているのと、もう動けないから声だけ出して喚いて、少年を呼びつけては助けを求めている。
最初の台詞、「おーい、かいと、茶ァくれ」で、言葉を投げていて、それに対して少年が「うるさいよ叔父さん。近所迷惑」と冷たい。
叔父と少年の見た目も、対比になっていて、叔父は白い半袖シャツが泥で汚れ、少年はきれいで黒いタンクトップ。似ているようで似ていない。
二人の関係が親子ではないことも見た目から表現しているように思える。親子だったら、違った表現をするだろう。
「そんな事言うなよ。俺はいま! 至極! 非常に! ハチャメチャに疲れてんだ」
「疲れてる人はそんな大声出せないよ」
出せるのだ。
叔父は一人、広い畑で野菜を作っているが、他の人に手伝ってもらっているとも書かれている。都会だと、近くに人がいるので大きな声を出す必要性は少ないが、田舎は田畑が広がっていて、道ゆく先に近所の人をみつけたら「おーい」と普段から大きな声を出しているだろう。
しかも、歳を取ったり疲れで身体が動かないときは、大声を出す。毎日野菜を作っているのなら、運搬に体力がかなり必要になる。普段から大声を出していない少年よりも、数倍は声を出せるにちがいない。
山が近くにあるのなら、猿やイノシシ、鹿が降りてくるだろう。電熱線が張り巡らされているかもしれない。そういう描写はないので山が近くにないのだろう。
玄関に座ったとある。
通常の住宅の玄関ではないのかもしれない。土間があるような広い玄関かもしれない。階段状になっていてよじ登るような感じで家に上がる、昔ながらの造りをしている可能性も考えられるけれど、その辺りの詳しい描写はない。
どういう玄関を想像したらいいのかが、わかりにくい。
少年としては、大きな声を出され、泥まみれの叔父の汗が飛んできて、嫌そうな目に遭っているところは可愛そうかなと思う。共感するかもしれない。
「ばかやろう。子供の本分は勉強だろうが。あと、たくさん食って、たくさん寝て……兎とに角かくたくさん睡眠をとることだ」
「それ寝すぎじゃない?」
「とにかく! お前はお前のやるべきことをしろよ。じゃあな」
叔父としては、静かな環境で受験勉強したいといって来た少年を迎え入れたのであって、畑仕事を手伝ってもらうためではないとわかっているからだろう。手伝わせたら、少年の両親になにか言われるかもしれない。
寝るのは大事。脳の疲労は睡眠でしかとれない。勉強や受験には体力がいる。
体力回復には、よく食べてよく寝る。肉体労働である畑仕事をしている叔父は、そのことがよくわかっているのだ。
畑仕事は朝早い。昼間の暑い時間は昼寝したり、苗の準備をしたり、出荷したり。夜はご飯を食べたら早く就寝。週に一度は、ご近所の付き合いで呼ばれることもあるかもしれない。
少年が叔父にお茶を持っていく。
人間味があっていい。共感を抱く。
どうやってもっていったのかしらん。
「叔父は少年の差し出す麦茶入りのコップに気付くなり、間を置かずにそれを受け取った」
お茶を入れたコップを持って、そろりそろりと歩いていったのかしらん。おぼんの上に乗せて、運んだのだろうか。
ペットボトルややかんに入ったお茶とコップを持っていけばいいのではと考えてしまう。
「玄関を出た少し先にあるのは、一面土色の畑」とある。叔父がいたのは畑の端だが、家からどれほど離れているのか。こぼれるのではと危惧してならない。
そこまで、少年は気が回っていない可能性もある。
とりあえずお茶を持っていこう、という考えが先にでて、どう運ぶかまでは気が回らなかったかもしれない。家の中でなら問題ないが、外へ持っていくことははじめてだっただろう。
立派なトマトができて自慢しはしゃぐ叔父。
普段は一人なので、こういうことはしないだろう。少年が来たから、叔父なりにはしゃいで見せているのかもしれない。もちろん、普段からこういう性格なのだろうけれども。
畑やトマト、叔父の表情などはよく描けているけど、他のところでは大きな言葉で表現している。描きたいのは叔父であり、畑であり、トマトであるからだろう。どこもかしこも細かく描く必要はない。メリハリは大事。
カエルで驚いている。
「足に何やら重みと違和感を感じ、少年は咄嗟に視線を下ろす。彼の視界が捉えたのは──真緑色のカエルだった」
足の上に乗ったのかしらん。
なんだと思ってみたら、カエルだった。
カエルに驚いたのか、得体のしれない緑色の物体が足に乗ってきて驚いたのか。
驚くときは、なにかよくわからないからとっさに驚き、よく見たらカエル、さらにびっくりして、リアルではじめてみて気持ち悪いと感じる、といった流れになるのではと考える。
説明的な感じがして、もったいない。
足に何やら重みと違和感を感じ、少年は咄嗟に視線を下ろす。
「うわっ!」
足をばたつかせ、勢い余って叔父の身体へ倒れ込んでしまった。「おっと」
