悩み相談
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作者 紬寧々
https://kakuyomu.jp/works/16818093083423371366
川上みかは彼氏の高瀬とうやが浮気していると疑うも誤解だったと話すが、ことはは自分の下着とバレなかったことに安心する話。
現代ドラマ。
ラストのどんでん返しが聞いている。
主人公は、ことは。一人称、私で書かれた文体。自分語りの実況中継で綴られている。
川上みかは絡め取り話法、主人公ことはは女性神話の中心軌道に沿って書かれている。
川上みかは、彼氏の高瀬とうやが浮気しているのではないかと疑い、友人のことはに相談する。みかは彼氏のカバンの中に自分のものではない女性の下着を見つけてしまった。ことはは冷静に状況を整理し、みかを落ち着かせようとする。
翌日、みかは再びことはに会い、彼氏の浮気疑惑が誤解であったことを伝える。実はその下着は女性用の水着で、海の家で働いているとうやが、売り物の水着を間違えて持ち帰ったものだった。みかはことはに感謝し、パフェをおごり仲良く過ごす。
最後ことはは、自分の下着だとバレなかったことにほっとする。
四つの構造で書かれている。
導入、喫茶店で、みかから彼氏の浮気疑惑が出る。
展開、ことはがみかを落ち着かせ、状況を整理しようとする。
クライマックス、みかは誤解だったと、ことはにパフェを奢る。
結末、二人で笑い合うも、ことはは自分の下着だとバレなかったことに安堵する。
怒号の謎と、主人公に起こる様々な出来事の謎が、どう関わり、どのような結末に至るのか気になる。
怒号からの書き出しが興味を引きつけていていい。
遠景で怒号が響き、近景でどのような場所かを示し、心情で主人公が落ち着かせる。
怒っているみかに対して、心安らぐクラシックのBGMとレトロな雰囲気の喫茶店が対照的に書かれていて、みかが怒っている感じがより際立っているところが良い。
店内には二人しかいない。(マスターもいるけど)
友人は彼氏の浮気に腹を立てており、実に可愛そう。
「彼氏のカバンの中にみかのものではない女性の下着のようなものが入ってるのを見てしまった」
ここから考えられるのは、彼氏が下着を購入したか、盗んだか、彼の私物か、プレゼントされたか、浮気か、の選択肢がある気がする。
「実物を見てないからなんとも言えないけど」と、ことははいっているように、見てないからわからない。
写真でもあれば、説得力が増すかもしれない。
長い文ではない。数行で改行。句読点を用いた一文は長くない。
「幸せ溢れる順風満帆な生活を送っていた矢先に事件は起きた」「普通に考えて下着と見間違うものなんてそうそうない」「少しでも希望を持たせてあげようと言葉を捻り出した」「中の氷が溶け切っていたみかのアイスコーヒーを指差す」「アイスクリームを付けたメロンをあむっと食べながら気にしていない旨を伝える」「感謝を軽く流しながら今回の件が大事にならなかったことに対し密かにホッとする」「みかも肩の荷が降りたようでいつもみたいに惚気話を私に聞かせてくる」などは、落ち着きや重々しさ、弱一面など、主人公の性格の表しているための、長い一文だと考える。
短文と長文を組み合わせテンポ良くされていて、感情をゆさぶってくる。
ときに口語的。登場人物の性格がわかる会話が中心で、キャラクターの感情が豊かに描かれている。読みやすい。
喫茶店のレトロな雰囲気やクラシックのBGMなど、五感に訴える描写が多いのが特徴。
ことはとみかの友情が温かく、みかの感情の揺れ動きがリアルに描かれているところがいい。
五感描写が臨場感を与え、物語に引き込んでいる。
視覚はレトロな雰囲気が漂う喫茶店で雰囲気を、横目でカウンターを見やるで視線を、顔を伏せてしまったは感情を視覚的に表現している。
聴覚は、怒号、クラシックのBGM、マスターのよく通る渋い声を描写。
触覚はグラスをガバっと掴む、アイスクリームを付けたメロンをあむっと食べながらで感触を描写。
味覚はねっとりとした甘い味、人のお金で食べるパフェはおいしいは、食べ物の味と感情を結びつけて描写。
嗅覚は湿り気を帯びた眼差しで、感情を嗅覚的に表現している。
主人公であることはの弱みは、みかを落ち着かせるために言葉を選ぶが、決断力に欠ける場面がある。みかの感情に引きずられがちで、自分自身も混乱することがある。
すべては、浮気相手が自分だと、友人にバレないためのふるまいである。
途中、マスターの「難しく考えなくても、真実は簡単なことかもしれませんよ。何か見落としていることがあるのではないですか?」は、一般論としていったのか、ことはが浮気相手だと気づいての言葉だったのか。
少なくとも、ことはは「どういう意味かを聞き返す暇もなく、そのままカウンターまで戻ってしまった」とあるので、ドキッとしただろう。
読後。タイトルを読みながら、浮気相手でまず疑うべきは友人というのは、あながち間違いではないかもしれないとしみじみ思えてくる作品である。
友情と誤解をテーマにした心温まるストーリーと思わせての、最後のどんでん返しも面白く、作品として読後感は良い。川上美香のことを思うど、可愛そうだし、ことはは酷いなと思ってしまう。
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