素早く少年を支える叔父。農業で鍛え上げられた身体は、部活動などの運動をしている少年とは、雲泥の差があった。
少年の視界が捉えたのは──真緑色のカエル。街中には広大な畑もなければ、カエルも見ない。冷静になれば、怖くない動物にも拘わらず、この時少年は──
「なんか、緑色の!」
みっともなく声を上げてしまった。
「カエルだな。大丈夫か?」
「か、カエルか。ごめん叔父さん、ありが──」
そうすると、そのあとの叔父がトマトが見当たらない驚きと対になるのではと考える。
長い文、五行で改行。句読点を用いた一文は長すぎない。短文と長文を組み合わせてテンポよく、感情を揺さぶるところもある。ところどころ口語的。シンプルで読みやすい。会話が多く、キャラクターの性格や関係性が自然に伝わる。また、丁寧で情緒的な描写が多く、登場人物の感情が細かく表現されている。
日常の中での小さな出来事を丁寧に描写。トマトやスイカ、食べ物や自然の描写が印象的。
叔父と少年の関係性が温かく描かれている。 また、叔父との和解を通じて成長し、前向きな姿勢を持つようになる過程が描かれているのもよかった。これまでの積み上げがきちんと描けているからこそで、叔父のたくましさ、頼りになる感じが伝わってくる。
少年やみさきの感情が細かく描かれており、共感しやすいところもいい。みさきの都会への憧れとかいとの対照的な考えが、物語に深みを与えている。
将来や夢について考える若者の心情が丁寧に描かれているのが、本作のテーマでもあるだろう。
暑さや汗、 スイカの味、風鈴の音や蝉の声、涼しい風など、夏の田舎の情景がリアルに伝わる五感を使った描写が豊富で、情景をリアルに感じさせている。一番よく描けているところだろう。
視覚は畑の広がりやトマトの赤さ、汗の光り方、みさきの外見 「真白な肌と栗色の髪が特徴的で、心優しい女性だった」スイカの描写 「赤く瑞々しいスイカの身を見ていたら、自然と喉が鳴った」、青空、風鈴、ラップに包まれた朝食、手紙、みさきの涙、トマトのネックレス、桜並木などがよく描けている。
聴覚は蝉の声、風鈴の音、 呼び鈴の音、叔父の豪快な声、みさきの声 「かいと! おじさん! 見てスイカ! 一緒に食べよう!」、みさきの泣き声、ペンの音など。
触覚は汗のベタつき、冷たい麦茶の感触、スイカの感触「中玉のスイカを三角形型に切り分ける」叔父の腹を擦る動作「膨れた腹を擦りながら、叔父が豪快に笑う」、少年の汗、叔父の手の重み、涙を拭う感触など。
嗅覚は土の匂い、汗の匂い。
味覚は冷たい麦茶の味スイカの味「塩をかけて食べたスイカは──案外、いいや、とても美味かった」、朝食の味、シュークリームの味など描かれている。
主人公の弱みとして、内面の葛藤がある。将来の夢が見つからず、周囲の期待やプレッシャーに悩んでいる。他にも、自己評価の低さがあり、自分の行動が他人に迷惑をかけることを恐れる。
「少年は昔から真面目な性格で、何かと苦労してきた過去があった。どんな物事にも全力で取り組むことが彼のモットーであったが為、クラスメイトと衝突することもしばしばあった」
真面目と言うよりは、生真面目、堅物な感じかもしれない。
物事を紙面四角くとらえ、自分が正しいと思いこんでいるのだ。
傷の処置を覚えたというくだりで、かつて少年はクラスメイトと言い争いをし、殴り合いへと発展。喧嘩をしたクラスメイトとは絶縁状態となったことがある。その後も自分の考えが正しいと疑わず、先生からは怒られ両親も叱りつけるも、喧嘩をしてきたことが書かれている。
そんな都会の生活に疲れ、叔父のもとにやってきた。
自然を相手にしている叔父は、少年の考えとは全然違って見えたに違いない。なにがあっても頼れるだけの体力もある。その点が大きかったと考える。
主人公には感情をうまくコントロールできな未熟さがあり、叔父に対して苛立ちを見せる。
それもひとえに、将来の夢が見つかっていないところにある。
都会に強い憧れを抱いているみさき。少年の出身地を知るなり、まるで宝石を見つけた子供のように目を輝かせて「私、都会で暮らすのが夢なの! だがら苦手な勉強も頑張ってる!」と無邪気に語る。
彼女は塾に通い、帰りに叔父の家に立ち寄っている。
主人公には「光熱費や物価のこと。更には通勤通学の様子から、家賃や交通渋滞、空気のことなど、ヤケに高校生らしくない質問」を多くし、ただ憧れるのではなく将来の展望として、現実的に考えているのがわかる。
都会に出ていく女子のリアルを感じさせられる。都会に出たら地元には帰らないだろう。
少年は、夏季限定で都会から田舎に来ている。
都会に憧れる彼女と、夢もわからず逃げてきた少年。
実に対照的。
しかも、もうすぐ実家に戻ることに。
みさきのキャラクターや主人公の背景など、もう少し詳しく説明されていると、読者が登場人物により感情移入しやすくなるのではと考える。
叔父ならば、みさきがどこに住んでいるのかもわかると思う。少年との会話でも出てきているかもしれない。その辺りは描かれていない。
野菜いっぱいのカレーというのが、野菜を作っている家ならではだと思える。トマトにしろスイカにしろ、他の野菜だって売るほど作っているだろう。規格外のものは家で食べるかご近所さんにおすそ分けする。毎日たくさんの野菜を、少年は食べただろう。
揚げ物や炒め物など、油を使ったものが多いはず。体力仕事、たくさん汗をかくので、野菜でもさっぱりしたものでは力がつかない。肉や魚なども一緒に食べているだろう。でなければ、天ぷらかしらん。
「この俺が、愛情込めて作るのに?」
さりげないやり取りのなかで、叔父としての愛情を伝えているのがいい。出来の良いトマトを撮ってくれというのも、叔父なりの少年に対する愛情の表れであろう。
叔父の手紙がいい。
『かいとへ悪い! 急に仕事が入っちまったから、ちょっと出掛けてくるな! 朝飯置いといたから、電子レンジでチンして食べろよ! 心配しなくても終わり次第すぐに帰ってくるぞ! もちろんお土産付きでな! それから──ちゃんと、みさきちゃんにも言っとけよ』
ここにも、叔父なりの愛情がこもっている。
少年は叔父やみさきとの関係に対する不安が強く、自己評価が低いところも弱みだが、叔父からの手紙に励まされ、気がつく。
「あたり前のように叔父と向かい合って食事していた生活は、全て、叔父の気遣いによって成り立っていたものなのかもしれない。少年がここへ来たその時から、叔父は自分なりに、少年をとても大切にしてくれた。そう思うと、なんだか無性に、心が締め付けられた気がした」
少年が真面目な性格をしているから、気づけたし、受け止めることも出来ただろう。それに視界の開けた空も広がる田舎の景色は、少年の塞ぎ込んでいた心も広くしたにちがいない。
みさきがきて、叔父ではなかったとがっかりする。それに対して、「ちょっと! 何でがっかりするの!」はおもしろかった。
彼女としては、都会から来た少年は憧れの象徴でもあるので、嫌われたくはないだろう。
明日帰ると伝えて、「さ、ざびじいぃ……」と大泣きし、素直に気持ちを表現できる子だと思った。
裏表もなく、真っ直ぐな感じ。
叔父もそうだけれども、実に気持ちの良い人達である。
そんな二人と会ってきた少年だから、彼女に「また会えるよ」と、根拠がなくてもいい切ることが出来たのだろう。心の中では、必ず彼女とまた会おうと自分自身に誓ったかもしれない。
これまで将来の夢がなかった主人公が、夢を持った瞬間なのだ。
将来どう生活するかといった夢や展望ではないけれども、前を向いて一歩進んでいける、そういう夢をもてたであろう。
だから叔父にも、きちんと謝ることが出来た。
「お前は真面目で、心の優しい男だ。どっかの誰かさんとは似ても似つかねえ。最近の世の中じゃあ、特別珍しいタイプのな」
どっかの誰かさんとは誰のことかしらん。
衝突してきた級友ではなく、おそらく主人公の父親だろう。
叔父の励ましの言葉がいいなと読んでいると、結局は腕力かと突っ込みたくなるのだけれども、たしかに最後に物を言うのは力なのはまちがいない。その力を、叔父は少年を助けるために使うといっている。
実際、助けを呼んだら駆けつけてボコボコに殴り倒すかわからないし、下手すれば暴行罪になりかねないけれども、きっと叔父ならば少年の窮地に駆けつけて助けてくれる。そう思えるだけの愛情を、これまでのやり取りから感じさせてくれているからこそ、信じられる。少年の気持ち、不安も晴れて楽になったと思う。
みさきからトマトのネックレスをもらう。
彼女のお手製かしらん。帰ると聞いて用意したのか、それとも以前から準備していたのかもしれない。
駅まで送ってもらう途中、「俺はずっとあの畑にいる、いつでも来い。待ってるからな。……でも、そうだな。お前がココでみさきちゃんに会った場合、それは──みさきちゃんの運が悪かったってことになる」と叔父はいっている。
受験に失敗して東京に行けなかったということだろう。みさきの家の事情を知っていて、みさきの家も農家で、受験が駄目だったら家業を継ぐかもしれない。みさきの背景もわかるようなところがあればいいのではと考える。
志望大学で再会するラストは微笑ましい。
彼女の運は良かったのだ。
読後。田舎の夏の情景、トマト畑がリアルに伝わってきて、読んでいて心地よい。叔父との関係性が温かく、ほっこりする。叔父のキャラクターや台詞、愛情がこもっていて素晴らしかった。少年の成長が描かれていて、読後感が良い。
みさきとの出会いが物語に新たな展開をもたらしたところも良かったし、今後の二人が気になる。
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